軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

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「私は17年前に学園を卒園し、その後は履歴書に記載のある男爵家の家令として働いていました。その男爵家での業務の中で今回の募集に関する内容に関連する業務は、主人の手紙等のやり取りなどの祐筆をしておりました」

「ヒャックさんは平民で間違いないですか?」

「はい。平民です。募集には身分は問わないと書いてありましたが、貴族をご希望ですか?」

中年に差し掛かったヒャックさんは濃い茶髪でこれといって特徴のない良く見掛けるタイプの男性だ。

身分を問わない事を確約するとほっとした様だ。

貴族家に勤めていただけあって身なりには気を使っている様だが、雰囲気が人に使われる事に慣れている人の そ(・) れ(・) だ。

そういう雰囲気の人は何故か他の人と印象が混ざりやすい気がする。

「貴族家に勤めていらっしゃるのに今回の募集に応募された動機はなんですか?」

「はい。今の仕事も大変居心地は良いのですが、記事を書くと言う新しい職業が知的に満足できる仕事と思いまして、それで自分の糧になると思ったからです」

今の仕事に満足していたらこういった募集には名乗り出ないだろうが、それでも今の就職先を悪く言わない所が高ポイントだね。

「そうですか。では、ご自分の長所と短所を一つずつ挙げて下さいますか?」

「長所は落ち着いている事。何か起こっても落ち着いて対処するのが家令の仕事なので、それが身に付いております。短所は長所と同じで落ち着いている事から、周りからは何を考えているのか分からないと思われがちです」

「なるほど、短所と長所は同じと言う事ですね。真理ですね。後、もしウチで働いてもらう様になったらどこで働きたいですか?」

「私はこの年になっても独り身なので、場所はどこでも良いです」

「今後、結婚されるご予定はありますか?」

「残念ながら全くないのです。ですので、結婚を考えるなら出会いの可能性が多い大きな町で働く方が良いかとは思いますが、先ほどお仕事の説明をして下さった時に、あっちこっちへ移動しながら働く事になるとおっしゃっていたので、駅村で働いたとしても人との出会いはたくさんありそうです。まぁ、人と出会う機会が多いからと言って、それが結婚に直結するかどうかは別の話なんですがね」と照れて頭を掻いている。

ヒャックさんは結構饒舌だなぁ。

イエス・ノーで答えず、必ず何か付け加えてくる感じだなぁ。

でも、付け加える能力があると言う事は記事を膨らませる事も出来ると言うことでもあると思うしなぁ・・・・。

「ヒャックさん、面接はここまでで、この後、テストである事件の記事を2本書いて頂いて、それを新聞社の担当者で評価して採用・不採用が決まりますが、その前にこの仕事について何か質問はありますか?」

「大まかな契約内容や給与形態等は教えて頂いているので雇用形態についての質問は無いのですが、記事の書き方等、新しい仕事だけにコツ等があれば教えて頂けたら嬉しいです。ヤル気は溢れる程あるのですが、どの様な技術がいるのかそちらが気になります」

「はい。各自が手探りで仕事の進め方を模索して頂く所もありますが、採用された方々には研修として基本的な取材方法と記事の書き方等をお教え致します」

「それを聞いて安心しました」

「では、他に質問がなければ隣の部屋へ移動して頂いてテストを受けて下さい」

「はいっ」

ホテル王都店の貸会議室を2つ用意し、一つは小さな会議室で対面での面接を、もう一つの方は大きな会場を衝立などで仕切って偽記事を書くテストを受けてもらっている。

『次の証言を元に一つの記事を書いて下さい。

証言は各人の個人的な見解であり、必ずしも事実ではない可能性があります。

もし、もっと取材(調べ)が必要だと思われる点があれば、誰にどの様に取材するかを記事を書く欄の下の備考欄に書き込んで下さい。

記事の文字数制限は1000文字。

女性A「あの日は強い雨が降っていて、朝、パン屋から急いで家に帰ろうと思ってウチの家のある通りへの角を右に曲がったら、人が倒れていたんです。彼の周りには血だまりが出来ていました。え?ウチの家のある通りの名前ですか?サンティーボ通りです」

男性B「あの男はこの界隈でも乱暴者で嫌われてましたよ。女性に暴力をふるったり、襲ったりとやりたい放題だったし、年寄りがやっている店なんかでは商品だけ持って行って金を払った事はなかったよ。自分より弱い奴には容赦が無い糞みたいな奴さ。オレ?オレは被害に遭った事はないけれど、ウチの妹が襲われかけた事はあったよ」

女性C「ええ、あの人は近所では嫌われていましたね。あの日も朝一番に見つかった時、今までの被害者の誰かがやったんじゃないかって噂になりましたね。え?事件が起きた時間ですか?朝一番に見つかったって事は、夜中の内じゃないですかねぇ。あそこの通りは人通りが結構あるので、そんな時間帯に事件が起こったって話は聞いてないですもの」

女性D「この前死んだアイツですが、老人がやっている店なんかはお金を払わずに品物を持って行ったり、私たちこの地区に住む若い女性は乱暴されない様に夜は外へ出ない様にしてましたね。結婚をしていなくて母親と一緒に住んでいたんですが、隣近所に聞こえるくらいの怒声が良く聞こえてきましたし、母親の顔も良く痣がありましたよ」

衛兵E「被害者の名前はモラン。事件が起こったサバル地区で生まれ育った乱暴者で、7月6日の夜から朝に掛けて殺されたんだと判断されたよ。死因?頭から血が出ていたから、鈍器で殴られたんだと思うよ。凶器?見つかってないなぁ。加害者の見当はまだ付いていないよ。まぁ、色んな人に迷惑を掛けていたみたいだから、動機のある者はたくさんいるよ」

衛兵F「あの事件は犯人を見つけるのが難しい事件だと思う・・・・

と、複数の証言者の会話を紙に書いた物を渡し、どの様な記事に仕立てるか、取材としては何が不足しているかを問うているのだ。

もう一つの設問はドレスを着た貴婦人の絵を2枚用意し、『パルティエ伯爵家(架空の貴族家)のダンスパーティの入口で見かけた貴婦人の絵です。パルティエ伯爵は国内でも金満家で有名な家で、この家が開催するダンスパーティは国内貴族の間では絶対に参加するべきパーティとされています。それぞれの絵には肖像画の女性の背景が掛かれています。絵を1つ以上使って女性の服装に関する記事を書いて下さい』と言う設問にした。

こちらはゴシップ用の記事だ。

もちろん応募者にはそんな事は知らせてないけどね。

女性の応募者も数名おり、もちろん男性もいろいろな経歴の人が応募して来た。

みんながどんな記事を書いてくれるのかとっても楽しみだ。