作品タイトル不明
第569話 大地の迷宮RTA②
アレンたちに大蛇の見た目の5体の霊獣が襲ってくる。
【名 前】 なし
【年 齢】 1025
【種 族】 スネイル
【体 力】 5980
【霊 力】 4550
【攻撃力】 5640
【耐久力】 6660
【素早さ】 5720
【知 力】 5540
【幸 運】 0
【攻撃属性】 土
【耐久属性】 土
(雑魚だな)
魔獣だとAランク程度の強さのようだ。
『メルル! 追跡弾を使ってくれ!!』
大声を上げても届かない位置に、ガララ提督たちもメルルも距離をとっているので、作戦を伝えるのは鳥Fの召喚獣の特技「伝達」が必須だ。
「分かった。タムタム行くよ! 追跡弾だ!!」
『畏まりました。殲滅します』
アレンたちと別れた後も、タムタムは成長を続け、Bランク「グランバスター」と規格の響きもとんでもなくかっこよくなっていた。
本体用石板はアダマンタイトの漆黒の輝きに換わり強化されたタムタムの肩の部分が開閉し、両肩合わせて100発の弾頭を詰め込んだミサイルが発射される。
上空を、弧を描く様に迫るミサイルが均等に20発ずつ、全方位を囲むように霊獣たちを襲う。
『クシャアアア!?』
『クシャアアア!?』
『クシャアアア!?』
霊獣たちが逃げまどう動きも合わせ、逃げ場のない形で全て爆散する。
チャリン
チャリン
チャリン
全部で十数個の霊石が地面に散らばる。
(この辺はダンジョン仕様だな。素材は手に入らないと)
「あ、霊石ね。私がとって……」
すぐ側に落ちた霊石をセシルが回収しようとした。
「霊石くらいなら拾わなくて問題ない。先を急ぐぞ」
「そ、そうね。何だかアレンはこういうのも慣れている感じがするわよ?」
今回のダンジョンは時間制限があるのだが、これまで以上に攻略を急ぐアレンを見て、まるで体験してきたかのようにセシルは思えたようだ。
「そうだな。ローグライクはゲーマーの嗜みだからな。キャリアが違うぞ」
「よく分からないけど、すごいのは分かったわ」
アレンは前世で健一だったころ、やってきたゲームは主にRPGだった。
しかし、「不思議のなんたら」という、「1000回遊べるゲーム」を謳い文句にした、ローグライクというジャンルのダンジョン攻略系のゲームを1万回を超える回数遊んでいた。
このジャンルがRTAと呼ばれる攻略時間を競うゲームとしてもてはやされていることを知ったのは大人になってからだ。
「メルス、霊獣が霊石だけになったな。この前聞いていた話は本当なんだな?」
『む? ああ、そのとおりだ。ここは大地の神ガイアが、神界で暴れる者たちを閉じ込めるために造った牢獄だ。今は神界に来た者の試練のために使っているみたいだがな』
大地の迷宮とは、大地の神ガイアの神域を使って、神界を暴れる者たちを閉じ込めた巨大な牢獄らしい。
神界人のいる場所は自分らで霊獣を狩れと竜人たちを使って狩らせていたが、広大な神々のいる神域では、こうして大地の神ガイアの牢獄に閉じ込めているようだ。
「狩らずに閉じ込めると?」
大地の神ガイアの力を持ってすれば、霊獣を倒すくらいわけがないと思う。
『どうせまた沸いてくるからな』
無限に沸いてくるので、閉じ込めた方が効率が良いとメルスは言う。
「なるほど、だが、霊獣が霊石しか残らないのは地上のダンジョンみたいだが?」
『それは、迷宮に取り込んでいるのだろう。このダンジョンを維持するのも神力を使うからな』
理解できるようで理解できない話でメルスが結論づける。
メルスの話とは他所に、既にダンジョン内の攻略を進めさせている召喚獣たちが目当てのものを発見する。
(お? これは? 壊せないだと? ん~、随分離れているな。この距離は転移だな)
せっかく見つけた宝箱だが、頑丈にできているのか鳥Aや鳥Fの召喚獣がいくらつついても破壊できない。
『皆、宝箱のある部屋を発見した。転移するぞ!』
特技「伝達」を使って皆に伝えると、ゴーレムに乗り込んだガララ提督たちも含めて一気に別の部屋に転移する。
(さて、転移してしまったが道順はばっちりだぞっと)
5組の鳥Aと鳥Fの召喚獣がそれぞれ別の道を通り、部屋に入ると襲い掛かってくる霊獣を避け、どんどん先行していく。
アレンは圧倒的な知力を持って、この階層の地図が頭の中に出来上がりつつある。
転移して道順を飛ばしてしまったが、どこにいるのか迷うことはない。
「宝箱ね。結構大きいわ」
「そうだな」
高さ5メートルほどの大きな宝箱が部屋の中央に鎮座している。
コンコン
鳥Aと鳥Fの召喚獣が必死になって宝箱を嘴で小突いているのだが、びくともしないようだ。
仕方ないとアレンがオリハルコンの剣を鞘から抜き、飛び上がりざまに上段から切りつけた。
ドン!!
どれだけ強固であったのか腹に響く重低音の鈍い音がしたと思ったら、中から金色の光が溢れる。
「お! 当たりだな。金塊じゃねえか! 3つもあるぞ!!」
人よりも大きなサイズの金塊にガララ提督が目を輝かせる。
ガララ提督のゴーレム「ゲララパ」がアームを伸ばし、金塊を拾おうとした。
「残念です。ハズレなので次を行きましょう」
「おいおい、って分かったよ」
アレンの圧を込めた視線に、ガララ提督はすぐに折れる。
「荷物になるからってことね」
「そういうこと。魔導袋が出てこない時点で金塊の回収はあり得ないからな。まあ、ダンジョン内の店に使えるから、無駄とは言えないが今はあり得ない」
宝箱の中には様々なアイテムが出てくる。
有用なアイテムでは、ゴーレムが馬鹿みたいに使う魔力を回復させる、魔力回復薬がある。
特にパーティー全員の魔力を回復させる魔力回復薬が出れば、大当たりの部類になる。
このダンジョンには回復薬の類を含めて基本的に持ち込みが禁止されているので、持ち出せても持ち込むことができない。
それだけ、ダンジョンの難易度を引き上げているようだ。
霊獣を倒しても、逃げても、ただただ移動しただけでも、ゴーレムを降臨させていたらゴーレム使いは魔力を消費するため、一定以内の間隔で魔力回復薬は入手しないといけない。
また、このダンジョン内では、ダンジョン内で手に入れた金塊を使って、ダンジョン内の店で買い物ができる。
かなり有用なアイテムや、ダンジョン攻略に必要なアイテムも手に入るのだが、買い物には金塊が必須だ。
なお、金塊は重さ100キログラムほどあり、結構な荷物になる。
(さて、鳥系統の召喚獣だと宝箱を開けられないと、破壊できるくらい攻撃力の高い召喚獣もセットにするか。それだと5組で15体になるな。いや空を飛べて物理攻撃や特技の有用な召喚獣はいないぞ)
「よし、次はあっちだな」
(これで転移は4回しかできなくなったな。緊急避難用にも残しておきたいのだが)
小部屋や大部屋と無数の通路で構成されたこのダンジョンの、鳥Aと鳥Fの召喚獣たち入って来たのとは別のルートを選択する。
召喚獣たちには元来た道を戻り、分かれた別の道を攻略させることにする。
一度使うクールタイムが1日必要な覚醒スキル「帰巣本能」を使ってしまった。
ソフィーの神技「精霊神の祝福」でクールタイムはリセットできるが、できれば5組全部覚醒スキル使用した後、使いたい。
覚醒スキルを使用した鳥Aの召喚獣も、下の階層を調べるという役目がある。
あれこれと試行錯誤する要素が多いなと思いながらも、10個あるという宝箱の残りを探すことにする。
開始から50分ほどで、宝箱4つ目を破壊したところで目当てのものが出た。
「よし、スコップが出たな。回復薬も1つ出たし、下の階層に降りるぞ」
(やはり低階層で確定で1個のスコップが手に入ると。メルルたちの試行錯誤も無駄ではなかったな。だが、銅のスコップかよ。ハズレだな。3回はもってくれよ。ハバラクさんがいるので、このまま鍛冶エリアを探しつつってところか)
アレンが霊Aの召喚獣で、メルルたちの様子を見ていた時から、アレンは大地の迷宮攻略方法を考えていた。
「何よ。まだ6個宝箱があるわよ?」
「いや、部屋が多すぎて広すぎる。時間もないし、このまま下の階に行くぞ」
(1階層に1時間もかけていたら24階層までしかいけないってことだからな)
既に下の階層を発見し、ここから最短ルートで向かうルートも頭の中に入っている。
階段がまだ見つかっていなかったら、階段探しがてらに他の宝箱を探すのだが、既に見つかっている。
セシルはアレンにあれこれ質問しながらも、メルルやソフィーにも気付きを与えて共有を図っているようだ。
下の階に降りても、霊獣はAランクの魔獣程度だった。
ダンジョンに入ってから6時間で7階層までやってきたところで、さらにお目当ての場所を発見する。
部屋の前には今までいなかった土偶が立っており、部屋の中央には商神マーネの露店市場のようにゴザが引かれ、ゴザの上にはアイテムが並べられていた。
「店発見だな。ミミックみたいな霊獣が紛れているから気を付けるんだ。俺がとりあえず、1個ずつ触ってみよう」
「あう、そうか助かる」
神界の店が何を売っているのか気になったハバラクに、アレンが最初に全て触ると言う。
この辺もアレンはメルルたちのお陰で知識があった。
店の中には9つの品が綺麗に並べられており、以下のようになっている。
【店頭の商品】
・体力回復薬(大)2個
・魔力回復薬(大)1個
・魔力回復薬(小)1個
・魔導具袋(中)1個
・鍵(銅)1個
・大地の祝福1個
・魔導盤拡張端子1個
(うは、やったね。鍵と魔導盤拡張端子があるぞ。品揃え最高かよ)
「大地の祝福ってなにかしら?」
ハートの形をした大きな木の実をセシルは手にとった。
「それは大地シリーズだな。祝福だから、これは1つの回復薬を3倍に増やすことができるんだけど、苗床エリアに行かないといけないな」
かなり貴重な霊力回復薬や、体力自然回復1%1時間継続の効果の回復薬などが出たら、大地の祝福で増やしたい。
他にも大地の怒りとか悲しみなど苗床のような条件を満たす必要のあるアイテムが売ってたり、宝箱に入っている。
「条件を満たしたら使える特殊アイテムってことですね」
ソフィーも何とかアレンの思考に追いつこうとする。
「そういうことだ。よし、これくらいのアイテムならその魔導袋に全部入りそうだな」
アレンはおもむろに魔導袋に全てのアイテムを入れていく。
「え? お金ないよ」
メルルもタムタムの中で絶句する。
これまで何度か開けた宝箱には金塊があったのだが、アレンは無視してきた。
『……』
アレンの様子に土偶がアレンたちを店から出さないぞと1つしかない出口を塞いだ。
「ちょっと、だから金塊を持って行こうって言ったじゃないのよ。どうすんのよ?」
「俺に良い考えがある」
アレンが悪い顔をしながら答えるのであった。