軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

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晩餐会当日、下働きを含むフローリストガーデンの調理部隊全員がカートを手に城へ到着した。

奥門へ行きつく前に別途カートの検査を受けたが、食べ物でもないし、複雑な形もしていないのでスッと通った。

「本日は調理場をお借り致します。どうぞよろしくお願い致します」

「「「よろしくお願いしますっ」」」

ウチの調理部隊全員で城の調理長へ挨拶をする。

調理場はまだ昼食の仕度があるので、我々は桶などに水を入れ食糧保管室まで運び、そこで下拵えをする事になった。

この水を運ぶのにも持って来たカートは役に立った。

まず、食材の状態を私が鑑定を使って再度確認。

保管の数量に変わりがないかは父さんがリストと照らし合わせて確認した。

ローストビーフの為に牛肉を適当な大きさに切り、肉の周りに香辛料などを塗したり、ポタージュの材料を小さく切り始め、肉のソース作りを平行して行う。

メダリオンステーキの為にベーコンを薄く切ったりの作業もある。

ナスカはレアチーズケーキの土台の為にビスケットのタネを作り始めた。

皆、私が事前に作ったタイムラインに沿って作業を進めている。

最初の薔薇の皿の為に葉っぱ部分となるさやえんどうの筋は下働きの子たちで人海作戦で取った。

私はバルサミコソースを作るために食材の分量を量る。

火を使うのは昼食が終った後の調理場になるので、今ここでやることは、野菜を洗ったり切ったりの下拵えだ。

そうこうしている内に調理場が空いたという案内が来た。

再び持参したカートを使って食材を全て調理場へ運び込んだ。

父さんがもう一度食材リストを片手に調理場の入口に立ち、運び込まれる食材の数量等を確認する。

もちろん私もその横に立ってシレっと食材等の鑑定を行う。

今のところ問題無く、どんどん食材を運び込んでいる。

オーブンは全部で3つ。もちろん内部の温度が分かる様な機能は無い。

そして、並んでるオーブンの向かいに6口の錬金術で作られたコンロ。

まな板は無くて、オーブンの上が調理台になっている。

洗い場は2箇所。調理台の両端にある。

錬金術で作られている大型の冷蔵庫と冷凍庫。これがあるのは助かる!

調理場の奥に皿等が種類別に棚に並べられている。

出入り口の前に配膳台。

まぁ、大体こんな感じの調理場だけれど、ウチの店にある様々な調理器具がないだけに広くて殺風景に見える。

さぁ、調理を始めますか!

ローストビーフの様に冷めても良い肉料理等は早々に火を通し始める。

レアチーズケーキの土台となるビスケットもナスカがオーブンで焼き始める。

たくさん使うバターは作りたてが美味しいので、下働きの子たちに控え室で作ってもらっているので可成りの量を確保できている。

全てが概ねタイムラインに沿ってドンドン進む。

洗い物も下働きの子たちが頑張ってちゃっちゃとやってくれているので、調理台を常に広く使えている。

父さんは城の給仕係の人たちにカートを使ってのサーブについて説明をしている。

一度に大量の皿を優雅に運べるとあって、給仕係のお姉さんたちは喜びの声を挙げている。

前菜の飾り付けは時間が掛かるので、スティーブ伯父さん、マルタ伯母さんと私でどんどん進める。

途中からカプレーゼを作り始めたトム伯父さんの邪魔にならない様に、出来た物からカートの上に並べる。

前菜を飾りつけながらもマルタ伯母さんはちょくちょくポタージュの火加減を見に鍋のところへ行く。

ポタージュは煮た材料を漉さなければならないので、事前に持ち込み確認してもらっていた手動のフードミルでの作業がある。

このフードミルは城での作業のため、わざわざ私のスキルで作り出したもので、逆三角錐の様な形の部品が二重になっており、上にクルクルと回すハンドルが付いている。

逆三角錐2枚の金属パーツに入り込んだ細かい食材をすり潰す様に使う物だ。

ヨーロッパの家庭で電動ミルのないお家なんかで現在も使われている調理器具なのだが、大人数のポタージュを作るには手が死んでしまうくらいクルクルしなければならず、そういう作業は下働き君たちに人海作戦してもらう予定だった。

でも、伯母さんがフードミルを手に取ると何故か壊れていた。

ハンドルとミル本体との連結部分が壊れて、ハンドルを回してもミルが回らない。

4つ用意していた内の2つが同じ状態なのだ。

1つなら分かるが2つとなると怪しいと思ってしまう。

妨害の1種だろう。食材の方は何度も鑑定したけれど、機材の方は昨日1回しただけだった。失敗だぁ。

何に使うのかまでは分からなかっただろうが、4つあるから半分くらい壊してやれと思ったのかもしれない。

これは出す料理に何かされることも考えて、父さんには警戒を高めてもらう事にした。

給仕も含めて調理場を出るまでは誰も料理に近づかない様に見張ってもらわないと危ないね。

それと毒見役には調理場で、調理長と宰相側の人間の立ち合いを求める事にしよう。

調理場を出て会場の間までに何かを混入されても、ウチの責任にならない様にしないとね。

フードミルで城の調理場には悪意がある事が分かったものね。

「アウレリア、普通のスープとして出す?」

伯母さんの顔はちょっと青い。

フードミルで漉すつもりだったので、食材の大きさを均一に切ってないし、一口で口に入れる事を考えてないので一つ一つの具材の大きさも適切とは言えないのだ。

「伯母さん、調理長から見えない様にここに立ってもらえる?」

「それは良いけど、どうするんだい?」

「私のスキルでパパっと仕上げるよ」

「分かった!ここに立ってるから大丈夫なはず。パパっとやっちゃって」

「うん」と答えると同時にスキルでポタージュは滑らかな液体になった。

スキルを使うのなら道具を直すより、直に料理を仕上げた方が早いし間違いがないもんねぇ~♪

ふぅ~とかいてもない汗をぬぐう真似をするとマルタ伯母さんが悪い笑みを浮かべていた。

どうしてフードミルが壊れていたのかは今は追求はしないでおこう。

晩餐会が始まり、トマムたちバーテンダーが作ったフルーツやピンクの塩などで綺麗に飾られた食前酒が毒見され、カートに載せて運ばれて行った。

3種類のカクテルを事前に用意し、お好きなモノをチョイスしてもらう形式にしているので、どのカクテルも可成り大目に作っている。

さぁ、晩餐会が始まったよ~!