軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

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フェリーペの所の馬車は学園でメグを、ウチのレストランで私を拾ってフェリーペの家の近くにあるボブの家の工房へ運んでくれた。

御者のマーレさんは昨日のお礼のチーズケーキをいたく気に入ってくれた様で、改めて丁寧にお礼を言われた。

奥さんが涙を流して喜んだらしい。

喜んでもらえて何よりです。

それよりもあの重いショーケースを店の中まで運んで頂いて、こちらこそありがとうございましたなので、父さんや私からももう一度マーレさんにお礼を言った。

それに、ボブの家の近くに住んでいるにも関わらず、今日もメグや私を迎えに来てくれたフェリーペにも大感謝。

「いつも週末に家の子を馬車に乗せてくれて、ありがとうね」

最初にフェリーペの家の馬車に乗せてもらった時も父さんはお礼を言っていたが、あれから随分経ってしまったので、これを良い機会とばかりにもう一度お礼を言いたかった様だ。

私が馬車に乗り出発すると、父さんや私に続いてメグまでお礼を言うと、照れたフェリーペが道中ガイドよろしく通り道の建物なんかの説明までしてくれた。

「「「お邪魔します」」」

ボブの家の表は工房の入口になっており、両開きの扉がバーンと外に向けて開いていた。

入ってすぐは古い木製のカウンターがあり、その左側には応接セットが2つ適度な距離を置いて配置してあった。

それぞれの応接セットの間とカウンターとの間には植木や黒く塗られた鉄製の衝立が置かれており、半個室感を醸し出していた。

「うわぁ、この鉄の衝立、模様がすごいね。流石プロの仕事だぁ」

ウチの勇者様はどこへ行っても腹蔵なく話すので、素直に鉄柵のクオリティーに感動したと言う事が伝わってくる。

それもそのはず、この衝立のデザインはとっても素敵なのだ。

8㎝間隔で縦に鉄の棒が設置され、地球の古い洋館の大型門扉の様な曲線を活かした複雑な飾りが柵上部にはついており、衝立のまんまん中には工房の紋章が再現されており、上と下から1/4あたりに曲線の多い同じデザインの帯模様が付いているのだ。

これ、家の部室にも欲しいくらい素敵。

錆止めをしてベランダのアドリエンヌ様の休憩コーナーである吊り下げ型籐椅子を囲む様に置いたら、落ち着いた空間を演出できるんじゃないかな?

今度、ボブたちに相談してみよう。

錬金術クラブで4人で作ってみるとかもいいね。

「ようこそ、スイカズラ工房へ」と恰幅の良いボブの父さんが私たちを迎えてくれた。

挨拶が終ると手土産を渡した。

ウチの勇者は、店名に興味を持ったらしく、早々にその由来について質問していた。

何でも彼の母親、つまりボブの婆さんの好きな花がスイカズラなので工房名にしたらしい。

元々この工房はボブの爺さんが建てたものらしいから、当時の親方が自分の奥さんを喜ばせる為にした命名だったことだよね。

ロマンチックやぁ~。ええなぁ~。

「今日は、ウチの工房の見学がしたいという事だけど、現在進行形で作ってるお客様の注文があるので、ここで見た事は外では口外しないで欲しい。そこだけは守ってくれ」と言われ、3人共頭を縦に振る。

「まず、ここが受付カウンターで、商談が必要になれば、こことかそこの応接セットで内容を決めるんだ。で、こっちへ来てみぃ」

ボブ父はさっさと工房の心臓部である錬金窯や作業台のある広い部屋へ連れて行ってくれた。

ぱっと見ただけで職人は10人以上。

それとは別に見習いみたいな男の子が3人。

「ここに置いてある道具は基本、学園の錬金術クラブと同じ施設だと思ってくれ。ただ、新型モデルはウチの方がおおいがな。で、こっちが資材置き場だ」と工房の裏へ連れて行ってくれた。

工房も広いと思ったけど、倉庫の方が数倍大きかった。

木材や金属、宝石、何かは分からないけどいろんな色や匂いの粉がきちんと棚や箱を使って管理されていた。

倉庫は湿気の管理の為、中で二つの部屋に分かれていて、錬金術クラブの雑に置かれている材料とは違う扱いがされているのが印象的だった。

出入り口は一つしかなく木製のカウンターで遮られており、その後ろには素材の管理をしているおじさんが一人座って、何かを持ちだす度に束ねた紙に記録を付けていた。

大物はカウンターの右端にある扉を開けて、そこから倉庫へ出し入れするそうだ。

「ボブの家って、すごいねぇ。何を見てもちゃんと管理されてて、さすがプロって感じ」と私が言うと、「うん。でも、管理は大変なんだよ。煩雑だしね」とボブが答えると、ボブ父はニヤリと笑ってボブの頭をガシガシと撫でた。

幼いボブの口からスルっと煩雑っていう単語が飛び出して来たので、この工房では良く使われる言葉なのかもしれない。

メグとフェリーペに煩雑という言葉の意味をボブが説明している。

「確かに書類仕事は 煩(・) 雑(・) だけど、必要な事だからな。こういうのを怠る工房ってのは何に関しても管理が甘くて、ひいてはそれが商品にも出て来るもんさ」

ボブ父はすごく胸を張って右手の親指を上にあげた。

「それで、今日は見学だけじゃなくって画像関係の道具について質問したいって事だったな。じゃあ、さっきの応接コーナーへ戻ろうか」

「「「はい」」」

一旦座ると、優しそうな目のちょっと小柄な女性がボブ母との事で奥から出て来た。

「いつもボブの事、一緒に遊んでくれてありがとう」と言いながら私が手土産として持って来たチーズケーキを皆の前に並べながら、「頂いた物をそのまま出すのはどうかとは思ったんだけど、家で用意していた物より頂いた物の方が数倍良いので堪忍ねぇ」と、チーズケーキとお茶をコーヒーテーブルに並べてくれた。

「お気遣いなく」と言ったけど、メグの「うわぁ、ありがとうございます」っていう素直で子供らしい反応の方が良かったらしく、ボブ母はニッコリと笑った。

流石、メグ。色んな人の心を鷲掴みだよぉ。

私も普段からもうちょっと子供らしい対応を心掛けようと一瞬思ったけど、これから話す事などを考えると子供こどもしてもいられないので、年相応にみられなくても気にしない事にした。

「本日はお時間を割いて頂いてありがとうございます。夏休み前に学園でイベントを予定しているんですが、遠くからしか見る事ができないので、それならいっそ映像を撮る道具があるのならば、それを使って拡大して参加者に見せたらどうかなって思いまして・・・・。どんな道具があって、屋外でも操作は簡単かとか、撮った映像をそのまま投射できるかどうかとか、色々お教え頂けたら嬉しいです」