軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第847話 地上戦⑧押される戦線

アレンたちが戦場から離れ数時間経った17時頃だ。

死神クリーパーとアレンたちが苦戦する1時間ほど前の時刻だ。

メルルたちは何とかガンディーラ改を壱式および弐式を倒した。

だが、その後も続々と魔導兵器とそれを操る上位魔神、魔神、魔族たちが現れ、参式、肆式、伍式、陸式、漆式、捌式、玖式までの7体による波状攻撃を受けており苦戦が続く。

300体近くの魔神や魔族が乗り込んだガンディーラ改はステータスが30万から40万ほどあり、強敵で戦況を左右する。

1体倒すにも苦労するのだが、壱式、弐式のガンディーラ改を倒して以降、数時間3体目を倒せないでいる。

「敵主砲が来るぞ!!」

ガンディーラ改の胸部が輝き始め1体が超メガロン砲を敵陣から放とうとすることに気付き、ライバック将軍が大声を上げる。

カッ

ズウオオオオオオオオオン

超高熱のレーザービームがアレン軍に迫ろうとする中、巨大な影がライバック将軍たち盾部隊の前に出る。

だが、全長300メートルに達するメタリックな光沢のした強大なスライム状の物体が人族盾部隊の前に地面の岩肌を削りながら踊り出る。

『プルプルッ!!』

アレン軍にとって日の光を遮るほどの巨躯で、部隊と超メガロン砲を放とうとするガンディーラ改の間に割って入ろうとする。

『プルプル!!』

『プルプル!!』

さらに巨大なメタリック色のスライム状の物体の両サイドから2体の同色の全長100メートルの物体が、守り漏れがないよう3体で横一列に密集する。

ジュワッ

ズババン

全長300メートルのスライム状の物体に吸い込まれるように超メガロン砲がぶつかる。

一気にメタリックな色が一気に赤から白へと変色していき、耐えられなくなったところで大きく数十メートルの大穴を空けてはじけ飛んだ。

ダメージを受けてへたってしまった全長300メートルの物体はむくりと体を起こし全身を振るわせ始めた。

『プルプルッ!!』

パアッ

ミチミチッ

全長300メートルの物体は焼け焦げた部分を癒し、吹き飛んだ部分を再生させて自らの体に空いた大穴を塞いでいく。

この物体は石Hの召喚獣の巨大な集合体だ。

成長レベル9の石Hの召喚獣1体と成長レベル8の石Hの召喚獣2体の合わせて3体でアレン軍たち軍隊の防御を任せていた。

成長レベル9の石Hの召喚獣はバフを貰って40万前後のステータスに、成長レベル8の石Hの召喚獣はバフを貰って20万強のステータスがある。

【石Hの召喚獣の特徴、特技「自己修復」、覚醒スキル「くっつく」の説明詳細版】

・最大8体までの召喚獣が「くっつく」で結合できる

・「くっつく」により結合した分だけ召喚枠を使用する

・8体でくっつき、成長レベル9で、全長300メートル、全ステータス20万

・8体でくっつき、成長レベル8で、全長100メートル、全ステータス10万

・成長レベル9で「自己修復」で自らの体力20万回復

・成長レベル8で「自己修復」で自らの体力10万回復

巨躯と自ら何度でも回復できる特技を持ち、壁役の防御にうってつけの召喚獣なのだが、この3体のために召喚獣枠を24も消費してしまっている。

それでもアレン軍の犠牲を減らすためには仕方がないとメルスは判断した。

鳥Eの召喚獣を含む全ての視界を共有したメルスが無数の光源を敵陣から発見する。

7体のガンディーラ改は前方に3体が物理的に戦い、4体が他の魔獣や魔族たちのいる陣形奥にいて遠距離攻撃をしてくる。

1体の超メガロン砲を防いでも、敵陣奥にいる残り3体のガンディーラ改が超メガロン砲を発射しようとする。

『む!? ハク! 1体でも攻撃を止めてくれ!!』

ブレスによる遠距離攻撃を持つハクにガンディーラ改による超メガロン砲を止めるように指示を出す。

だが、7体が1体となって連携して動くガンディーラ改はハクの動きを読んでいた。

『ギャウ!?』

前方で戦う3体のガンディーラ改の右腕が光ったかと思うと、手首から先がハク目掛けて発射される。

3体同時に腹部にガンディーラ改の飛んできた右腕による攻撃を受け、ハクは仰け反りながら後方に吹き飛ばされる。

「ハク!? タムタムも守って!!」

『この距離では間に合いません』

神技「超神合体ゴーレム」も神技「迷宮主降臨」のクールタイムが終わり、合体が解除され、ゴーレムたちはバラバラに行動している。

タムタムに乗るメルルは、真横で吹き飛ばされたハクを心配して声を上げ、さらに、タムタムにもフォローに入るよう指示を出す。

だが、前線に並ぶ3体のガンディーラ改がメルルの乗るタムタム、メルスが対応できないよう邪魔をし、間に合わない攻撃であった。

対応できないまま3発の超メガロン砲がもう一度、アレン軍を襲い掛かる。

パアッ

「防壁の召喚獣が消し飛んだぞ! 盾部隊は……!? ぐあああああ!!」

ズオオオオオオン

「ライバック将軍!?」

「救助部隊は急げ!!」

魔王軍がハク、タムタムの配置を読んだ上での超メガロン砲発射だった。

成長レベル9の石Hの召喚獣を2発の超メガロン砲で破壊し、生じる大きな隙間に吸い込まれるようにもう1発の超メガロン砲がアレン軍に襲い掛かる。

アレン軍の人族で構成された盾部隊を指揮するライバック将軍が持つ2つの神聖オルハルコン製の大盾を覆うスキル「堅城壁」の障壁を消しさり、盾そのものを融解して消し飛んだ。

ライバック将軍は他の数百人の盾部隊や最前線にいる獣人部隊と一緒に吹き飛ばされた。

「天の恵みでの回復を急げ! 棺桶袋へ死体を回収せよ! 必ず全員を帰還させるのだ!! ライバック将軍は無事か!!」

「は!!」

「は!!」

盾部隊と一緒に被害を受けた獣人部隊のルド将軍が大声で指揮を出す。

超メガロン砲の威力を殺すため最前線に立っていたため吹き飛ばされたライバック将軍は両手にそれぞれもつ神聖オリハルコンの大盾を失った。

「くそ、た、盾がない……。我の盾を!!」

魔導袋に入れていた予備にと名工ハバラクが入れていた。

だが、既に全て何度とない攻撃を受けた中で使い果たしており、魔導袋を振っても大盾は出てこない。

「くそ、お前のを借りるぞ……。そうか、右腕がもうないのか……」

アダマンタイトの大盾を握り締め既に息絶えた盾部隊の1人から拾って、ライバック将軍は前線に復帰しようとする。

だが、右腕が先ほどの一撃で大盾と一緒に粉々に消し飛んだことにようやく気付いた。

数時間に渡る激闘の中、呆然とするライバック将軍は痛みを感じる余裕すらなかった。

ようやくエルフ部隊から精霊の回復魔法がやってきて右腕を修復されると、部下たちの声が上がる。

「ライバック将軍! その盾では前線は持ちません!!」

「何を言う! 我らが守らねば犠牲が増えるばかりではないか!!」

「将軍がいないと我らはもちろんほかの部隊も全滅です! 何卒下がってください!!」

アレン軍の人族部隊に入る前、ラターシュ王国の近衛騎士団の頃から仕えていた兵が、吹き飛ばされた先から必死に戻ろうとするライバック将軍を諫める。

ガンディーラ改7体、300万体の魔族と魔獣による混成軍がまるで1つの生命体のように連携した動きに、アレン軍たち10万人の兵のうち3万人が既に死んでいる。

今まさに前線は限界を迎え、崩壊しようとしている。

『くっ!? またか!! メタッチ、くっついって防壁となれ!!』

『プルプルッ』

『プルプルッ』

『プルプルッ』

メルスは速やかに、今いる1体の成長レベル8の石Hの召喚獣を成長レベル8まで上げる。

さらに8体の石Hの召喚獣を創生して覚醒スキル「くっつく」で巨大化な1つの塊になるよう指示し、さらに成長レベル8まで上げた。

3体がかりの石Hの召喚獣をアレン軍たちの盾役を担っているのだが、防御は絶対ではなかった。

メルスの近くでは、ガララ提督の乗るゴーレムがガンディーラ改の片手に掲げられ、後方にブンッと吹き飛ばされる。

「ぐああああ!! くそが!!」

「ガララ提督!!」

「ああ、問題ねえよ。……くそ、石板がそろそろ尽きるぞ!」

迷宮主降臨も超神合体ゴーレムも超合体ゴーレムも尽きたゴーレムなどガンディーラ改の相手ではなかった。

最前線を務めるメルルやガララ提督などのゴーレムたちも予備の石板で補修しながら、陣形を組み必死に戦ってきた。

だが、ゴーレムに比べて圧倒的なステータスを持つ魔王軍に十分用意した石板は底をつきかけてきた。

この状況をガンディーラ改の視界に割り込み、状況を把握するルキモネはつぶさに見ていた。

『敵各部隊の回復が遅れてきましたね。そろそろ補給が尽きかけたとみていいでしょう。ゴーレムたちの動きが明らかに悪くなったのは修復するための手段が減ってきたからでしょうか。キュベル様は皆殺しをご要望です。そろそろ防御から攻撃に転じ、総攻撃でせん滅しますか……』

魔王軍は圧倒的な戦力があるが、メルルたちやアレン軍の粘りに無駄な被害がでないよう時間をかけて、確実に戦力を削ってきた。

まるで自軍のようにメルルたちやアレン軍の戦力を把握するルキモネが掃討作戦を遂行しようとする。

だが、自軍がギリギリであることはメルスも分かっていた。

わずかにだが、メルスの判断がルキモネの掃討作戦よりも早い。

『すまない! ハクよ! 時空神デスペラード様より頂いた「竜王の玉」を使ってくれ!!』

「マジか。それが尽きたら後がねえが、仕方ねえ……」

神界と人間界の間の審判の門を管理する時空神デスペラードは、竜王マティルドーラに対して「竜王の玉」を渡していた。

何かあった時に審判の門を守るためにあるのだが、竜王はハクに試練を与え、その報酬として「竜王の玉」を渡していたのだ。

時空神デスペラードはハクが竜王の玉を持っていることを了承済みだ。

1つしかない竜王の玉を使い切ったら、それこそ全滅だ。

だが、今にも前線が崩壊しそうな状況に「竜王の 玉(おくのて) 」を使わざるを得なかった。

『ギャウ!!』

鳥Fの召喚獣ごしに指示を聞いたハクは右手に掴む虹色に反射する玉を天に掲げる。

手に力を込めると、爪が竜王の玉に突き立つ。

ガシャッ

とうとう砕け散ると、魔法陣が生じたかと思ったら、自軍に向かって広がっていく。

『む? 何事でしょうか? 神力の行使を確認。魔力が膨張していきますね……』

ガンディーラ改越しにルキモネが警戒する中、ハクは竜王の玉を使用したのであった。