軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第774話 攻略準備3日目:剣神戦①

魔王軍との戦いの準備で3日目の12時を少し回ったところだ。

アレンは先日の交渉の結果、剣神セスタヴィヌスとの試練に13時から臨むことになった。

試練1時間ほど前、魔王軍との戦いに備え、アレンは鳥Fの召喚獣を使い、ヘビーユーザー島の会議室で定例の軍議を行っていた。

『……スキル上げをする方の選定は問題ありません。スキルレベル6にする目標が若干甘い気がしますので対象者数プラス3%増を目指してください』

(前世では詰められる頃を思い出すね。随分昔のことだけど)

健一でサラリーマンだったころ、営業や事務の進捗状況の報告を朝の定例会議で上司を詰められていた頃を思い出す。

別の世界に転生して、自らの倍以上生きた者たちをこんな形で数値を詰めるとは思ってもみなかった。

「は!」

スキル上げのためS級ダンジョンにこもり始めたブンゼンバーグ将軍の代わりに隊長が力強く返事する。

各部隊に振ったスキル上げの状況や目標、物資の把握、戦術の立案、他軍との連携などについて小一時間かけて報告を受け、問題があるところを指摘し修正していく。

(軍を作っておいて良かった。俺たちはスキルの強化に集中できるし。ん? 何だよ)

会議が終わりそうになったところで、ルド将軍が何か言いたそうだ。

『ルド将軍、どうされましたか?』

魔王軍との戦い前に小さな疑念も避けたいとアレンはルド将軍に話を振る。

「撤退の作戦が必要なことは分かります。だが、撤退方法の戦術をこれ以上増やしても……」

『軍を動かす細かい作戦については今後の私たちの準備次第です。ですが、あくまで魔王軍との戦いで主体となるのはシアも含めて私たちです。魔王城のせん滅戦をするわけではありませんので、どこかのタイミングで必ず撤退します。あくまでも作戦の第一目標はルプト奪還ですので、撤退方法を具体的にするのは当然です』

「ぬぅ、分かった」

シアを置いて撤退するかもしれないことを危惧しているルド将軍が何か言いたいのか分かったが、それでもアレンは説き伏せた。

あらゆる作戦を考えるように昨日伝えたのに、攻めの作戦ばかり報告してきた。

「たしかに。 殿(しんがり) の訓練をしておかないといけないな」

盾王のライバック将軍が盾使いの守りで構成された自軍の役割を認識する。

『ライバック将軍、そのとおりです。軍が広がれば、皆さんを転移させられないかもしれませんのでよろしくお願いします。では、本日の定例会議は終わります』

鳥Aの召喚獣の転移範囲は1キロメートルで、万を超える軍であるなら、それ以上に広がる可能性があり、一度に転移できない。

確実に撤退するためにはあらゆる場合を想定した綿密な作戦が必要だ。

アレンの言葉に不承ながらも頭を下げたルド将軍の態度を確認し、定例の軍議を終えた。

(さて、13時に備えて創生スキルが間もなく切り上げてと)

会議を終え、アレンが自らのスキル経験値と手元の鳥Hの召喚獣に意識を戻したとき、となりから天の恵みを生成するメルスの視線を感じる。

『すまんな』

「当然だ。魔王軍の狙いは完全に挫く必要がある」

アレンがアレン軍の幹部たちに『ルプト奪還が最優先』という言葉に、メルスは感謝の意を示した。

(さて、魔王城へ侵入前に神Cは厳しいかな。できれば3巡目をさっさと終わらせて4巡目まで行きたいが10月1日までか)

アレンは昨日、神Bの召喚獣を召喚できるようになったが、魔王軍へ戦うためにさらなる創生スキルのスキル経験値が必要だと考える。

【創生3巡目で解放できる召喚獣】

・スキルレベル1の時は、なし

・スキルレベル2の時は、なし

・スキルレベル3の時は、石Hの召喚獣

・スキルレベル4の時は、魚Gの召喚獣

・スキルレベル5の時は、霊Fの召喚獣

・スキルレベル6の時は、竜Eの召喚獣←今ここ

・スキルレベル7の時は、天使Dの召喚獣

・スキルレベル8の時は、神Cの召喚獣

【スキルレベルアップに必要な必要経験値】

・スキルレベル2に必要なスキル経験値は1万

・スキルレベル3に必要なスキル経験値は10万

・スキルレベル4に必要なスキル経験値は100万

・スキルレベル5に必要なスキル経験値は1000万

・スキルレベル6に必要なスキル経験値は1億

・スキルレベル7に必要なスキル経験値は10億

・スキルレベル8に必要なスキル経験値は100億

※何巡目でも変更なし

定例の軍議と調整、創生スキルの分析から意識を剣神の闘技場に移した。

「やあ!」

「うりゃあああ!!」

特に声が大きいクレナとドゴラの声が広い道場に響いている。

だが、昨日に比べてクレナの掛け声が小さいように思える。

『よし、昼休憩だ。拠点で飯を食って、汗でも流してくれ』

アレンは鳥Fの召喚獣の特技「伝達」を使って、仲間たちに休憩を合図する。

「飯だ……」

「そうだ。クレナ、飯にしろ」

(おい、クレナ。午前中は身が入ってなかったな)

前回の挑戦でアレンは剣神から剣を求めて試練に臨んだ。

アレンが剣神との試練に臨み、斬撃で無慈悲にも首が飛びかけたところで、武神オフォーリアに救ってもらった過去がある。

「まったく俺らのために勝手に試練を受けやがって」

ドゴラが神器カグツチを担いでやれやれとこちらに寄ってくる。

既に昨日、交渉が終わったということもあり呆れながらもこれ以上何も言わないようだ。

『クレナ、俺の神器を返すんだな。これからアレンとの試合に使わねえといけないからな。アレン、試合までもう少し時間があるぞ』

「う、うん」

クレナから神器アスカロンを受け取り、肩に担いだ剣神がニヤニヤと気が変わるなら今のうちだぞと言わんばかりの挑発をしてくる。

「剣神様、しっかり休んで午後からの試練に臨みたいと思います」

「本当にすんのかよ。お前がいねえとルプトさん、取り返せねえぞ」

普段、アレンを心配しないドゴラが声を上げ続ける。

「ルプトを取り返すためだ。ルプトを救えず、世界が魔王に征服される未来は防がないといけないからな」

「だけど、召喚獣も今回使えないんだろ」

「そういう交渉になったからな。その分、バフは可能になったんだ。万全の準備して向かうさ」

(余裕出してその場で試練しなかったことを後悔させてやろう。リオンの特技「輪廻転生」で復活しまくって倒す戦法が早々に崩されたけど)

【リオンの覚醒スキル「輪廻転生」の効果簡易版】

倒されると体力、魔力が最大回復で、バフ引継ぎ、デバフ解除の状態で復活する

常時発動の覚醒スキル

交渉の過程で前回参加できた召喚獣は剣の道ではないと言われ、禁止となった。

しかし、仲間たちのために戦うため、バフの支援は問題ないと言われている。

「俺はお前に無理させてまで強くなりたくないぞ」

「ドゴラ、俺は無理しても仲間を失うわけにはいかないからな。俺はお前が秘奥義を駆使して仲間を守ってほしいぞ。それにスキルは手にしても、使いこなすまでに時間が掛かるからな」

スキルを習得して効果を調べ、スキルレベルを上げ、他のスキルとの連携を模索するには時間が掛かる。

10日と期限の中、3日が過ぎている。

最後の10日目は魔王軍と戦う日と考えれば十分な日数があるとは言えない。

アレンとしては勝率を上げるため、神Bの召喚獣を召喚できる状態で剣神との試練の交渉をしたが、クレナやドゴラたちが使いこなせる日数も考えたギリギリの時間だったと言える。

「……そうかよ。じゃあ、いいよ。勝手にしろ」

アレンの強い意志を感じたドゴラはこれ以上何も言わずに、吐き捨てるように呟くと、畑側に設けた給水の魔導具へ向かい、水分を補給する。

(魔王軍から神界を救ったのだ。神の礼や報酬があってしかるべきだからな)

魔王軍総司令オルドーや参謀キュベルが魔神王や魔神たちを引き連れて神界を襲った。

神界闘技場では大天使で剣神流師範代ムライを筆頭に、数千体の天使が犠牲になった。

神々の試練を超えたアレンのパーティーは、時空神の神域、神界闘技場、シャンダール天空国に分かれて応戦した。

元々、アレンと試合をして剣神に一太刀浴びせたら、剣神の剣を貰えるという試練であった。

結局、クレナが剣神の試練を超えて神器アスカロンを手に入れた。

だが、クレナが剣神の修行をしていく上で剣神術の存在を知り、アレンは報酬内容を変える形で試練を求めた。

報酬については、神界や天使たちを救った分、剣神のできる限り上乗せを求めたところ、剣神からも条件を言われ交渉の結果、話がまとまった。

(さて、勝利の条件は)

アレンは自らのステータスと先日、剣神と交渉して、さらなる報酬を得る条件を手にした。

【試練の内容・条件】

・剣神と道場で剣による試合を行う

・アレンが斬撃を一太刀でも剣神に対して入れられたら試練クリア

・剣神は「神器アスカロン」を使用する

・アレンは大地の神が造った「アレンの剣」を使用する

・仲間たち、召喚獣の参加は不可

・バフは制限なく可能

・生死不問

【試練の達成後】

・武具神全員、奥義1つ、秘奥義1つ伝授

・対象者はクレナ(剣)、ドゴラ(斧)、イグノマス(槍)、フォルマール(弓)

3日目の13時となった。

「よし、皆、バフを掛けてくれ」

アレンは一端、この場から転移して、他所で剣神との試練の準備をしていた。

戻ってきて早々にロザリナやソフィーに対してバフを求める。

「分かったわ」

仲間たちもアレンが剣神と1対1での試練に臨むとあって、今も心配そうだ。

メルスだけがアレンにバフをかけたが、そのまま残って、天の恵みを生成し続ける。

一通りバフを掛けてもらうと、剣神の下で修業する天使たちの道場へと向かう。

剣神専用の道場はアレンが畑を使ってしまっているため十分な試合ができない。

『うし、逃げずに来たな』

道場の中央で肩に神器アスカロンを担いだ剣神がこっちにこいと話しかけてくる。

「はい。ではよろしくお願いします」

『ほ、本当に剣神と1対1の真剣勝負をするのか』

『剣神の御業に首が飛びますよ』

『う、うぬう』

剣神に剣で勝負を挑むとはどういうことなのか分かっている天使や第一天使ケルビンたちは、動揺が隠せない。

『ケルビン、おめえが審判やれ。公平にな』

『は!』

道場の中央で剣神とアレンが対峙する中間地点にケルビンが向かい、審判として試合の合図をしてくれるようだ。

『それでは始め!!』

「……」

開始の合図をしたが、アレンが両手で正道の位置で剣を構えたまま無言で動かない。

『お? どうした? やっぱりビビったか? じゃあ、俺から行くぜ!!』

ポニーテールの剣神が道場の床板を踏み込んだかと思ったら、一気に距離を詰める。

(メッサ速い!?)

アレンが声を出す間もなく剣神の斬撃が首元に迫るのであった。