軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第718話 草Sの召喚獣

大精霊神イースレイの説明が続く。

『そのとおりです。世界樹は地上でも多くの実をつけ、精霊たちが存在するための恵みとなっていますが、神々が与えた力によって、芽吹き大樹へと成長していくのです』

(なるほど、世界樹が実をつけてもそのままでは芽吹かないのか。まあ、大量の実をつける世界樹が地上に溢れたら大変そうだからな。芽吹くには条件が必要と。だからローゼンやファーブルは神力を込めて抱き続けていたのか)

新たな豆知識をとりあえず魔導書のメモ機能に記憶する。

前世でも山火事の高熱下でないと発芽しないなど条件がある植物の種があったような気がする。

「私たちは魔王を倒すために召喚獣候補であるペクタンに会いに来ました。召喚獣にすることを許可頂けますか?」

とりあえず、ここに来た目的を伝えることにする。

『世界樹を幼樹にする試練はそもそも達成済みです。お好きになさい。そのために精霊獣神が吐き出した神種を芽吹かせたのです。ペクタンもそれを望んでいるでしょう』

強力な力がある精霊獣神との戦いにアレンたちは勝利した。

その試練の報酬はまだ十分に支払われておらず、ペクタンを召喚獣にすることも許されているようだ。

大精霊神の言葉に呼応するかのようにメモ機能を利用するために出していた魔導書の表紙にログが流れる。

『草Sの召喚獣候補です。聖獣石を取り出し、世界樹の幼樹を取り込みなさい』

(なんだか、交渉する感じではないな。とんとん拍子っと。そもそもルプトから教えてもらったことだし、大精霊神と話が通っていそうだな)

説教から始まった大精霊神との謁見ではあったが、これはこれで良かったと聖獣石を、源泉から飛び出てきたペクタンにかざした。

『プルップー!』

膝を曲げたかと思ったら、大きく跳躍したかと思うと、両手を間に突き出してアレンに向かって突っ込んでくる。

パアッ

ぶつかる瞬間、ペクタンが光る泡に変化した。

そのままアレンのかざす聖獣石に全て吸い込まれていった。

『幼樹ペクタンの肉体の全てを吸収しました。召喚獣へ肉体の再構築を開始します。……再構築が終了しました』

「なんか、サクサク進むわね」

アレンが思ったことを、魔導書を覗き込むセシルが口にする。

『草Sの召喚獣の封印が解除されました。草Sの召喚獣を召喚しますか?』

アレンはとうとう草Sの召喚獣の封印を解除した。

「よし! これでまた1つ、S系統の召喚獣を解放できたぞ。神界にきて枠が埋まって良かったぜ。よし、ペクタン出てこい」

アレンは草Sの召喚獣を召喚する。

「おお!」

「なんか見た目変わらねえぞ!」

「アレン様、やりましたわね」

感動するアレンをソフィーとルークも感想を零してくれる。

名前は既に付けてくれていたので「ペクタン」の名前のまま、変更はしない。

【種 類】 草

【ランク】 S

【名 前】 ペクタン

【体 力】 1000

【魔 力】 50000

【攻撃力】 1000

【耐久力】 1000

【素早さ】 1000

【知 力】 1000

【幸 運】 50000

【加 護】 魔力5000、幸運5000、生命循環

【特 技】 菌床栽培、防護茸、回復茸、復活茸、巨大茸

【覚 醒】 無敵茸、神種生成、〈封〉

出てきたルークがつぶやいたとおり、そのまんまのデカいベニテング茸の見た目だ。

毒々しいがどこかアレンの前世の記憶だとやり込んだゲームの中に出てきた見た目をしており、なつかしさを感じる。

(これで草系統も全て揃ったな。見た目は果物から野菜まで多岐に渡ると。最後はキノコなのは驚きだが。加護は生命循環か。世界樹の説明っぽい加護だけど、ピンとこないな)

【草ランクと見た目】

S:キノコ

A:そら豆

B:モモ

C:ナス

D:ジャガイモ

E:エンドウ豆

F:リンゴ

G:クリ

H:カブ

(ステータスは全力で戦闘に参加しないスタイルだな。スキルはなんだか予想しやすい名前だな。菌床栽培はなんだ。虫系統みたいだし子供のキノコでも増やすのか?)

目の前にペタペタと歩き回るペクタンを見ながら、アレンは戦いの中での活用方法を分析する。

草系統の召喚獣は加護となる魔力と幸運以外はかなり低い。

「よし、もうここには用はないな」

(リオンの分析もまだだしな。セシルのレベル上げを兼ねるなら……)

分からないことが多いと何かあった時選択肢に入れられない。

じっくり検証を進めたいと思う。

『アレンさん。本音が漏れていますよ』

「こ、これは失礼しました。ソフィー、ルーク、他に用がないか大精霊神様は聞いておいでだ。何かあるか?」

アレンは誤魔化すように2人に話を振る。

「幼樹の育成は終わったんだろ。じゃあ、ファーブルは一緒に来いよ」

『ルーク、あたいはみんなのお陰で神になれた。力は与えられるけど共には行けないのよ』

「何だよ。そんなこと言うなよ! 別にいいだろ!!」

アレンの目的が草Sの召喚獣のように、ルークは精霊神ファーブルを連れてきたかったようだ。

『……ダークエルフを導く者よ。あまり我儘を言うものではありませんよ。私たちは皆、理の中で生きています。ファーブルは力を貸せど、協力はできません。それは禁忌を犯すこと。神ではなくなるということです』

「何だよ! メルルだって神になったディグラグニと一緒にいるじゃないか!!」

『ルーク!!』

ルークが大精霊神に対して感情を爆発させたため、ファーブルは思わず大声で諫める。

ソフィーやフォルマールも驚きながらも事の経緯を見つめ、ローゼンも心配そうだ。

(うむ。だが、不公平ではいけないな。だけど、たぶん、ディグラグニは理を破っていなさそうだけど)

アレンだけがルークの言葉に対して大精霊神がどのように答えるか、静かに事の経緯を見守る。

大精霊神は一度だけアレンの視線を感じると、そのまま、静かに優しい口調でルークに語り掛ける。

『ディグラグニさんの魂であるダンジョンコアは常に魔法神の神域の中であり、肉体の一部をあなたの仲間のゴーレムに提供しているに過ぎないと聞いています』

ディグラグニがメルルにしていることは理の範囲内らしい。

「え………? お、おい、アレン! お前ならなんとかできるだろ!!」

ルークがアレンに対して大精霊神と上手く交渉してファーブルを連れて行けるように説得しろと言わんばかりに声を掛ける。

「ルーク。理を犯せば、ファーブル様はただでは済まない。ここは諦めよう」

パーティーのリーダーとして、ダークエルフの里を将来率いるルークの行動に汚点を残すわけにはいかない。

「な、なんだよ……」

「力を貸すことが理であると言うなら、魔王無き世界でなら、共にいられるかもしれないな」

『……まあ、そうですね。人間界に置いておけるかは創造神様と要相談ですが』

「そうなのか! 分かったよ……。ファーブル、これが終わったら迎えに来るからな」

ルークは悔しそうだが納得してくれたようだ。

「そういうことのようですわね。精霊神ローゼン様、このソフィアローネはしっかり戦ってきますわ」

『はは。待ってるよ』

ソフィーの言葉にローゼンは笑顔で答えて見せる。

(さて、すべき話は皆、終わったかな)

アレンが膝に力を入れ立ち上がろうとすると、大精霊神から声がかかる。

『待ちなさい。私の話がまだあるのです』

「はい?」

『実は私も天空大王より昨日「鎮魂祭」に呼ばれているのです。私だけではなく豊穣神様もそうですが……。その時、せっかくですのでアレンさんに報酬などはいかがですか?』

(上位神が2柱も鎮魂祭に来るのか。随分大ごとになってきたな)

大地の神、薬神を束ねる人間界に豊作をもたらす豊穣神モルモルが大精霊神イースレイと共に鎮魂祭に参加するらしい。

霊獣ネスティラドを倒した鎮魂祭には神界人、竜人だけではなく、10柱程度いるといわれる上位神が2柱参加するというのは随分な祭りになりそうだ。

だが、それ以上に気になるワードがアレンの耳に入る。

「おお、報酬ですか?」

『はい。あまり多くを期待はしないでほしいですが、多少のことなら聞き入れましょう』

(ふむ……。なら報酬は1つだな。いや、今の話が本当なら2つはいけるか)

ソフィーたちは何も言わない。

こういう時、報酬はパーティーリーダーのアレンに一任している。

「では、このようなことはお願いできないでしょうか……」

『ほう。ございますか。まずは内容を聞きましょう』

アレンが語る報酬を大精霊神は聞き入れる。

「……というのはいかがでしょうか? 大精霊神様の立場があるかもしれませんが……」

『なるほど。筋の通った報酬です。2つ目については私の困惑を利用するとは……こほん、どのような形にするのか考えておきましょう』

咳払いする大精霊神が了承してくれたところで、アレンたちはこの場を後にする。

これから新たに召喚した召喚獣たちとセシルの育成を図らなくてはいけない。

とりあえず、レベルアップならこれだとアレンたちは地上に戻り、S級ダンジョンの最下層へと向かうことにする。

バウキス帝国のS級ダンジョンの拠点に仲間たちと共に転移した。

アレン軍が最下層に潜るメダルなどを潤沢に用意してくれている。

これはアレン軍がS級ダンジョン2階層から4階層の階層ボスからメダルを回収しているのだが、それ以外にも冒険者から積極的にメダルを購入している。

上位魔神級の難易度のある最下層ボスのゴルディノと戦うメリットは冒険者にはないため、メダルを積極的に販売してくれる。

何でも転職を進めた冒険者が数十人ではめるように倒す方法が確立しているのだとか。

アレン軍は最下層で軍の強化に繋がり、冒険者は装備の強化に繋がる。

魔石や階層ボスが落とすメダルについては、際限なく購入することにしている。

拠点で休憩することもなく、中央のヤンパーニの神殿から最下層まで移動する。

「こ、これはアレン殿! ルークトッド様もいかがされましたか」

「ああ、フンデンバーク将軍お久しぶりです」

地上のアレン軍はヘビーユーザー島、学園、S級ダンジョンなど活動範囲は広い。

竜神マグラの里にある試しの門にも軍を、竜人との合同での訓練とアイテムの収集を兼ねて活動している。

ヘビーユーザー島は獣人のルド将軍、学園はエルフのルキドラール将軍とドワーフのザウレレ将軍と人族のライバック将軍、S級ダンジョンは輪番だがフンデンバーク将軍が指揮している。

学園は開拓が必要なため、エルフとドワーフの部隊が最適だ。

アレンの活動を協力してくれている軍の将軍や隊長と軽く挨拶をしたら、アイアンゴーレムのいる鉄の間へ移動した。

「さっそくどうするのよ?」

「まずはセシルのレベルを89まで上げるぞ」

着いて早々アレンは今後の作戦を口にするのであった。