軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

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「ただいまぁ~」

私が店の敷地に入るなり、手にしていた小さ目の熊手を置いて腰を叩きながら立ち上がった父さんが、歩み寄って来た。

「おかえり。アウレリア、モンテベルデ家の事では済まなかったな」

「大丈夫だよ、父さん。問題なく入部できたよ」

「そうか、ありがとうな」

「ううん。ヘルマン様のお陰で、クラブ活動が活発化したから、部長さんも感謝してたよ」

「なら、良かった」

父さんは心底ホッとした顔をした。

ちょっと前まで寄せられていた眉間に、大人の事情を子供の世界に持ち込んだのを申し訳なく思ってるのが手に取る様に分かった。

「全校生徒を巻き込んで球技大会を開こうかって」

「え?学生だけでそんなイベントを企画したのかい?」

「そうだよ。もし、今のクラブで色んなイベントの開催を体験したら、その経験をウチの店でいろんなイベントをやる助けになる気がするよ」

「そうかぁ」と父さんはまたまたうっかり土の付いた手のまま、私の頭を撫でてしまった。

「あ、ごめん。いつもうっかりだな」

「もう~」と頭から土を叩き落として、父さんにワザとジト目を向けた。

「まぁ、疲れただろう。早く中に入って休みなさい」

「ありがとう、父さん。部屋に荷物を置いたら賄いを作るね~」

モンテベルデ家からあややクラブへの入部をお願いされた時は、何て面倒臭い事を頼んでくるんだって思ったけど、闇王様がすんなり入部を認めてくれたことと、ヘルマン様は後半年くらいで卒園なので、そんなに長く一緒にいるわけではないと気付いたら、ここで恩を売っておくのも悪い手じゃないなって思ったんだよね。

少しでも父さんのモンテベルデ家へのすまないという気持ちを軽減したいしね。

まぁ、折角家に戻って来たんだから、学校の事は忘れて休みを満喫しよう。

今夜の賄いは点心を作って店のみんなの反応を見てみたいんだよね。

まだ春先で、肌寒い日もあるし、ホカホカのシュウマイとか小籠包、中華粽や大根餅、杏仁豆腐に胡麻団子を作ってみたいんだよね。

後、和菓子の評判も確認したいな。

地下のテーブルに所狭しと点心と中華スープ、春雨が入った中華風サラダ、そして杏仁豆腐と胡麻団子を並べ、暖かいウーロン茶を用意した。

「これ、何?年末の餃子と似てる様で違うね。すんごく美味しい。ちょっとづつ色んなおかずがあって面白い」と珍しくサマンサが手放しで褒めてくれる。

「粽っていうのも、食べ応えあるわね。ところで、このソースって今までウチで使った事あるのかしら?」と母さんが言うと、「恐らく年末の餃子のタレに使ってたソースを使ってる気がするよ」とはマルタ伯母さん。流石、料理人。舌が敏感だね。

実を言うと杏仁豆腐は好き嫌いが分かれたけど、胡麻団子はみんなにウケた。

杏仁豆腐は若干ねっとりとした口溶けに調整し、味は良いと言われたけど、匂いに抵抗があったみたいだ。まぁ、それも二人だけだけどね。

子供でも一口で食べれる大きさの胡麻団子をポーンと口に放り入れて咀嚼した。

「これって餡子を使ってるんだけど、今店で出してる桜餅の人気はどうかな?あれも餡子を使ってるから気になってたんだよね」と母さんに聞くと、「あれ、結構人気なのよ。ケーキとかとは甘さの種類が違うから、味の幅が広がったっていうお客さんが多いわね」と実際にお客様から聞き取った感想を教えてくれたのでとっても助かる。

私は直にお客様と触れる事が無いから、こういう情報は次のメニューを考えるのに必須なので、教えてもらえるのとそうでないのは雲泥の差なんだよね。

ありがたや~。

そうかぁ。甘さの種類が違って味の幅が広がったかぁ。

うんうん、和菓子の甘さは洋菓子とは違うよね。

和菓子は基本、干し柿の甘さが基準だからね。

甘さが舌に刺さらないっていうかさぁ。

洋菓子も和菓子も美味しいからどっちも好きだし、日によって食べたい甘さって違うんだよね。

大きな口を開けて胡麻団子をポイっと放り入れたトム伯父さんが、咀嚼しながら「この胡麻団子はお店で出せるんじゃないか?」なんて言ってる。

スイーツはマルタ伯母さんが中心に作っているので、品数を増やすと大変なんじゃないかなぁ。

ほら、伯母さんがジト目でトム伯父さんを見てるよ。

この週末の賄いは中華料理にするので、来週末はそろそろ和食を作ってみるのもいいかも。

毎晩、寮で寝る前に作り置きした和食の食材が可成りの量になってるしね。

ちらし寿司辺りから初めてみようかな。

あ、海苔巻きの方が良いかも?

寿司繋がりで稲荷ずし?

彩りが綺麗だからやっぱりちらし寿司かなぁ。

鰆とか春の魚を賄い用に仕入れているはずだから、煮つけとかにしても良いかも。

鯛とかあったらお澄ましもいいなぁ。

ああ、お刺身食べたいなぁ。

スキルで呼び出せるけどね、一度海辺の町に行ってみたい。

それで、魚市場で色々な魚を見て料理したいなぁ。

これは夏休みの時、メグん家を訪ねてもいいかも。

ゴンスンデは海が近いものね。

闇王様がくっついて来そうだなぁ。

どんな魚があるのか、一度実地に見た方がいいよね。

うん、寮に戻ったらメグに相談してみよう。