軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第751話 シャンダール天空国強襲③※他者視点

シャンダール天空国近隣都市シャウパでのアレンの仲間たちの戦いが始まる。

竜王マティルドーラの背中からシアたちが飛び降りた。

前衛たちが前線に躍り出る中、メルルにとってこの戦いに秘策があるようだ。

一通り作戦について仲間たちの中で共有された後、それぞれが役目を果たすため行動に移した。

眼下では、最前列ではメルスが、魔神王バスクが握る魔剣オヌバのコンビを抑えているのだが、その周辺では前衛を務める上位魔神や魔神が隊列を組んで猛威を振るう。

王都を守護する守人の竜人はもちろんのこと、ピラミッド型の王城からも竜人や神界人の兵たちがワラワラと戦闘に参加する。

『俺の召喚したゴーレムや虫の背後に隠れて攻撃せよ!!』

メルスは鳥Fの召喚獣の特技「伝達」を使用し、竜人や神界人に指示する。

【メルスが召喚した召喚獣(最大枠47)】

・ルバンカ、マグラ(2)

・虫A、B各5体(10)

・鳥A、E各5体、鳥F2体(12)

・魚A、B、C、D、E、H、F各1体(7体)

・石D、B、A各5体(15)

・竜A1体(1)

※全て召喚獣の成長レベル9まで上げている

魔王軍は魔神王2体、上位魔神50体、魔神150体が円状の陣形を組んでいる。

魔神王ガンディーラの身長が300メートルと突出してデカく見えるのだが、魔神や上位魔神たちも数十メートルに達する者もごろごろいて、人数の割には陣形を大きく広げることができている。

迎え撃つ召喚獣は虫Aと虫Bの特技「産卵」によって1000体近い召喚獣と、王都周辺を警護する守人の竜人3万人、神界人の神兵2000人、獣人が50人ほどだ。

ステータス10万に達する魔神や、その倍の20万を超える上位魔神を相手に竜人や神界人の兵たちは弱すぎる。

メルスが1人だけだったから、召喚獣を使って必死に、竜人や神界人を守ろうとしてきた。

巨大なゴーレム、シア、ドゴラたちを最前線に出し、その後方から守りながら戦うよう、鳥Fの召喚獣の特技「伝達」を使い、竜人を主とする陣形に対して、作戦を変更する。

メルスはアレンと枠の交渉は常に行っており、多少の召喚獣の種類や数の調整しつつ、被害を抑えている。

鳥Fの召喚獣から定期的にメルスは指示をしているのだが、全てを竜人たちは聞くわけではない。

第一天使であった頃のメルスの声を直接聞いた竜人は少ない。

さらに、人族よりも長生きする竜人たちが長い年月訓練しても、戦う場所は霊障の吹き溜りがほとんどだ。

このような市街地内での戦いは初めてな上に、被害が出ている状況で、浮足立ってしまっている。

弓隊や槍隊にまで魔王軍の攻撃に押し込まれ、隊長格を優先して狙われ、隊列は大いに乱れてしまっており、メルスやアビゲイルの指示を聞けない者もいるようだ。

「なんてやつらだ。うおおおおおお!!」

血気盛んな若い竜人は槍を握りしめ、メルスを無視し、隊列を指揮するアビゲイルよりも前に出る。

「我よりも前に出るな!!」

「うああああああああ!?」

ニヤリと笑みを零し、魔神3体がかりで武器を持ち若い竜人に牙を剥く。

狙われたことを知る守人の竜人が刃を向けられ絶命の危機となる。

まさに殺されそうなところでシアが地面に降り立った。

全身を覆う霊力が獣神化したシアの体をさらに膨張していく。

『ぐる!! 獣神化魔獣型(ザ・ビースト タイプモンスター) 』

メキメキ

シアの毛皮の下で筋肉が躍動し、メキメキと100メートルに達する巨大な虎の獣と化す。

前足で1体の魔神の頭を爆散させ、シアに向かってくる2体の魔神に対して体を捻り尾の先を遠心力で加速させると、長い尾で遥か彼方まで吹き飛ばす。

「メルス殿、俺も加勢するぞ!!」

「待たせたな、メルス!!」

『うむ、助かるぞ!!』

視線を変えずにメルスが仲間たちの応援に答える。

神器を携えたイグノマスとドゴラがメルスの両サイドに300メートル上空から轟音を響かせて着地する。

『うほほほほほ! 加勢か! 面白くなってきたじゃねえか!!』

バスクは戦うのが楽しいのか、やや劣勢になったのだが、余裕の態度を崩さない。

『マグラとルバンカは空中から攻めろ!! 陣形を破壊せねば、あのデカブツは倒せぬ!!』

『ふん、メルスよ。貴様の命など聞かぬ!! 炎極殺!! ぐおおおおおおおおおおお!!』

と言いつつ、マグラは先ほどからメルスの指示は聞いている。

元竜神と元第一天使では、素直に聞くには抵抗のある関係性のようだが、大きく羽ばたき空中から強力な炎のブレスを陣形にお見舞いする。

竜人の陣形上空に上がり、身を盾にして、竜王マティルドーラは、敵の遠距離攻撃からも守っているようだ。

また、嵐獣化して実体のない風の獣になったルバンカはマグラの特技によってダメージを負った魔王軍の陣形内部に潜入し、さらなる追撃を試みる。

だが、このような作戦はこの数十分の間に何度も試みたことだった。

仲間たちが増えても同じであった。

『エブルフレイヤ!!』

『エブルフレイヤ!!』

『エブルフレイヤ!!』

『がは!?』

『ぐぬ!?』

魔王軍は陣形深くに入ってきたルバンカと空中から遠距離攻撃をしてくるマグラを優先して攻撃すると判断しているようだ。

嵐獣化して物理攻撃を受けにくくなったルバンカに対して複数体で攻撃魔法を浴びせ、光の泡に変えてしまう。

空中に浮くマグラにも攻撃魔法を浴びせようとしたが、元々距離を取っており、一部の攻撃魔法を受けたものの、ブレスを浴びせながら距離を取り後退する。

『前衛だ! 前衛を倒し、遠距離攻撃を行う中衛、後衛共どもを攻撃してくれ!!』

魔王軍が陣形も守っている限り、街を破壊するガンディーラの下へはたどり着けない。

『ああ、やっている!! ぐるる!!』

『おう、そのとおりだ。ニンリルも気合入れろ!! 土塊共よ、神界の地を汚す者を蹂躙せよ』

『ふん、俺に命令するな。風の裁きよ!!』

獣神化したシア、大地の神とその土塊、風の神が前衛を守る上位魔神や魔神たちを襲い掛かる。

バスクを抑え込めるようになったため、前衛の魔神たちへの攻めが可能になった。

前衛を倒せば、中衛、後衛の比重の高い魔王軍の陣形を攻め落とすことができる。

中衛、後衛は前衛よりも耐久力が低く打たれ弱いため、前衛さえいなくなれば、魔王軍の陣形を瓦解することができるはずだ。

だが、魔王軍の前衛たちに攻撃が集まると、回復役の魔神たちが一隻に詠唱を開始する。

『エビルリカバリー!!』

『エビルリカバリー!!』

『エビルリカバリー!!』

魔王軍は前衛に対して回復役の部隊が常に浴びるように回復魔法をかけているため、瞬く間に回復する。

それでも、1体の魔神相手に集中して攻撃を加えることによって、1体、また1体と上位魔神よりも魔神から数を減らすことを優先して攻撃を加え、前衛を削っていった。

『……前衛2割消耗。化身石転移要請。転移箇所、座標固定』

建物を掴んでは放り投げるを繰り返していたガンディーラがこの状況に頭を眼下の魔王軍前衛に向け、片言の言葉で要請する。

ブンッ

魔法陣から1メートルほどの大きさの漆黒のもやが浮き出る玉が生じると自然落下を始めた。

カッ

地面から200メートルのところで、闇が生じるように砕けてはじけた。

『はぎゅああああああ!?』

『ぺぎろいいいいいい!?』

頭部や胸部を破壊され絶命した魔神たちが弾けた化身石の光を浴びて、メキメキと変貌させながら立ち上がり始めた。

「おいおい、これはなんだ!? これって剣神のところの魔神たちと同じってことか!?」

ドゴラは目の前で異形の怪物となって復活する魔神を見て絶句する。

シアたちの戦闘参加によって、せっかく倒した魔神たちが元の数に戻ってしまう。

『よそ見している場合じゃねえぞ!!』

『く!! バスクとの戦いに集中せよ!!』

気を許した瞬間を見逃さず魔剣オヌバを繰り出すバスクに対して神器カグツチごしに火の神が注意する。

『……!? これは、ギイの目玉から繰り出す光と同じか!! 皆、良く聞け!! 魔王軍は魔神たちをエルマール教国の時のように化身に変えて何度も復活させることができるようになったぞ。このままでは粉みじんにするか、封印して固めないと倒せぬ!!』

メルスは絶句しながらも、鳥Fの召喚獣を通じて、魔王軍が何をしたのか状況を説明する。

倒されていない魔神たちまで無理やり化身となったため、時空神の神域と違い、困惑する魔神たちはいないようだ。

復活した魔神や生きたまま化身になった者たちが、前進の圧を高め、ゴーレムや竜人たちの陣形を侵食していく。。

ガンディーラを狙えば、魔法や中距離攻撃を得意とする魔神たちの集中砲火を浴びる。

陣形を破壊するために前衛を倒せば、ガンディーラが前衛を化身に変えて復活させることができるようだ。

このままでは守備の陣形が瓦解して、まだ避難できていない多くの非戦闘員の竜人や神界人に犠牲が広がる。

アレンの仲間たちからも竜人たちも困惑の表情が広がる。

『戦況の分析は完了しました。やはり巨大ゴーレムの破壊を最優先すべきです。今の状況なら巨大ゴーレムの破壊の可能性は30%未満です。メルルの進言どおり、神技発動を提案します』

タムタムは人工知能を使いガンディーラの戦力の分析に努めていた。

仲間たちや竜人たちが魔神たちに向かう中、タムタムは機能「人工知能」を使い、戦術を練っていた。

竜人部隊上空にはメルルのタムタム、ガララ提督含むパーティーのゴーレム14体、ザウレレ将軍のゴーレム部隊10体がいる。

石板「巨大化」と石板「超強大化」をはめ、合わせて25体の全長100メートルのゴーレムがいた。

25体のゴーレムの中央にいるタムタムの駆動室内で、メルルが拡声器を使って仲間たちに叫んだ。

「皆、僕の作戦通りいくよ! まずは 超合体(エクストリーム・ユニオン・ゴーレム) だ!!」

「おう!」

「そうであるな!」

「問題ない!」

「いくぞ!」

「分かった!」

ガララ提督を筆頭に4人のエクストラスキル「頭部」を持つドワーフが号令をかけた。

「 頭(ブレインマスター) !!」

「 右腕(パワーハンド) !!」

「 胴体(チャージボディ) !!」

「 両足(ソニックフット) !!」

「 左腕(ガードハンド) !!」

ドワーフたちは5つの部位に分かれたエクストラスキルやスキルを持っている。

メルルを含む25人のゴーレム使いがそれぞれエクストラスキルとスキルを発動する。

25体のゴーレムが5体の全長125メートルの超合体ゴーレムへと合体した。

「なんだ! でかいゴーレム5体が現れたぞ!!」

「み、味方というわけで良いのだな!?」

竜人たちが上空に浮く超合体ゴーレムにどよめき立ってしまう。

ガララ提督が同じく同室内にいるメルルに対して、さらなる指示を求めた。

「よし、第一段階だな。じゃあ、ヘルミオス殿の試練で活躍したお前の力を見せてくれや。メルル!!」

「うん! タムタムもいいね」

『メルル様、問題ありません』

超合体ゴーレムの中にいるメルルの全身を全霊力があふれ出す。

目をカッと開いて駆動室内で大声で叫んだ。

「 神技発動(アルティメット・ゴーレム・マスター) ! 超神合体(エクストリーム・ゴット・ゴーレム) だ!!」

カッと目を見開いたメルルが大声で神技を発動する。

ブンッ

メルルの乗る超合体ゴーレムから幾何学上の光線が伸び、残り4体の超合体ゴーレムとつながった。

『ゴーレム使いの神技発動を確認。接続信号、変形指示を送ります。全ての超合体ゴーレムは接続信号に従い、誘導を開始してください』

タムタムの指示にゴーレムたちが力強く返事し、胴体役のドワーフがそれぞれのタッチパネルを操作している。

『……魔力膨張確認』

目の前に現れるゴーレムに、同じゴーレムのガンディーラが眼を点滅させ、警戒感を強めた。

「な、なんなんだこれは……」

守主のアビゲイルがあまりの巨躯に見上げて絶句する。

ガララ提督率いる超合体ゴーレムに全ての超合体ゴーレムが引き寄せられ、1つの超巨大なゴーレムになろうとしているのであった。