軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

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今夜がグランドオープンの日だ。

エステとかタロットカードの部屋に入り浸っていたご婦人方も、何かと理由を付けて3階まで何度も覗きに来ていた紳士たちも、大手を振ってカジノルームに入って来た。

昨夜のビュッフェスタイルの夕食は食堂の方であったが、今夜はカジノでビュッフェだ。

料理は昨日とは被らないメニューが主なのだけれど、特に人気のあったローストビーフや自家製のスモークドサーモンやベーコンを使った料理も並んでいる。

メイドたちも段々慣れてきて、自分の御主人様たちがどんな料理を好むか普段から把握している事もあり、せっせと気に入りそうな料理を運んでいる。

壁際に椅子は並べてあるが、今夜のメインはカジノ。

なので立食なのだ。

ダンテスさんによるとお貴族様のお館でのパーティも立食が普通なのでテーブルは最低限しか置いてなくても問題ないとのこと。

それよりもカードゲームやルーレットの台に食べ物や飲み物を置かれない様に白い布を被せておく方に気を使ってくれていた。

そしてその布の上に『この台の上には何も載せないで下さい』という大きな札を置いてある。

「皆様、フローリストガーデンのホテルへようこそお出で下さいました。私共のホテルは大公様のお声掛かりで実現致しました」

貴族の男性程華美ではないが、ぱっと見貴族に見える服に身を包んだ父さんがカクテルグラスを片手に挨拶を始めた。

「このホテルは現在、この村だけではなくナイトル村やゴンスンデ、そしてヤンデーノにも建設中で、ヤンデーノに至っては来月オープンする事が決まっております。旅をされる時は是非、私共のフローリストガーデンホテルをご利用下さいませ。また、お知り合いの方々にも当店についてご紹介頂けたら幸いです。本日はグランドオープンと言う事でそちらのバーエリアに温かいお食事をご用意しております。また、カクテルも複数ご用意がございますので、ご堪能下さいませ」

今回は招待なので、宿泊料も飲食も全部無料だ。

なので、ご堪能下さいのくだりで大拍手が起こった。

「ここは本邦初公開、カジノという施設でございます。この場はお金をおもちゃにして遊ぶ場でございまして、一夜にして億万長者になったり全財産をすってしまう場所でございます。ルーレット、カードと様々な遊戯がございますが、お金を賭ける事が前提となっております。こういう賭け事は嵌ってしまうと中々止める事ができないので、末永くお客様にお出で頂くためにも、一晩の換金の上限が金貨300枚と決まっております。通常は私の右手にございます入口で一度換金すると翌日にならない限り再度の換金ができない様になっておりますので、ご注意願います。今夜の皆さまの軍資金ですが、太っ腹にも大公様から金貨10枚分のチップを進呈致します」

多くの貴族が大公様に拍手を捧げ、大公様の近くに立っていた貴族は大公様に握手を求めるなど大げさに謝意を表している。

「どんなルールの遊びなのかは、各テーブルにおりますスタッフ、ディーラーにお尋ね下さい。チップは現金のみと交換致します。それは現金をチップへ交換する際も、反対にチップを現金に交換する際も全く同じルールでございます。それでは存分にお楽しみください」

ウチのホテルはカジノへは入口が二か所あったのだが、片方を同じ階にあるエステ専用とすることで一か所に変更したのだ。

これで、最初の入場の際に上限金貨300枚までチップに交換できるが、現金がなければ信用貸や宝石などで交換等は出来ない様にしている。

宿泊代の方は基本現金で前払いなのだが、災害時などもあるだろうし、追剥にあう等のやんごとない事情の時もあるだろうから、2泊分までは手形も受け付ける事にはなっている。

現金前払いでご宿泊頂いたお客様も、チェックアウトの時にはロビーでお待ち頂き、その間にウチのスタッフが部屋へ走り、壊されたもの、盗まれたものがないかどうかをチェックした後、前払いと差額があればその時現金清算となっている。

ロビーで待たせてしまうので、その際はホテルが紅茶を一杯御馳走する事になっているので、文句を言う客も少ないだろうとは思っているが、実際に自腹で泊まる客となればどうなるかは分からない。

大公様から招待された大人全員に金貨10枚は少ない様に思えるかもしれないが、招待された客の数を思えば大判振る舞いだ。

招待客には金貨10枚分のチップと更に自腹でチップに交換したい人がいた時のために、木札を渡してある。

既に入口から中に入り飲んだり食べたりしているので、誰が追加で換金したのか分からなくなるので、この木札を持参してもらえば入口の換金ブースで一度だけ換金できる様にしたのだ。

何人もの人がルーレットやカードゲームのテーブルに我先に向かった。

新しい遊びには貴族は敏感なのだ。

カードゲームもいろんなゲームがあり、ゲームの種類によってテーブルが違うのだ。

将来的にはスロットマシーンも作って置きたいのだが、まだその開発までは手が回らない。

でも、ディーラーの必要のないゲームというのは経営者にとってはとても魅力的なのだ。

人件費の安いこの世界で、どうしてディーラーより機械の方が良いかと言うと、研修の必要がないのだ。

研修とは金食い虫なシステムの上、教える人も必要になり、人が育つまでに結構時間が掛かるのだ。

でも、人を雇うとなると絶対に必要なシステムでもある。

システムとか好きなセシリオ様とかボブが、効率の良い研修システムを考え出してくれないかなぁ~と思いながら、グランドオープンをカジノの端っこで見ていたが、そろそろお子ちゃまは部屋に戻らないとだね。

カジノの射幸心を煽る様なちょっとケバイ装飾も問題無く受け入れられた様で、多くのお貴族様たちが目の色を変えてカジノで遊んでいる姿を背に、従業員寮に向かうべく、コンシェルジュのセバスに手を引かれホテルのメインの建物の裏から庭へ下りた。