軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第811話 地上戦①一進一退

アレンたちが魔王城で転移の扉を破壊しようとしていた頃、忘れ去られた大陸の南端の一ヶ所では激戦が続いていた。

ここでは10万人にも及ぶアレン軍、勇者軍、ゴーレム軍、5大陸同盟軍による混成の軍勢が、必死に魔王軍の要塞や地下迷宮から続々と湧いてくる魔獣や魔族と戦っている。

アレンたちが魔王城に向かって1時間が経過しており、14時頃だ。

上級指揮官と思われる上位魔神が檄を飛ばす。

『陣形を破壊せよ! 敵に応援は来ない!! せん滅だ!! 食らいたければ人間どもを食らえ!!』

『グモオオオオオオオオオオオオオ!!』

上級指揮官の指示に従ったSランクの魔獣のトロルエンペラーが指揮を務めるAランクの魔獣のトロルキングの一団が、アレン軍の前方にいる獣人部隊と人族部隊で構成された陣形に襲い掛かる。

『また来たぞ! 敵陣の動きは把握せよ。戦力を見誤るな!! トロルエンペラーは10体、トロルキングは1200体だ!! 中央の一点突破を狙っているぞ!! アリポンたちを壁に敵戦力を削るんだ!!』

空中に浮くメルスが地上で陣形を組むアレン軍に指示を出す。

「敵は我らよりも弱い。勝利を持って帰るぞ!!」

「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおぉ!!」

「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおぉ!!」

メルスは鳥Fの召喚獣を使い、覚醒スキル「伝令」を使って、上空から俯瞰した魔王軍の状況を映像付きで全軍に視覚的に映像を戦局の変化の毎に送り続けている。

メルスや鳥Fの召喚獣を通して入ってきた情報をもとに判断し、将軍、副将軍、隊長などが配下の兵たちや他の部隊と連携して陣形を動きやすくさせる。

なお、圧倒的な知力で、鳥Fや鳥Eの召喚獣の視界から入った情報をもとに瞬時に敵個体数や種類などを把握できるメルスは、指揮官たちが映像だけで瞬時に判断できない部分について補足的に伝えている。

メルスの特技「天使の輪」を使い、召喚士の管理者権限により、魔石と魔力があれば無限に召喚できる召喚獣たちを前線に出してアレン軍たちの消耗を防ぐようサポートする。

さらに、アレン軍を中心に兵は転職を重ね、S級ダンジョンや試しの門で収集した武具や魔法具を装備している。

精霊神の祝福を筆頭にバフの重ね掛けをもらった兵の1人ひとりが魔神を超える力を持っている。

勇者軍、ゴーレム軍についてもアレン軍ほどではないが、星の数、武具、魔法具は5大陸同盟軍に比べても数段高くなっている。

去年の3月の終わり、邪神教の教祖グシャラを倒し、ヘビーユーザー島を手にしてから結成が始まったアレン軍、それに呼応するように勇者軍、ゴーレム軍の訓練、転職、装備の強化の集大成が今日という日に全て込められる。

魔王軍の下級兵として最前線での戦いを指揮官たちから指示を受ける魔族や魔獣たちも武具やバフを貰っているようだが、軍結成以来訓練を積んでいた兵たちが淡々と始末していく。

まずは接近を許さないよう数がものをいう虫Aや虫Bの召喚獣が盾役とせん滅役をこなす。

次に、多少減った数はダークエルフやエルフの弓部隊がさらに数を減らす。

「絶対に壁を越えさせるな。押し返せ!!」

3割、4割の数を減らし、ダメージを負った魔王軍を、ライバック将軍の叫びで人族の盾部隊が1つの外壁のように重ね合わせた魔力を込めた巨大な盾で受け止める。

魔王軍の進行が止まったところで、人族部隊の剣や槍使いたち、魚人の槍部隊が盾の隙間から斬撃を浴びせ、串刺しにする。

この時点で魔王軍の魔獣たちの6割強は怪我を負い、勢いを欠いている。

「よし、飛び越え、まだ生き残っている魔獣たちを屠るのだ!!」

ルド将軍が、盾使い、槍使いの背後に待機させていた獣人部隊に檄を入れる。

人族の肩を借りるように蹴り上げ、飛び上がり、魔獣の群れに飛び込んでいく。

『ぐももも!?』

『ぺぎゅあ!?』

自軍の内側に入られたが、自らの身長の5分の1に満たない獣人たちだ。

大振りの斧やこん棒だと小回りも効かず、背後にいる獣人を攻撃しようとして仲間たちを攻撃してしまう混乱の中、鳥Fの召喚獣から提供される視覚的情報を頼りに、連携してトロルキングたちをせん滅していく。

魔王軍の魔獣たちもヒヒイロカネやアダマンタイトの武具を装備し、バフを貰っているようだが、それ以上のバフをアレンたちによってアレン軍は受けている。

【名 前】ヘロマ

【年 齢】56

【種 族】オーガキング

【体 力】34000

【魔 力】22000

【攻撃力】38000+5800

【耐久力】32000+6200

【素早さ】23000

【知 力】15000

【幸 運】11800

【攻撃属性】無

【耐久属性】物理耐性(中)、魔法耐性(中)、体力超回復

【名 前】ガッサム

【年 齢】112

【種 族】トロルエンペラー

【体 力】58000

【魔 力】45000

【攻撃力】59000+12000

【耐久力】44000+9500

【素早さ】38000

【知 力】21000

【幸 運】14500

【攻撃属性】無

【耐久属性】物理耐性(大)、魔法耐性(大)、体力超回復

魔王軍のオーガキングはステータスは本来1万前後なのだがバフで3万を超える力をもつ。

オーガエンペラーはSランクの魔獣だが上位魔神に匹敵しそうだ。

「小規模で単調な戦いか……」

攻めが物足りずライバック将軍の下に、自らも魔獣を屠り、返り血を浴びたゼノフ副将軍が戻ってくる。

この1時間ほど、10回以上、同じような攻撃が続いていることに違和感を覚える。

ライバック将軍の視界からは分からないが、300万の軍勢が遥か彼方まで陣形を構築しているのだが、その数に比べたら攻めてくる数は決して多くない。

「このままこの攻撃を続けるとは思えませぬが……。敵軍本陣へ行かせない方法かもしれぬ。数も本陣や予備隊も何十万、何百万もいるはずなのに小規模な兵ばかりだ」

「たしかに……。我らの作戦はまだ果たされておらぬ。ハクたちもまだあんな所にいる。ルド将軍と共に勇者軍およびゴーレム軍は左右に展開するよう相談しては?」

将軍や副将軍には、アレンたちが魔王城に潜入する中、地上で魔王軍と対峙するアレン軍の地上部隊には達成しないといけない「目的」が共有されている。

ただ、魔王軍と戦えばよいわけではないので、この目的を果たすため、いかに行動するか、アレン軍の将軍たち、とくにライバック将軍、ルド将軍で最前線での攻守などの作戦を立てるよう指示されている。

なお、10年ほど魔王軍と戦ってきた経験も買われてゼノフも将軍たちに意見を言うようアレンに言われている。

【地上部隊の目的】

・地上から魔王城を発見すること

・魔王軍の戦力をひきつけ、魔王城内のアレンたちが動きやすくすること

・魔王城に囚われる可能性のあるアレンたちが脱出できるようにすること

・魔王軍の戦力を削ぐこと

【地上部隊の攻撃対象の優先順位】

・前方10キロメートル先の指揮官の上位魔神、魔神

・前方50キロメートル先の要塞の破壊

『ギャウ!!』

『グオオオオオオオオ!!』

オークキングたちのせん滅が終わったため、喧騒が静まり、アレン軍の最前線にいるライバック将軍たちが何度も聞いたハクやマグラの雄たけびが耳に響く。

最前線にいるアレン軍よりもはるか前線、魔王軍の本陣の中にハクとマグラの2体が乗り込んでいる。

その背後をサポートするように、メルルやガララ提督たち25体のゴーレムたちが何万もの敵に囲まれ、必死に魔獣を狩り続ける。

ハクたちの目的は前線を押し上げ、指揮官たちを倒して指揮系統を破壊し、大陸の中央にあるとされる魔王城を発見するためだ。

『さて、俺も攻撃するぞ!!』

さきほどからメルスはアレン軍たちに情報を提供するだけが役目ではない。

魔王軍の戦力を削り、陣形を破壊して、大陸の中央を目指さなくてはいけない。

『目録……。雷天鞭!』

メルスはアレンのスキル「目録」を特技「天使の輪」で発動する。

このスキル「目録」はアレン自身にとって、アイテムのスキル「収納」をさらに便利にしたものなのだが、天使B「武器」、天使C「防具」、天使D「魔法具」を収納しておくことができる。

アレンはスキル「目録」をほとんど使用することはなく、主にメルスのために双子の妹のルプトが設定したと思われるスキルだ。

無数の輪のようにできた武器の中から、今装備している「剣と盾」を「鞭」へと変更する。

メルスの魔力を吸収し、天使B「鞭」は数百メートルに長さに伸びていき、今にも先端が地面につきそうだ。

※メルスのステータス簡易版

【体 力】253162+10000(B)+10000(C)

【魔 力】206830+10000+10000

【霊 力】206830

【攻撃力】412906+30000+30000

【耐久力】280072+10000+10000

【素早さ】410332+30000+30000

【知 力】329420+10000+10000

【幸 運】182000+10000+10000

・天使B「鞭」、天使C「風のベスト」装備

※天使BとCは装備枠のためバフ対象外

・強化、金の卵、ロイヤルオーラ、ロイヤルガード

・天使B「ボンボン」ファニーポンポン、クレイジーダンス

・大精霊、精霊神の加護やスキル

・ロザリナのバフスキル盛り

「ライトニングウィップ!!」

メルスは覚醒スキル「スパークリングウィップ」を発動させる。

ズドオオオオオオオオン

一瞬、空に紫の放電が発光したかと思ったら、鞭が何キロメートルも伸び、密集した魔王軍の陣形に襲い掛かる。

狙う先は3キロメートルほど先にいるメルルたちが孤軍奮闘している前方だ。

魔獣たちの群れに紫放電が通過したかと思ったら、地面の岩肌と氷を粉砕し津波状に消し飛ばす。

『ぐぴゃああああ!?』

焼け焦げ、四肢がバラバラになった魔獣たちが衝撃で掘り起こされた地面ごと粉砕する。

「さすがはメルス様だ。なんて威力だ!!」

今回の戦いにぴったりの覚醒スキルにアレン軍たちもはるか先で起きた衝撃に歓喜と驚きの声を上げている。

「メルス助かるよ!!」

四方八方から狙われていたメルルがタムタムと共に安堵する。

今の一撃だけで数千体のAランクの魔獣が肉片となって倒すことができた。

距離があったりSランク以上でステータスが高く助かった魔獣や魔族は手持ちの回復薬や回復魔法などで受けたダメージを癒している。

また、オーガ系統やトロル系統は体力超回復のスキルがあるため、ひん死の状態でも体力を回復させることができる。

「おい、メルル、今のうちに前進して、敵の指揮系統を破壊するぞ!」

「うん!! 行こう、タムタム!!」

『はい、メルル!! 全力前進!!』

だが、目の前の魔獣がメルスの覚醒スキルによって数キロメートルにわたって減ったおかげでその隙に前進するようガララ提督は言う。

前列の魔獣を、時間をかけていくら狩っても勝利は程遠い。

後方に控える魔神や上位魔神の指揮系統を叩くぞとメルルやハクたちを前進させている。

それを上空から鳥Eの覚醒スキル「千里眼」で様子を見るメルスが、穴を埋めるように動く魔王軍の様子を窺うのであった。