軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第822話 チームシア⑤究極兵器バスク戦(3)

強敵であるバスクをたった1人で攻撃を防いで吹き飛ばす様に、十英獣たちが驚愕する。

『おいおい、あいつこんなに強かったのかよ』

『う、うむ……』

レペの言葉を否定できないという言葉に対して、攻撃に備えて後退したホバが頷く。

魔王軍が研究に研究を重ね、第一天使ルプトを守らせるためにたった1体で配置させた。

対峙するバスクは、見た目の凶悪さからも、数十年以上に渡って人類を苦しめ続けた魔王軍の秘策や奥の手とも言っても良い存在だろう。

『さすがは余のドゴラだ』

「あん? 何言った?」

『なんでもない。だが、奴を怒らせただけのようだな……。そこまでダメージが通っていないようだぞ』

ドゴラが一瞬猛獣のような視線を送られ、何か気になる言葉を発したシアに確認したがはぐらかされてしまった。

『ぶ、ぶっ殺してやる! ぐちゃぐちゃにな! 何調子に乗ってやがる!!』

容易く吹き飛ばされたバスクが怒り心頭になる。

『おい、いい加減にしろ。目玉の「魔素吸収なんたら」ってやつを使って、回復と強化に専念して叩き潰せ。お前と違って何度も負けたくねえぞ。カス野郎』

右腕と一体になった魔剣オヌバがバスクの頭を冷やそうと口の悪い嫌味を言う。

『ああ、そうだな。この俺はまだ本気じゃねえぞ。覚悟しろよ。いひひ!』

「ああ、安心した。また、弱いてめえをボコボコにしないといけないと思ったが違うようだな」

『なんだと!! おい、さっさと俺をもっと強くしろ!!』

『ギイ!!』

ドゴラの挑発に怒り心頭になったところでバスクの肩の部分に巨大な目玉があるギイがクワっと見開き魔法陣を生成し始めた。

メキメキ

『へっへっへ……』

白い霧上の魔力をあたりから吸収し始め、バスクがさらに一回りごつくなり、魔剣オヌバも禍々しく、そして鋭さを増していく。

まだ強くなるのかと十英獣たちが息を飲みだすが2人だけ戦意を喪失していない者たちがいる。

『さらに強くなったようだな。奴はどうやら回復もできてスキル間の発動速度も速すぎだな……。攻略するには骨が折れそうだな』

シアは今の状況をつぶさに分析する。

ドゴラによって2回とも止められたが、他の人が使えば神技やエクストラスキルとも言える高威力の大技をどうやら連発できるようだ。

ドゴラはクールタイムを意識して奥義の後、クールタイム1日が基本の秘奥義は発動せず、取っておく戦法をとった。

バスクを相手にして秘奥義で必ず倒せるという確証がなかったためだ。

「だったらどうするんだ。アレン直伝の俺のスキル……」

『それは最終手段だ。奴を相手にして戦破陣はドゴラがダメージに耐えられぬかもしれぬ。コンボを使い、余の神技で弱らせてるぞ』

多連撃スキルをいくつも持つ2本の神器の大斧を持つドゴラには、シアの神技と相性が良く、アレン直伝の必勝法があった。

「そこから一気に叩きこむってことか」

『そういうことだ。皆も良いな』

『は! シア様!!』

『いひひ、最後の相談は終わったかよ』

さらに強化してバスクは相変わらず勝利を確信しているようだ。

シアたちはバスクの攻撃範囲の驚異的な広さを理解し、中衛と後衛をやや下げる。

前衛は攻撃を受けること覚悟であまり広がらない。

これからコンボを重ねてバスクの耐性を下げ、弱体化を狙わないといけない。

攻撃の間を開けすぎると、コンボの連携が切れてしまう。

陣形が整いつつあるところ、ゲンが弓を弾き、バスクの目玉を狙う。

『むん!! 真天雨矢!!』

キン

『けっ、そんな攻撃を……。むぐ!?』

『おい、バスク! 獣女がくるぞ!!』

先ほど同様に目玉をまったく貫くこともできず、その場で弾かれるのだが1本の矢だけではなかった。

スキルレベル9に達し、27本の矢を、視界を奪うように連射で放ち両目を狙う。

矢による死角を狙った連携で、視界が僅かに失った瞬間を利用してシアたちが距離を詰める。

だが、視界があるのはバスク本体だけではなく、魔剣オヌバとギイも状況を視認できており、直ちに助言を与える。

『はあ!!』

ブウウンッ

ブウウンッ

僅かな気配を頼りにバスクが両手の大剣を大雑把に振るうが、そんな狙いでシアもドゴラにも当たりはしない。

『はあ!!』

『うらああああ!!』

『くそが! ぶっ潰してやるぜ!!』

2人がスキルを使い、強力な一撃を繰り出すが、ギイの魔素吸収機構の発動によってさらに強化されたバスクへの攻撃はあまり通じていない。

その魔素吸収機構だが、ドゴラたちが消費したスキルによる魔力の消耗で、宙に解き放たれた魔力を巨大な目玉で全て吸収しているようだ。

戦闘が続く限り、ギイと同体したバスクは無限に魔力を回復させることができるようだ。

さらにジュクジュクとドゴラに切られ、シアに殴られた部分が攻撃を受けた先から回復していく。

『我らも続くのだ!!』

『は!!』

ホバの声にハチが応え、パズとセヌもバスクに向かっていく。

『絶対に避けよ! 直撃を受けるな! コンボの連携が切れるゆえにな!!』

シアがかけ声を上げたところで、バスクに対する攻撃は激しさを増す。

『けっ! 器用なもんだな!!』

獣神ガルムの試練では両手足はもちろん尾だけでも攻撃を受けたら即死するほど戦いの中で連携をしてきた。

究極兵器となったバスクと、シアとドゴラ、それに十英獣たちによる命懸けの戦いが続いていく。

それから1時間ほどが経過した。

「おらら! 破衝連斧!!」

『ぐあ!! やろう!!』

無数の刃がバスクを襲った上に巨大なバスクを後方へと吹き飛ばす。

1時間の経過とは思えないほどの集中力のありようだ。

8回攻撃という多連撃な上に、バスクの攻撃体勢も解除するコンボにぴったりのスキルだ。

攻撃のコンボは対象の攻撃が成立したら、こちらが攻撃を防御して耐えたとしてもカウントが0に戻ってしまう。

バスクの脅威的な攻撃を直撃を避ける以上に、こちら側としては絶対に当たる訳にはいかない。

コンボが20回達成して神技「熊神瓦解破」を発動可能になった、シアの体が仰け反り無理やりの姿勢から鞭のように振るわれるバスクの左腕を避け、胸元へ接近する。

『よし! 神技「熊神瓦解破」!!』

『がは!? またかよ!!』

バスクがこの1時間何度も受けた神技によるデバフによって絶句する。

バスクは強敵でステータスも高く、自動で体力も回復するため一気に倒せない。

ステータスを下げたり、耐性を下げる神技を持つシアの神技を複数もつ。

今回の一撃でもデバフ効果のある神技を叩き込むことができ、弱体化させてきたバスクに与えるダメージは大きくなっていく。

「どうした! せっかく強化したのに随分トロくなったな!!」

『ちくしょうが!!』

ドゴラは挑発をかけながらもバスクのミスを誘いながらも攻撃を続ける。

究極兵器バスクは、ギイによって体力回復はもちろんのこと、デバフ解除もできる。

ただし、命に係わる体力回復が優先されるようで、攻撃を雨あられのように続けていけば、デバフを解除が遅くなって蓄積していく。

こんなことを分析するためにも1時間という長い時間をかけてしまったが、結果、バスクを追い詰めることができた。

シアやドゴラだけでなく、神々の加護を持たないホバたち十英獣も容易に動きを捉え始める。

『叩き込め! 勝利は近いぞ!!』

「おう!! やろうぜ!!」

ドゴラの攻撃でさらに体勢を崩したバスクに十英獣の前衛たちが一斉に襲い始める。

間もなく勝てると予感している中、バスクは笑みを零してゆっくりと狙いを定めていた。

『けっ! 油断しやがって! もう勝ったつもりかよ!!』

『いかん! 何か狙ってくるぞ!! 前衛たちよ、いったん下がれ!!』

ドゴラと一緒に最も近い距離で対峙するシアがこれまでにないバスクの構えに大声で叫ぶ。

何度もステータスを下げるコンボを受けながらもバスクも作戦を練っていたようだ。

『覇道絶線!! ちょろちょろ、遠くから打ちやがって! 死にさらせ!!』

『わ、我らではないと!!』

シアを狙うふりをして大きく水平に振りかぶったバスクは距離を取る中衛や後衛のいるゲン、レペ、フイ、ラトへと狙っていた。

『やっべ!? 死んだわ。やっぱり来るんじゃなかったぜ』

諦めの早いレペは絶句するが、攻撃をした後のドゴラはスキルを発動したばかりで次の行動にすぐに移れない。

シアも十英獣たちも迫ろうとする中、攻撃をキャンセルしないといけず、もたついてしまう。

『むん!! 我が!! がは!?』

バスクは無数のスキルをもっているのだが、前衛たちが油断し、後衛を一掃するタイミングを窺っていた。

【究極兵器バスクのスキル一部抜粋】

・真紅蓮斬:単体攻撃。火属性。大剣を投擲。ギイのおかげで大剣は回収可能

・真二連撃:複数攻撃。前方へ横殴りの2連斬撃

・真修羅無双撃:単体攻撃。前方に向かって回転の斬撃

・天武双覇:全体攻撃。前方の下段から上空に打ち上げる衝撃波

・爆滅破界剣:全体攻撃。その場で回転しながら周囲への火、土属性の攻撃

・覇道絶線:全体攻撃。前方に音速の横一文字の斬撃を飛ばす

・狂化:全ステータスを3割上昇させる

・岩山硬壁:母体を岩の塊にして耐久力上昇

・魔素吸収機構:ギイが周囲の霊力や魔力を吸収し母体へ供給

空間を上下に叩き切るほどの横一線の衝撃波が後衛たちを狙ったのだが、後方にいて素早く空中を移動できるルバンカが対応できた。

パアッ

『くっ!?』

腹に横一文字に攻撃を受けたルバンカがそのまま腹から状撃に光る泡となって消えていく。

もともとルバンカはスキル一発で倒されるような体力ではないのだが、いくつものタイミングが重なってしまっていた。

バスクの攻撃範囲から逃れるため、随分後方に下がったため、前衛と後衛を一度に回復できず、さらに召喚獣であるルバンカの回復を後回しにしてしまっていた。

『あらら、どうしたどうした。後衛を守る壁が無くなってしまったなぁ。調子に乗ったガキどものお仕置きタイムが始まるぜ。いひひっ』

「やろう、これを狙っていたのか……」

勝利を確信するバスクは笑いが止まらないようだ。

この状況を作るため、デバフ系の神技をシアから何発も受けながらも、完璧なタイミングを計っていたようだ。

『すみませぬ。ルバンカ様の体力を十分に回復できなかった……』

聖獣帝フイが、元は聖獣のルバンカが倒されたことに謝る。

『フイは最善を尽くした。まだ状況は我らに有利よ。さて……』

回復の選択を誤ったと猛省するフイをフォローしようとするシアの力が抜けていく。

「おいおいおい、 獣帝化(フルビーストモード) が抜けていくぜ……」

レペが絶句するのは、シアが神技「獣神化」の持続時間が解除されたためだ。

結果、十英獣全員の獣帝化も解除された。

「く、くそ!!」

十英獣たちの表情が絶望に染まり、シアが毒づく。

『いひひ! いいねいいね、その表情! 悠長な攻撃しているからだぜ。てめえら全員グチャグチャにぶっ殺してやるぜ! 1人も逃がさねえぞ! 覚悟しろよ!!』

勝利を確信するバスクが笑みを零し、両手の大剣を力強く握りしめるのであった。