軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第845話 死神クリーパー戦①

死神クリーパーと調停神ファルネメスの会話が続く。

『世界を正すだと? 正そうとした儂らを貴様らは背後から襲ったではないのか? ここで刃を収めても100万年前と同じことになるのではないのか? 儂は何もない空間で100万年、神力を留めてきたが、貴様は違うようだな。調停神よ。随分なくたびれ様だ』

髑髏の眼底の底無くの窪みで調停神を睨みつける。

『そのとおりです。新しい世界で神々に利用され、魔王の策略を手伝い、私は力を失いました』

「ファルちゃん……」

またがるクレナが静かに調停神の首を撫でた。

一瞬の沈黙の後、クリーパーはキュベルに語り掛ける。

『儂は取り戻さねばならぬ。やり直さねばならぬ。キュプラスよ、この時空管理システムで暗黒界に行けるというのは本当だな?』

『もちろんだよ。アマンテ様はきっとクリーパーの帰りを待っている』

『ふん、そのために死を振りまかねばならぬなら儂は自らの務めを果たそう。今度こそ容赦はせぬ! かつての仲間であってもだ。覚悟せよ、調停神よ。儂のなすべくことを邪魔するなら死は貴様にも平等に訪れよう!!』

死神クリーパーはもう一度、漆黒の大鎌を握り締め、調停神に向けたが失敗した。

暗黒神アマンテに合うために、アレンたちを皆殺しにすると言う。

この状況にアレンは1つの決断をする。

「……俺が時間を稼ぐ。『棺桶袋』に全員を入れてくれ。前衛は周囲の前衛たちも後衛は周囲の後衛たちも。前衛の『棺桶袋』はとりあえずクレナが持ってくれ。後衛はソフィーだ!!」

「うん、分かった!」

「ええ!! 分かりましたわ!!」

「ペクタン、イグノマスを復活させてくれ」

アレンはクリーパーを警戒しつつ、仲間や召喚獣に矢継ぎ早に指示する。

『プルップー!!』

テケテケと肉片となったイグノマスの死体に近付いたペクタンは、頭をフリフリと振ると光り輝く胞子が飛び出る。

メキメキ

特技「復活茸」の効果によってイグノマスの遺体は光に溢れ、一気に復活した。

「こ、これは……」

呆然としながら立ち上がるイグノマスの復活と共に、クリーパーによって切り裂かれた神器ワタツミによる鎧が一瞬泡となって、修復と接合を繰り返し元通りの鎧となった。

「イグノマス、ペクタンの力で復活させた。敵は強敵だ。後衛の守護を最優先で頼む。行けるな?」

(こちらの受ける対象が多すぎるとキールの回復速度を超えてしまうからな)

神技「神薬草園」を発動するキールのサポート役としてペクタンも回復しているので、常にさっきにように特技「復活茸」を使えるとは限らない。

「あ、ああ、分かった……」

クリーパーのあまりにも強さに既に心が折れかけているイグノマスに一方的に檄を入れ、後方に下げる。

だが、アレンの判断に異を唱える者もいる。

「ちょっと、他は復活させないの!? せめて回復する人だけでも……」

「アレン様の判断を全てにおいて優先させてください。バタバタ死ぬ状況では戦いにならないのです。ロゼッタさんも、自らの命を守ってください」

「え、ええ……」

迫真の表情のソフィーが被せるようにアレンの指示を聞くように言うと、ロゼッタは同意するしかなかった。

そんなソフィーは魔導袋から取り出した専用の袋を死んだグレタたちに向けて口を開くとヒュンッと一瞬にして吸い込まれた。

これは今回の戦いに備えて持ってきた「棺桶袋」だ。

全員をこの場で全員を蘇生できないとアレンは判断し、イグノマスだけを蘇生させた。

アレンの召喚獣のペクタンやキールの蘇生スキルを持っているものの、全員を一瞬で蘇生する術はなかった。

さらに、たとえ蘇生しても同じ即死範囲攻撃を受けると、また一気に死亡する。

神の加護があったり神器を持っているとなんとか防げるようだが、この場にいるヘルミオスのパーティーメンバーや十英獣のほとんどが持っていない。

なお、アレンとロゼッタは神の加護をもっていないが、瞬時に飛んで避けることができた。

そこで、アレンは「棺桶袋」に死んだ仲間たちを入れておくことにした。

この「棺桶袋」は前世の記憶のあるアレンの発案で、ゲームの世界でいうところの死んだパーティーメンバーが入る「棺桶」だ。

実際はS級ダンジョンでたまに手に入る時間が完全停止の「魔導袋」で、1袋あたり1000人収納できる。

危険な魔王城に入った場合、死体を全員その場で蘇生できないことを想定し、仲間たちに「棺桶袋」を持たせている。

当然、アレン軍にも「棺桶袋」を10万人入る分、用意してある。

後程、蘇生可能な死体については蘇生魔法などで蘇生させ、蘇生可能でなければ丁重に埋葬することになる。

時間さえあれば、ペクタンが全員蘇生させることができる。

だが、これは生きて無事に「棺桶袋」を持って、戦いから戻れたらという条件付きだ。

前衛では転職を繰り返し2柱の加護持つクレナ、後衛には大精霊の自動防御のあるソフィーが「棺桶袋」を集約させる。

アレンは自らの剣を握り締め、仲間たちに死体回収のための時間を稼ぐように言う。

(上位神と本気で戦うのは初めてか。全身に滾っているのは魔力でも霊力でもなく神力か)

上位神で言うと剣神セスタヴィヌスとは「1撃与えたら試練達成」と本気の戦いには程遠かった。

大精霊神イースレイや獣神ガルムからも試練を仲間たちも受けたが本気の戦いをしていない。

神々だからと言って全てが戦闘に優れているわけではない。

武具神と商神では戦力に雲泥の差があるだろう。

今まさに、神々の中でも最上位に君臨するほどの戦闘に長けた死神クリーパーが殺意を持って対峙している。

既に仲間たちが一瞬にして20人近く殺されてしまい、生き残ったアレンのパーティーメンバーを皆殺しにすると言う。

勝利の条件にルプトの奪還であったり、魔王を倒すがあるが、最低条件に仲間たち全員の帰還がある。

この状況にクリーパーは棺桶袋に入れるアレンの仲間たちやヘルミオスやロゼッタではなく、イグノマスの様子を捉えていた。

『死者の蘇生か……。儂の与えた死を拒むか』

自らが与えた死を軽視されたようで不快な様子を示す。

アレンはクリーパーに対して、リオンと霊Aの召喚獣を引き連れ、的にならんとばかりにゆっくりと歩みを進める。

『ほう、儂に敵うと思っているのか?』

クリーパーは骨しかない頭蓋骨だが、ニヤリと口角が上がるようだ。

「当然だ。一気に本気で行くぞ、グラハン、リオン、オキヨサン!!」

『敵は強敵。全力だな。戦士の咆哮! 剣士の忠誠!!』

『守破の衣で守りを上げねばな!!』

『私は回復だね。ケケケ!!』

・戦士の咆哮+剣士の忠誠のアレンのステータス(+武器防具)とバフと加護

【体 力】59000/598740(体力10%維持)

【魔 力】545516

【霊 力】545516

【攻撃力】839435+50000

【耐久力】631879+42000

【素早さ】1339198

【知 力】950640+30000

【幸 運】430408

【加 護】物理攻撃力(強)、因果律調整(中)、生命循環、不死耐性、体力超回復、魔力超回復、回避率上昇(強)、心頭滅却(状態異常無効)、飛翔、クリティカル率アップ、物理耐性(強)、ブレス無効、破邪、ダメージ軽減

※戦士の咆哮と剣士の忠誠と重複発動中

※剣士の忠誠で戦士の咆哮は改となったため、全ステータス1・4倍

※831話からリオンの神A「天神羽織」の守破の衣の「守の効果」追加

視線の端ではアレンの仲間たちもヘルミオスやロゼッタも含めて棺桶袋に死んだ仲間たちの死体を収納している。

ダッ

「霊斬剣・改!!」

『む!?』

ゆっくりとした歩みを一気に全力で加速させ、100万を超える素早さの暴力でクリーパーに詰めよった。

(叩き切れないか)

ガガッ

『……貴様、本当にエルメアの土塊か? たいした「力」だな。だが貴様は本当の「力」を知らぬと見える!!』

空中に浮くクリーパーは、骸骨の顔を歪めながらも自らの素早さを上回るアレンの動きに一瞬驚いたがすぐに平静に戻った。

再度、大鎌の柄の部分を両手で握りしめ、漆黒の神力を込めていく。

(ここにきて強すぎる敵が現われるなんて……。だが、倒さねば世界は救えぬ。それに……)

『魔力充当率50・1%まで充填されました』

『おお!! やった、ようやく魔力が半分充填されたね。ルキモネ君、テキパキと魔力補充してね。シノロム所長は座標の確認を怠らないようにね』

『畏まりました。キュベル様』

「分かっておるわい」

時空管理システムに補充された魔力の量にキュベルが近くで小躍りしながら喜ぶ。

こうして戦っている間にもアレンとその仲間たちは秒間1000もの魔力を吸収され続けている。

「時間はない。一気に倒すぞ。グラハンいくぞ!!」

『おう!!』

有限の時間の中で、アレンは短気決戦での勝負に挑む。

クリーパーの神力を練る時間も、時空管理システムの魔力充填も、アレンたちに不利に働くと判断する。

吹き飛ばされた先で体勢を立て直したアレンは一気に跳ねるように駆け抜け、クリーパーに迫る。

「ソウルセイバアアアアアアア!!」

『ソウルセイバアアアアアアア!!』

(これが俺の全力だ!!)

再度、クリーパーに対してアレンが覚醒スキル「憑依」の斬撃が迫る。

圧倒的なステータスは知力依存の特技「ソウルセイバー改」の威力を向上させる。

『ぐぬ!?』

大鎌の柄の部分で受けたアレンの斬撃がメリメリとクリーパーに顔面に向けて押し込んでいく。

だが、どれほどの力をクリーパーが込めているのか、ある程度押し込んだところで、今回もアレンの斬撃はこれ以上先に進めなくなってしまった。

『……まだ勘違いしているようだな。この世界の理の中に生きる儂に敵うわけ無かろうが!!』

「ぐは!?」

ドオオオオオオンッ

全身の神力が溢れたクリーパーが大鎌ごとアレンの剣を押し上げて魔王城の壁に吹き飛ばされ叩きつけられてしまった。

アレンが吹き飛ばされた先で、結末を読んでいたものがいた。

シュルシュルッ

「ぐっ!?」

着地した先を予想したルキモネの触手がアレンを包み込んでいくのであった。