作品タイトル不明
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昼食後、火魔法講堂の最初の試合は1年Aチームの試合で、帝国の第三皇子がメンバーとして入っていた。
冬休み明けからの留学だったから、この1か月ちょっとでルールを覚えた事になる。
まぁ、単純なルールなので覚える事は少ないけど、1学期にはいなかったのにクラスメイトに溶け込んでいる様で、すごいなぁと思った。
皇子のクラスには皇子の従妹も一緒に途中入学して来ており、彼女の方は試合には出ていない。
綺麗で儚げな子なので、男子の人気がありそうだ。
ウチのクラスのマリベルたちは、皇子の試合に合わせて講堂を都度変えているみたい。
あの二人は相変わらずだねぇ~。
火魔法講堂の午後からのアナウンスの一部は、実行委員会のおねいさまに急遽お願いしてみたら、意外と快く引き受けてくれ、今、私は3人と一緒にあややクラブの部室に戻って来ている。
フェリーペがちゃんとお昼を食べていなかったので、おやつを作る事にしたのだ。
闇王様が居ないのに、勝手に食材を使ってごめんなさいなんだけど、少し多めに作って冷蔵庫へ入れておけば、後から欲しいと言われた時に早く出せるので、許してもらおう。
ドッジボール大会そのものの評価は、保護者からも生徒からも頗る良い評価を貰っているみたいで、さっき準々決勝のスタッフ最終打ち合わせの時に、火魔法講堂でフント先生が嬉しそうにそう伝えてくれた。
そういうのって滅茶苦茶嬉しいよね。
私たち4人もおやつを食べる時もその嬉しさが持続していて笑顔のままで自分たちの顔くらいの大きさの肉まんを大口で頬張る。
う~~~ん、我ながら美味しい。
おやつを食べ終えると、最終打ち合わせに来ていた例の1年生の子をボブが茶化して私たちに教えたのを思い出したらしく、「俺は後輩がどうのって全然気になってないからな」とフェリーペが必死で私に言って来た。だからそういうのはいいんだってば。
話題を変えたくて昼食を途中で逃げたのに、自分からその話題を持ち出してどうする?フェリーペ君よ。
ここは可哀そうなので、いっちょフォローしておくか。
「後輩から人気があるって良いよね。頼り甲斐があるって思われてる事だもん。それって誇りに出来るよ。すごいね、フェリーペ」
そう言われて悪い気はしなかったのか、漸くフェリーペが落ち着いてくれた。
おやつ後、火魔法講堂に戻る道中、勇者様が「リアって凄いね。心が広いね」って、ああた!闇王様の自分への好意には鈍感なのに、フェリーペの気持ちには敏感って・・・・。
闇王、不憫な子。
そんなこんなで順調に順々決勝まで来た。
準決勝からは屋根のない所での試合だから、雨天だったらヤバかったねぇ。晴れて良かったよ。
で、得点を投影機で周知させるための大型スクリーンもそちらへ設置されている。
屋内ならはっきりと数字が見えるのだが、屋外なのでまたまた魔法でスクリーンの周りだけ暗くしての投影だ。
まぁ、それでもちゃんと数字は見極められるので、問題はないんだけどね。
前世の記憶がある分だけ、私一人がくっきりした画像でない事に不満に思っている様だ。
ここからはフント先生とセシリオ様の解説が入るから、更に観客の熱気はアゲアゲになるよぉ~と思っていたら、正にそんな感じになった。
2つの準決勝が終り、いよいよ次は決勝だ。だが、その前に20分の休憩。
保護者や生徒がトイレ休憩している間に、アドリエンヌ様は空中テラスで育てている花で優勝チームへ渡す花束を作るために部室に戻ったはずだ。
テラスで作業しているアドリエンヌ様にあっつあつの肉まんを届けたいジャマイカ。
ということで、私も走って部室に戻り、スキルで即温め、お茶を淹れ、アドリエンヌ様に「頑張れ~」と言いつつ差し出すとニッコリ笑ってもらえ、その足で火魔法講堂へ戻った。
「ゼェハァ」と言いながらMC席に着いて、呼吸を整える。
決勝は1年Aチームと3年Eチームだ。
今年は混合チームは作らず、各クラス1チームのみの出場にしてもらっている。
各学年の成績の良い貴族クラスからAチーム、最後のEチームは平民クラスにしたので、3年Eチームは平民ばかりなのだ。
そして1年Aチームには帝国の皇子がいる。
可成り面白いカードだと思う。
他国の皇族の居るチームと、平民しかいないチーム。
忖度なんてすんじゃないですぞぉぉ。
「ピピッ。試合開始!」
華麗な応援合戦の後、試合は始まった。
1年生チームは男子が殆どだ。
3年生チームには女子がちらほら。
平民クラスは押しなべて女子生徒が少ないのに珍しいなと思っていたら、このチームのリーダーは女子生徒みたい。
彼女は的確に仲間に指示を出している。
「早く、パコに返球して」
「ドルバ、今よ!」
「固まらないで。バラけて」
反対に1年チームは皇子を中心に彼が動きやすい様にみんなが動いている。
とうとう最後には1年チームで残っているのは皇子一人になってしまった。
3年の方はまだ3人残っている。
タイムアウトの可能性もあるので、ここいらで攻めないと1年チームは負けちゃうかもとアナウンスすると、それを聞いていたのだろう、皇子が力いっぱい敵チームに向かってボールを投げた。
リーダーの女の子がボールを抱え込もうとしたのだけれど、スピンが掛かっていた様でボールを弾いて失格となった。
そこからは皇子の華麗なプレーに女子生徒たちがポぉっとした顔で試合を見ている。
誰を応援しているかは一目瞭然だ。
結局、女子生徒たちの熱い応援のお陰か、1年Aチームが優勝し、トロフィーは闇王様の手で皇子へ渡された。
誇らしげな表情の皇子がトロフィーを両手で掲げると「「「「わぁぁっぁぁ」」」」」と大歓声が起こった。
最後には、保護者も含めて全員の盛大な拍手で大会は幕を閉じた。