軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

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帝国の第三皇子サムエル様の銀糸の様なおかっぱ頭が目に入った。

サラっサラだよ。お手入れ大変そう。

その横にはディアナと呼ばれる皇子の従妹が立っていた。

彼女の髪は漆黒で、これまたストンとした癖のない髪を長く伸ばし、クリサンテーモの制服である青色の服を着ている。

「いやぁ、ここは私が管理しているクラブで、私がやりたい事だけを実施するクラブなんで、皇子様が入部なされても、ご自分の思う活動は出来ません。どちらかと言えば、ご自身でクラブを立ち上げて好きな活動をされる事をお薦め致します」

うぉぉぉぉ。闇王様の背中から何か黒い物がモクモクと・・・・。

俺様闇王であっても他国の皇子にはオレではなく、ちゃんと私と言う話し方になってるのは流石。

私たち4人はまだ玄関を入った所で立ったままテニスの試合の観客の様に、発言者が代わる度顔を左右に振って固唾を呑んで見守っているの図になっている。

「いえ、僕の思い通りになんて思っていないのでこちらへ入部させて頂きたいのです。今回のドッジボール大会の企画・運営力に驚きました。色々と学ばせて頂きたいと思っているので、是非入部を許可して下さい」

サムエル様も後に引かない構えみたい。

「ゴクリ」

フェリーペが唾を飲みこむ音がいやに大きく耳に届いた。

それくらい部室の中は一瞬全くの静寂に包まれた。

そして闇王様の背中の黒い何かが更に量を増した気がしたのは私だけだろうか?

「いえいえ。ウチには貴族だけでなく平民の部員もかなりおりますので、皇族と一緒の活動となると前から所属している彼らに支障をきたしてしまいますので、どうか、ご自身で別途クラブを立ち上げて頂きたい」

「う~~ん。なら、その平民のメンバーたちの同意を得れば良いのかな?」

「はぁ~」

おいおい闇王様、そのこれ見よがしな溜息は他国の皇族相手に不遜と受け取られるんじゃないの?

「サムエル様。貴族が平民にモノを訊ねると言う事は命令すると同義になります。その場では頷いたとしても、段々と部室に来なくなりますよ。そうするとイベントの企画や運営も貴族の部員だけで行う事になり、結局は目新しさの全くない楽しくもないイベントになると愚考します」と、闇王様も一歩も引かない。

でも、言っている事は正しいと思う。

皇族がウチの部に入るのなら、私は錬金術クラブだけで良いよ。

「サムエル様」

横からセシリオ様が声を掛けた。

「ウチの部長の言う事も一理あると思います。そこで、ウチの部へ入部されるのではなく、次に予定されている夏の『鳥人コンテスト』の運営時のみ、オブザーバーとして要所要所で参加されて流れを掴まれてはいかがでしょうか。その後はご自分のクラブを立ち上げて、ご自身とお仲間のアイデアで我々とは全く違うイベントを企画されれば、学園としてもイベントの数も増えて喜ぶのではないでしょうか。もちろん、ウチの部に余裕のある時であれば、色々とお手伝いも出来るかと存じます」

「う~~ん」

サムエル様は唸っている。

いいぞ!いいぞ!セシリオ様。

このまま押し切って下さいませぇぇぇ。

闇王様がダメ出しとばかりに「ウチは平民部員の方が多いので、兎に角、入部は難しいと思います」と可成りきっぱりと言い切った。

サムエル様は暫く唸っていたけど最後には「分かった。ではその鳥人コンテストというのは、何時頃から準備に入るのだ?」と半分譲歩した形になっていた。

「コンテストそのものは夏休み直前で、昨年度は2ヶ月くらいの時間を掛けて準備したのだが、今年は学園側が中心となって準備するので、このクラブでは2~3週間前からで良いと思っています。もちろん、こちらが何らかの準備をする時は前もって声を掛けるし、声を掛けるまでもない小さな準備であれば、後からちゃんとそちらへ報告します」

「う~~。そうか、分かりました。必ず連絡を下さい」と入部しない方向で話が決まった様だ。

マジでほっとしたよ。

サムエル様の入部を受け付けなかった事で従姉であるディアナ様はすごい目つきで闇王様を睨んでいるけど、そんな態度でいいんでしょうかね?

ディアナ様は子爵家の娘と言えど、帝国ではなくオルダル国の貴族なんだよね。

オルダル国の中では相当位が高い闇王様にあからさまに敵対するのはあまりよろしく無いのでは?

まぁ、私に関係の無い事なので、どうでもいいと言えばいいんだけどね。

サムエル様が退室されるのかと思って私たち4人は玄関周りから退いて通り道を確保したのに、「部を立ち上げる時の参考にしたいので、部室を見せて欲しい」なんて言いやがりましたよ。

部室ってある意味プライベートな空間だと思うんだよね。

特に、ウチの部の様に風呂場まである様な所はあまり知らない人に踏み入れて欲しくないんだよね。

うがーーー!

「分かりました。では、僕がご案内しましょう。僕はトラッツィーア家が長男、セシリオと申します。では、こちらへどうぞ」

折衝的な動きは闇王様より、彼の幼馴染のセシリオ様向けだと思う。

本人も自覚があるのか、こういう時は率先して闇王様との間に入って来る。

「では、二階からご案内しましょう」と言って案内を始めると同時に、私の方を振り向いて目だけで作戦会議室の掲示板の方を指示した。

ん?セシリオ様は何を言いたいんだろう?

私はキョトンとしていたが、フェリーペはセシリオ様の意図を汲み取ったのか頷いて掲示板の方へ普通の足取りで近づいて行った。

セシリオ様は一度だけかすかに頷き、闖入者二人を二階に案内するために階段を上って行った。