軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

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大聖堂前の広場には出店なんかに交じって何度か来た事のある乗合馬車の駅がある。

スティーブ伯父さんたち2家族が、父さんの声掛けで王都に来てくれた時も迎えに行った所だし、私自身がポンタ村へ行った時もここから出発したしね。

父さんは駅に常駐している乗合馬車組合のオジサンに最近の旅行者の数なんかを聞いたりして時間を潰しているんだけど、私はランディが着いたらどこへ連れて行こうかとか、意外と自分が行った事のある場所が王都内には少ない事に気付いたりと、それなりに頭の中は忙しくしていたら、木製の馬車が1台広場に入ってきて、駅の所に停まった。

「リア!」

前よりも可成り背が高くなったランディが降りて来た。

「ランディ!」

二人で駆け寄ってキャイキャイと喜んでいたら、後ろからゆっくり『麦畑の誓』のメンバーが降りて来た。

「アウレリア、相変わらずレティシアそっくりね。元気そうで何よりだわ」と、赤毛のミルコが私の頭を撫でてくれた。

「おお!ごくろうさま。今回も、助かったよ」と父さんがすぐに『麦畑の誓』と話し始め、ギルドへ提出するための業務終了証書にサインをしている。

「こういう楽な仕事は何時でもウェルカムよ」

「あはははは」なんて、話しながら、ポンタ村の近況なんかについて話し始めた。

「リア、王都ってすごいのなぁ~。大きいし、綺麗だし、馬車の中からはあんまり見れなかったから、ゆっくりあっちこっち見たいなぁ~」

「うんうん、一緒に行こうね。父さんにもいろいろ連れて行ってくれる様に頼んでるから、後でどこへ行くか話そう。で、他の所も行きたかったら、早い内に父さんに言った方がいいと思うしね」

「おおおお!でも、まずはリアの妹とリアが作ったっていう食堂を見て見たいよ」

「うん。直ぐ行こう」

そうこうしていたら、父さんが『麦畑の誓』の面々もお昼ご飯を一緒にどうだと誘い、今までウチの店に来た事がないので、是非にと言う事になった。

「少し歩くけど、貴族街の端っこにあるんだよ~」

「「「ええええ」」」

『麦畑の誓』の面々は、端っこと言えど貴族街にあると聞いて、驚いた様だ。

「うちら、この服で行ける所なの?」

そう言われて見てみれば、冒険者の人たちが着ているいつもの服で、泊りがけの移動をして来た事もあり、ちょっとヨレヨレだ。

「父さん、お店って予約でいっぱいだよね?家の居間で食事をしてもらうの?」

「おお!そうだな。店の方は予約でいっぱいだから、どっちにしても席はなかったしな。家は土足厳禁だけど、それで良かったら是非。その方が服装とかも関係ないし、店だけじゃなくってウチの家も見てもらえるしな。料理はお店で出すのと同じのにするぞ」

「「「わぁ~。それは嬉しい」」」

フローリストガーデンの門の前まで来ると、門番のグルーが「おかえりなさい。いらっしゃいませ」と門を開けてくれた。

「うわぁぁ」とミルコが庭を見るなり口を大きくポカーンと開けた。

冬が近づいている庭園には、春季程色鮮やかな花々が咲いている訳ではないが、落ち着いた紫のクリスマスローズやパッと目を引くピンクのシクラメン、紫や黄色のパンジー、臈長けた貴婦人の様な佇まいの蝋梅、そして赤や白の山茶花の木が効果的に配置されていて、散策しても楽しめる様になっている。

流石、父さん!

見るなりランディはお庭に走って行った。

「すげぇぇ」

「こっちの右手にあるのが温室と言って、冬でも暖かくて、時期外れの花なんかも咲いてるので、食事の後にでも見てくれ。温室は王都でもここにしかないんだよ」と、父さんはミルコたちに嬉しそうに説明をしているのだが、ランディは庭の中を散策するのに忙しいみたいで聞いていない。

「このお店、貴族の館の中にあるのか?」サバドが庭の奥にある館を見て、思わず口から零れた様に呟くと、他の『麦畑の誓』のメンバーも頭を縦にビュンビュン振っている。

「ああ、元々は下級貴族の館だったのを買い取って店と住居に変えたんだ」

ランディも含め、みんなぼーっと館を見つめて動かない。

しょうがないので、「さぁさぁ」と促し、冬なので誰も座って居ないウッドデッキの横にある本館の玄関から入り、チラっとレストランの客席の方を見てもらった。

「ちょっ!ギジェルモ、ここってお貴族様専用の食堂なの?」と、ミルコの姉、ドローレスが父さんの袖を引っ張った。

「いやぁ、別にお貴族様だけではなく、平民も来てるよ」

「でも・・・・、ここに来れるのは大商人とかだけじゃない?」

「まぁ、商人の方は羽振りの良い方が利用して下さってるね」

ランディはあんぐりと口を開けて、玄関から動かない。

それを見たパンクは冷たい目でランディを見ている。

ちょっとちょっと、仮にも親戚なんだから、もうちょっと優しい目で見ようよ。

お店のお客様たちの視線を集めたくはないので、そのまま、調理場を通って私達の家へ移動してもらおうとしたら、『麦畑の誓』の面々は伯父さんたちを知っているので、挨拶の嵐になった。

ランディの事も、マノロ伯父さんの長男が今日家に来る事を知っていたので、紹介しなくても誰か分かっているので勝手にみんなで自己紹介を始めちゃったよ。

伯父さんたちは顔見知りみたいだけど、伯母さんたちに会った事がなかったらしく、ランディがちょっとワタワタした感じで挨拶してたよ。

「今は昼の営業があるから、みんな一旦は仕事に戻ってくれ。上にあがって昼飯にするから、店と同じ物を出してもらいたんだが・・・・」

「じゃあ、ここでメニューを見てもらって何が食べたいか言ってもらったらすぐ作るよ」とマルタ伯母さんがちゃっちゃと仕切ってくれた。

「ここのはコース料理と言ってね、いくつかの料理が既に用意されていて、メインの料理、つまり肉か魚料理の所だけ好きなのをリストから選んでもらう様になってるんだよ。後、デザートもそうだけど、それは全種類、最後に持って上がるよ」とマルタ伯母さんの説明を聞いても、皆理解してなかった様なので、魚の塩釜焼きと牛肉の塩釜焼き両方を持って来てもらう事にした。

これなら、ウチの店の看板メニューだし、魚が嫌いな人はお肉食べられるし、両方食べたい人もどっちも食べれるしね。

食前酒のカクテルはお任せでトマムさんにお願いした。

もちろんランディと私、そして出産したばかりの母さんは果実のジュースだけどね、『麦畑の誓』のみんなにはお酒も楽しんでもらいたいもんね。

この世界ではお昼からお酒を普通に飲むからね。

「ささ、こっちの階段を上がると居住区なんだ。私たちは3階に住んでるからちょっと上まで登らないといけないので申し訳ないけど、ついて来てくれ」と言って父さんが上り始めるとみんなが後からついて登った。

「ここからが俺たち家族の住居なんだが、土足厳禁だ。申し訳ないけど、ここで靴を脱いで、こっちの履物に履き替えてくれ」

『麦畑の誓』の面々が靴を脱がなくちゃいけないとなり、ちょっと挙動不審になったのに笑ってしまった。