作品タイトル不明
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「じゃあ、新入生の2人はここに来て下さい。どこに何があるかの説明をします」
新しく錬金術クラブに入部した新入部員が、オスカル部長の後をひな鳥よろしくついて回っている。
「おいっ、そこ!無闇に触らないで!」
あ、新入部員が何かやらかしたのかな?珍しくボブが声を荒げてるよ。
触ったらカブレたりする素材を勝手に触ろうとしたらしい。
「続けるぞ。ここが硫黄のストック、その横は砂利だな。こういう風にプレートが出てるから、それを確認する様にね。万が一、プレートが見当たらない時は適当に材料を取ってくるのじゃなくて、必ず先輩に確認してね。でないと、間違った素材を取ってきて、最悪爆発したりする事だってあり得るんだから気を付けてね」
何か懐かしいなぁ。
私たちが入部したばかりの時もサラサ部長に連れられて、在庫の話しや、錬金術の道具の場所や使う順番なんかについて説明してもらったなぁ。
部室が広いから、壁際に作りつけられている1.5メータル四方の蓋のない木箱がたくさんあって、それぞれ別の素材がストックされているんだよね。
メモとりまくった覚えがあるよ。
今年はボブも新入生の副担当に任命されたんだ。
去年、サルサ部長に代わってちょくちょく教えてくれたオスカル先輩やタチアナ先輩の立ち位置って事だね。
恐らくだけど、物を教えるのはフェリーペの方が適任だとは思うけど、錬金術に関する知識はボブが抜きん出てるしね。
ランビットも知識は高いけど、魔力がないので実演をして見せる事ができないから、ボブに白羽の矢が立ったんだと思う。
いずれスイカズラ錬金術工房を継ぐんだから、無口でばかりはいられないと思うから、今の内から後輩の面倒を見るのはボブにとっても役に立つはず。
ボブが新入生の対応をしているのを横目に見ながら、冬の即売会の商品を考えようと、私は部室の大きなデスクの一つに着いた。
地球の調理室の様な、化学室の様な、水道のついた横長のデスクなので、私の横にはメグ、真正面にはフェリーペ、その横にはランビットが座って居る。
「リア、何をしているの?」
「う~んとね、大公様から宿題も出てるし、あややクラブの方のイベントの事もあるから、もう冬の即売会で何を作るか考えようかと思って・・・・」
「わぁ、もう考えるの?一緒にやらない?」
「うん、いいね、一緒にやろう!」
「え?お前たち、もう即売会の商品を考えるの?俺、どうしようかな・・・・。一緒にやりたいかも。でも、まだ早すぎて何をどうしたいかとか思い付かないよ」
「うん。急いで決めなくてもいいんじゃない?」
別々の物を作ったっていいんだし、一緒に作るにしても実際に作るのは先の事だからと思ってそう返事をしたら、「いやぁ、一緒にするなら最初から決めておかないと、後から便乗じゃあ悪いでしょう」とランビットも言うので、どうせなら、今からみんな夫々に何を作りたいかを考えて、案の段階で一緒に作りたい物だったらその時タッグを組めば良いということになった。
「じゃあさぁ、今ここにボブがいないから宿題にしないか?で、ボブがいる時に話し合おうぜ」
「うん。ランビットもメグもそれでいい?」
「「いいよ」」
「それじゃあ、今はそれぞれに何を作るか考えるでいいか?」という事で、夫々がメモにいろんな案を書きなぐっている。
実はトランプとかダーツとかこの世界には無い遊べる物を作りたいなっていうのは考えていたんだけど、本当に欲しい物は動画を録画して投影できる機械だったりする。所謂テレビ放送を実現するための道具ね。
でも、これは私の手に余るんだよね。
動画を録画できてすぐに投影できるのなら、今年の鳥人コンテストなんかでもっと楽にスクリーンを利用できると思うんだぁ。
まぁ、今年も鳥人コンテストがあればだけどね。
現実的にはダーツとかの方が作り易くはあるんだよね。
でも、ダーツ作っちゃうと、また大会やろうとか言い出しそうな人がちらりほらり。
大会になんかにしちゃったらコントロールの無い選手がてんこ盛りで、あさっての方向に投げちゃったりして怪我人が続出しちゃうかも・・・・。
ブルブル。ダーツは止めておいた方がいいかもめ。
トランプも考えてはみたんだけど、この世界にない娯楽でお金になりそうだから、できたら卒園後大量生産できる体制を作ってからでないと、香水瓶の様にどっかの貴族様に持ってかれるのは嫌なんだよね。
ゲームとしてはドミノも面白いかも。
同じ数字と数字をくっつけて並べる正規のドミノとして遊んでもいいし、たくさん並べてドミノ倒しみたいにしてもいいんだけど、これも大量生産できる体制がないと、香水瓶と同じになりそうで・・・・。
とりあえずは私の案としてはドミノにしてみようかなぁ?
あっ、でも、ドミノ倒し大会なんて企画されちゃわないかな?
もう、本当にイベントは参加するのは楽しいけど、準備は大変なんだよぉぉぉぉ。
今年はヘルマン様もいないから、大人との折衝の矢面に立ってくれそうな人って闇王様くらいのもんなんだよね。
それも外見も大人に近かったヘルマン様に比べ、身長が大人には遠く及ばない私たちでは大人たちの反応が変わって来るのは分かり切っているしね。
そういう意味もあって、今年は去年のイベントを繰り返す方が無難なんだよねぇ。
頼むよぉ、闇王様。
決して新しいイベントとか言わないでしょぉ。
これはお約束の「~やらないで」って言って、実はやって欲しいのとは違うからね。
そんな事を思っていたら錬金術クラブの時間が終っていた。
「さぁ、ボブを待って、寮に戻ろうぜ。今夜の夕ご飯は何かな?」
フェリーペと一緒にボブを回収しに行き、4人でトボトボ寮に戻った。