軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第803話 プランC

ヘビーユーザー島から忘れ去られた大陸の海岸線まで8キロメートルほどの位置にある。

上空から無数の砲台が降り注ぐがアレンの仲間たちの力によってことごとく破壊していく。

残り10キロメートルを切り、ようやく海岸線に配置された魔王軍の要塞が見えたところで、砲台を放つ要塞の背後にそびえる2つの要塞がヘビーユーザー島の攻撃圏内に入っていた。

『どうなっていますデスか!!』

島を下から貫通するほどの攻撃を受け、ヘビーユーザー島の心臓部である神殿深くにある駆動室内で霊Cの召喚獣が声を荒げ状況を確認する。

アレンは鳥Fの召喚獣を使って広域に自らの言葉を届けているが、要所には召喚獣を配置し、連絡が取れるようにしてある。

「推進力は3割減少しました!?」

「現在の高度を維持できません。このままだと墜落します!!」

メキメキッ

「うわ!? ここにもヒビが!!」

霊Bの召喚獣越しにアレンに状況の確認に努めていると、ヘビーユーザー島の中央の神殿地下深くにある駆動室にまで受けた攻撃のダメージが響いていく。

彼らはララッパ団長に仕える魔導技師団のドワーフたちで、本来はバウキス帝国軍の軍職を務めてきた。

驚き慄くのは、常に後方支援が中心だったため、戦場で命のやり取りをする経験がそこまで多くはないからだろう。

(こんな攻撃、これまでのクワトロやホークの調査では一度もやってこなかったぞ。奥の手としてとっておいたのか。マリア、すまないが彼らを落ち着かせてくれ。ん?)

『分かりましたデス! 皆さん作戦に集中してくださいデス!!』

『アレン様!! 次の攻撃が来ます!!』

霊Cの召喚獣へ指示していると、矢継ぎ早にクワトロから入ってくる情報が入ってくる。

クワトロが特技「万里眼」がヘビーユーザー島を貫いた2つの要塞の上で、それぞれ100人規模の魔族たちが集まり魔力を再度注ぎ込み、砲台の魔導具にレーザー砲を新たに放とうとしている。

『フォルマール! そこから要塞の背後にある2つの要塞に攻撃できるか!!』

「無茶を言うな! どれだけ離れていると思っているんだ! 見えもせんぞ!!」

海岸線側に配置した砲台を飛ばす要塞の背後にある、2つの要塞まで直線距離で20キロメートルは離れている。

スキル「真遠目」をもってしても認識の範囲外で、矢を届くことができない。

(たしかに人の力でも無理か。だから魔族も100人規模での合わせ技で攻撃してきているわけで)

剣と魔法の世界だが、何でもできるわけではない。

フォルマールと共に魔神レーゼルと戦った際、1キロメートル以上離れた位置でエクストラスキル「光の矢」を放ち、背後から戦闘中で動く対象の心臓を狙う神業を見せた。

今ならバフも受けており、その時の倍近い距離まで飛ばせるが、まだまだ遠いようだ。

魔王軍はそれを分かっていて、強力な魔導具を用意し、砲台なら10人規模、レーザー砲なら100規模で力を合わせて攻撃している。

『リオン、出番だ!!』

『うむ、例の作戦だな。……伸縮自在。カベオよ、失礼するぞ』

『……』

アレンの指示で島の先端に待機していたリオンは、特技「伸縮自在」で全長30メートルの巨大になり、石Eの召喚獣をまるで野球選手がボールを拾うように掴んで握りしめた。

老齢な顔つきに似つかわしくない筋肉隆々のリオンが、マウンドの上の投手のように右足を天高く掲げ腰をそらし、投球フォームをとる。

(ハッチ、リオンのために軌道を開けてくれ。クワトロ、万里眼で対象の要塞外壁上を捉えてリオンの視界の情報を伝えてくれ)

アレンは共有する意識を使い、複数の召喚獣を連携させる。

『右側の要塞外壁上部を捉えます』

『ギチギチッ』

クワトロが特技「万里眼」で要塞の上で、100人がかりで魔族たちが魔力を込めるため砲台の魔導具に集まる様子を捉える。

アレンは共有した情報をリオンにも飛ばし、狙いを調整する。

ヘビーユーザー島を覆う虫Aの召喚獣たちがリオンの視界の先を開けていく。

『むん!!』

ドンッ

カベオの全身が音速の壁を超えた爆音が鳴り響いた。

(お? 速度、方向問題なし!!)

・リオンのステータス

【体 力】229567+55000+50000

【魔 力】199680+55000+50000

【攻撃力】401921+55000+50000

【耐久力】252187+55000+50000

【素早さ】396812+55000+50000

【知 力】320970+55000+50000

【幸 運】175500+55000+50000

※ステータス+神A+神B

※神Aおよび神Bの召喚獣は装備枠のため仲間たちのバフ、大精霊の加護、防御茸、金の卵対象外

※神A=成長レベル9で全ステータス4万+王化1万+強化5000

※神B=成長レベル9で全ステータス4万+指揮下5000+強化5000

・カベオのステータス

【体 力】198107

【魔 力】171080

【攻撃力】357981

【耐久力】215007

【素早さ】342732

【知 力】287170

【幸 運】149500

50万を超えるリオンの攻撃力によって万力を込め投げたカベオを、超メガロン砲を放つ要塞目掛けて投擲した。

共有するアレンが投擲フォームや狙いを補正させたおかげで狂いなく目標目指して真っすぐと進んでいく。

音速を超える速度で何十秒も経たないうちに外壁の上に到達する。

距離を詰め、魔族たちも気付いているのだが、マッハに達するあまりの速度のため反応できなかったようだ。

(いまだ! 自爆だ!!)

『……』

レーザービームの魔導具まであと数メートルで到達するという抜群のタイミングで共有するアレンは石Eの召喚獣に覚醒スキル「自爆」を指示した。

カッ

ドオオオオン

リオンの空気を割く投擲の摩擦熱が相まって、全身が既に真っ赤になった石Eの召喚獣が高熱と衝撃波と石礫をまき散らし大爆発を引き起こす。

魔獣のランクがAのヘビードラゴンを倒すのも苦戦していた時とは威力が違う。

耐久力依存で爆発力の上がるため、30万近い耐久力によって、その時とは比べ物にならない

(やったぞ。む? 思いのほか倒せた奴は少ないな)

クワトロの特技「万里眼」が、覚醒スキル「自爆」を発動した石Eの召喚獣のすぐそばにいた何十体の魔族たちが消し炭になったことを確認する。

だが、魔族たちもアレンたちと同様に自軍のためにバフを何重にも重ね掛けしていたようだ。

要塞の防備の機能を保つため、回復要員も数千人とかなり多く、一斉に回復魔法をかけたため、要塞上部が光り輝きだした。

さらに要塞には今回のように何かあった時のために補充要員もかなりの数がいるようだ。

下からワラワラと爆発を聞いて、補充要員の魔族たちが外壁の上に上がってくる。

死にかけた者を魔法で癒し、吹き飛ばされた魔導具を元の位置に戻し、隊列を立て直そうと必死に動き出している。

さらに、超メガロン砲を放つ魔導兵器の発射準備をしていた要塞は2つだ。

リオンが石Eの召喚獣を投げている間に発射の準備が整っていた。

ドオオオオオオンッ

「うわああああ!?」

「またか!? 怪我を負ったものの回復を優先しろ!!」

「このままだと島が撃墜されるぞ!!」

アレン軍の隊列を組んでいるヘビーユーザー島の前方のエールの街を超メガロン砲が貫通する。

皆で作ってきた街がまた1つで、エールの町が魔王軍の攻撃によって吹き飛ばされてしまった。

『リオンはカベオを2投目を速やかに放て!! エルフ部隊は犠牲者を1人残らず回収してください!! 土砂で生き埋めになった兵は精霊の力で探査を!!』

『は!! 皆の者!! 我らが同士たちを救うのだ!!』

『水の精霊様、癒しの力をお与えください!!』

『土の精霊様、埋もれし者をお救いください!!』

鳥Fの召喚獣を通じたアレンの指示にルキドラール将軍が答える。

(マリア! 駆動室の状況を。推進力を少しでも加速させ、あと何キロ進めるか確認してくれ)

攻撃を受け、リオンを通じて要塞に攻撃を加えながらも、ヘビーユーザー島自体は前進していた。

ヘビーユーザー島から忘れ去られた大陸の海岸線まで3キロメートルほどの位置まで進んできた。

アレンは自軍足元へ強力な一撃を受ける中、新たな指示を矢継ぎ早に出す。

駆動室は今回の攻撃の衝撃でさらに部屋の壁にヒビが入り、絶叫が広がっている。

『アレン様はどれだけ進行できるか距離と時間の確認を求めていますデス』

「きょ、距離ですか?」

『全ての魔石を消耗しても最大出力で進んでどれくらいか聞いているデス!!』

「な、何分も持ちません! おそらく5分と持たず墜落します」

スクリーンに映し出された画面には、現在のヘビーユーザー島の位置、推定の限界進路と激突地点が表示されている。

(これはもう無理だな。魔王軍の攻めが思いのほか強かった。「プランC」だな)

『皆さん聞いてください、ヘビーユーザー島は魔王軍の攻撃によって墜落します! 作戦は「プランC」に移行します。皆さん「プランC」になりましたので衝撃に備えてください!!』

アレンの掛け声に全軍に緊張が走った。

(マリア、魔導技師団たちにも指示を)

『アレン様の話のとおりデス。戦略艦4艦にはプランCに変更を速やかに伝達し、自動運行で切り替えてくださいデス!!』

『で、では……』

驚愕する魔導技師団のドワーフたちをヘビーユーザー島は待ってくれそうにない。

メキメキッ

既に天井の壁が駆動室のあちこちで落ち始め、神殿深くにあるこの場所は維持できなくなりつつある。

スクリーンは危険を知らせるよう真っ赤に点滅している。

『この駆動室も間もなく崩れます。急いでくださいデス!!』

『は!!』

魔導技師団のドワーフたちが戦略艦への連絡を速やかに通信の魔導具で行い、推進の魔導具でヘビーユーザー島の進路を調整する。

『よしデス!! 脱出デス!!』

タイミングを見計らって霊Cの召喚獣は速やかに新たな指示を出す。

『非常脱出用昇降の魔導具起動開始!!』

全員が座っている椅子に魔導具の幾何学模様が生じる。

無数にプランを練ったおかげで、へビーユーザー島内部で活動する魔導技師団を速やかに脱出させる準備はできていた。

『全員脱出指示!!』

魔導技師団のドワーフがタッチパネルを叩くと、全員のドワーフがアレン軍いる場所へと脱出する。

『皆さん、あと1分もしないうちにヘビーユーザー島は胴体着陸します。衝撃に備えてください!!』

メキメキ

ヘビーユーザー島は3発目のメガロン砲によって原形が失われ崩壊が始まっていく。

魔王軍がアレン軍に対する攻撃圏に入った3つの要塞の攻撃が激しさを増す中、ヘビーユーザー島は墜落の道を選択するのであった。