作品タイトル不明
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「おはようございます」
「おはよう、アウレリア」
「おはようございます。ギジェルモ様、アウレリア様」
ヤンデーノ店のグランドオープンが数日後に迫っていて、昨夜は初めてここの従業員寮で1泊した。
で、今朝は父さんとダンテスさんと従業員寮の食堂で顔を会わせ、朝食を摂る。
うん。従業員用の賄いもそこそこの味で、これくらいの物が出せるなら合格点かな~。
ヤンデーノの町の従業員寮は城壁の中にはあるんだけれど、東門と東南門の間の高台にあり、従業員の殆どがヤンデーノに住んでいるので宿泊用の部屋が少なくて済むので、比較的小さな寮になっている。
ただ、従業員の食事とか、託児所、休憩所なども兼ねているので、1階や2階は従業員が共通で使用する部屋が多い。
もちろん託児所は子供がうっかり外へ出ない様に2階にあるし、食堂や休憩所は出入りが簡単な様に1階だ。
鍵付きロッカーと言うモノをスイカズラ工房で作ってもらったので、従業員はまずこちらへ出社して、制服に着替えてもらい、徒歩10分でホテルまで移動してもらうのだ。
片道徒歩10分って私的には結構な距離なんだけど、こっちの世界の人は馬や馬車に乗る習慣があまりないので、どこへ行くにも徒歩であり、10分なんて平気の平左なんだって。
制服は職業によって全てのホテルで共通なのだ。
コンシェルジュの制服はドアマンのにちょっと似てる。
ベルボーイは帽子と動きやすい上着。
レセプションはウチのテーマカラーの紫でバッチリ決めているよ。
上半身は現代日本のホテルで良く見掛ける様な制服になったが、この世界の大人の女性は足首を出さない。
なのでスカートは足首まであるのだ。
そこでスカートはロングでもタイトにして、左横だけスリットを大きく入れ、下にぱっと見にはスパッツに見えるパンツを履く様にしている。
上半身が上品だから嫌らしくはないけれど、カウンターの奥から出て来られるとちょっとドキっとしちゃうかもね。
まぁ、素足は見えないんだけどね。
メイドさんたちはもちろんメイド服。もちろんミニスカじゃないよ。
下働きをしてくれる下男は皆同じベストとパンツを着用。
汚れが目立たない様に緑のベストにこげ茶のパンツだ。
ベルボーイのパンツは体の側面にあたる所に目立つ色のバイヤスが2本縫い付けられているけれど、下男さんたちのはシンプルにこげ茶だ。
占いは透き通ったベールにベリーダンスのダンサーが着けてるっぽいヘッドアクセサリー。
ジャラジャラだよ。
ベールの下は各自の自由だ。
食堂は調理師から見習いに至るまでみんな白いコックコート。
給仕はフローリストガーデン光と全く一緒。
食器も結局は『光』と共通にしたよ。
ホテルやレストラン間で融通が利くしね。
ヤンデーノにはカジノが無い代わりにカードルームがある。
ここではトランプや花札を使って、お客様がご自分たちで、つまりディーラー無しで遊んでもらうのだ。
ただ、最初の内は遊び方が分からないだろうし、飲み物を注文される方もいらっしゃるだろうから、専用のスタッフが待機する事になる。
制服はレセプションと同じだ。
カードルームではお客様同士でお金を賭けてもらっても良い事にはしているが、何か揉め事が起こってもホテルは関知しないと大きく額縁に入れたカリグラフィーで明示している。
ダンテスさんに言われて客室は多くしてあるので、お客様で一杯になる事があるのかなぁと少し不安。
これだけの客室があると、万が一満室だと朝食や夕食を食べる所が広くないとと言う事で、5階はレストランとバーだけなのだ。
お庭も無いし、無い無い尽くしだけれど、パティオと空中庭園が綺麗なので私的には気に入ってる。
グランドオープンセレモニーには大公様がまた来てくださるとのこと。
前回のモリスン村の何倍ものお貴族様をご招待なのだが、ここへは船旅で到着できるので2泊3日ではなく1泊2日の御招待に留めた。
だって原価しか掛からないにしても結構な散財になるからね。
最初、大公様も船で移動の予定だったんだけど、ダンテスさんが是非鉄道を体験して頂きたいということで、往路は鉄道で、帰路は船での移動になった。
大公様が来られるまでにヤンデーノの駅が出来上がると良いんだけれどね。
こればっかりは天気も関係するしね、ギリギリになりそうだよ。
正門からはすぐロータリーになっていて、正面玄関でお客様が降りると、馬車はそのままロータリーを回って敷地内にある馬車置き場へ入る事になる。
この馬車置き場が正面玄関のすぐ右手なんだよね。う~ん。
もうちょっと広い敷地が欲しかった!
昨日ヤンデーノに到着して直ぐにチラっとは見たけど、ヤンデーノのホテルの内装をしっかり確認しないとと中に入ると、すぐに広いレセプションが広がっており、その横に大きなガラスの扉が。
その奥に青と黄色が基調になっているタイルがパティオの池の水を反射していて、キラキラ★!
綺麗。
もう、ちょっとでも早くパティオを見たくなって、駆けて扉まで行き開けると、キラキラだよ。
流石、港町。
太陽がギラギラ。
その陽射しを浴びて水やタイルがキラキラ。
プリティー♪
小さな鉢植えの花がいっぱい内壁に取り付けられていて、パティオの真ん中のゴシック風の柱には少量だけれど空中庭園の噴水の水が流れ落ちている。
エキゾチックな木がたくさん植わっていて、気付きづらい所にベンチが設置されている。
これはベンチに座ると、他のお客様の視線には極力晒されないし、日陰で、近くから池の水音が聞こえてくる配置にしてくれたんだね。
流石父さんだよ。
はぁ、素敵。
森林浴だぁ。
暑い太陽の陽射しが直接は届かない所もあって、日陰も適度にあるし、いい感じ。
「アウレリア、内装を確認するんじゃないのかい?」という父さんに呼ばれ、しぶしぶ建物の中に戻った。
レセプションの斜め前はコンビニで、壁が無い。
もちろん商品を置く棚はあるんだけれど通路側には背の低い木製の商品棚。開放感!
反対に壁際は背の高い木製の商品棚が設置してあるので、圧迫感が無い。
もうフェリーペん所の従業員が商品をある程度並べているので、お店感はしっかり出ている。
あ、これ、工事の人用のお弁当とかかな?
ウチのレストランのホットドッグとかサンドイッチだよね?
「あのぉ、この食料品って売れてますか?」
コンビニの奥で仕事をしていたお姉さんに聞いてみたら、「はい、工事の人が毎日買ってくれるんですよ。何にしても美味しいですからね」とにっこりプライスレスな笑顔をくれた。
うん、なかなか感じよさげな雰囲気。
後はカードルームを見て見ようかなぁ。