軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第485話 転職ダンジョン改

アレンたちはラターシュ王国学園で新たにできた転職ダンジョン改にいる。

1日かけて攻略を進めた結果、ダンジョンの最下層にアレンたちはいる。

目の前には巨大な獣系統の魔獣が横たわっている。

『キメイラオメガを1体倒しました。経験値を4億取得しました』

「これが転職ダンジョン改のボスか」

魔導書を見ながら、アレンは敵を倒したか確認する。

体長100メートルはあろう複数の魔獣が融合した巨大な魔獣をアレンたちは倒した。

億越えの経験値からもSランクの魔獣だろう。

今日はクレナやハクを置いて、新装オープンした転職ダンジョン改にやってきた。

目的はハバラクとルークの転職だ。

陣形を組んで戦ってきたアレンのパーティー「廃ゲーマー」は、戦いを終えたのでアレンの元に集まってくる。

少し先にはキューブ状の物体が浮いている。

『なんか、あっけなく攻略されてしまったな』

メルルの頭上に浮く魔導キューブ越しに、ダンジョンマスターディグラグニがつぶやいた。

顔は見えないが、悔しさが伝わってくる。

1日かけての攻略になってしまったが、4月1日になってオープンして早々アレンたちに攻略されてしまった。

「俺たちは魔神も倒すからな」

アレンたちはそのステータスの高さから、Sランクの魔獣をものともしない強さだった。

以前ディグラグニと話をしていた、レベルをリセットにしたり、才能の星の数を減らしたりする仕様もあって、十分な出来だったとアレンは言う。

『そうだが、なんか、アレンよ。お前、試しの門よりもつまらなそうだったじゃないか』

(ダンジョンを楽しめたか。まあ、物足りないのは事実か)

「この転職ダンジョンの難易度はA級ダンジョン以上、S級ダンジョン以下で設定してるんだろ」

『たしかに。魔獣の強さはこんなもんだって、イシリス様も言ってくださったのだ。やはり罠の数が少なかったのかぁ……』

表情に出したつもりはなかったのだが、実際につまらなかったのは確かだ。

遠くで最下層ボス戦の様子を見ていたハバラクがようやくアレンたちの元にやってくる。

「おいおい、これは何の会話だ」

「さあ……反省会?」

ダンジョンをせっかく1日で攻略したのだが、ディグラグニの愚痴が止まらない。

ハバラクが状況についてこれなかったのでメルルに聞くが、明確な答えは誰も持ってない。

「罠の数の問題じゃないだろう。たぶん、単調なんだと思うぞ」

『単調だと。複雑な迷路もあっただろ。今回はアレンが言っていた落とし穴も追加したぞ』

アレンはダンジョンで失敗した時のペナルティの相談を受けていた。

それとは別に、罠の種類についても相談を受けていたので、今回アレンたちもかかってしまった落とし穴も追加されていた。

この落とし穴は罠を踏んでしまうと前の階層に落ちてしまう。

「いやそういう意味じゃなくて、単調というのは、この先に行けば次の階層に行けるという期待を裏切らないからじゃないのか?」

『期待だと?』

「期待と結果が釣り合い過ぎているんだよ。例えばだ。落とし穴を避けて進めば次の階層に進むって分かり切った造りになっているよな」

納得いかないディグラグニに対して、アレンは素直な感想を伝えることにした。

ちゃんと魔法神イシリスはダンジョンの哲学までディグラグニに教えてほしいと思う。

『何が問題なんだ?』

「落とし穴に落ちないと先に進めないとしたらどうだ?」

『ああ?』

先に進むには落とし穴に進まないと正規のルートで攻略できない。

さらに複雑にすると、落とし穴に落ちた先にも攻略のルートがある。

落ちない先にも攻略のルートがある。

どちらを選択すればいいのか、判断を迷わせることが大事だとダンジョンソムリエの資格を持つアレンは説く。

「常に疑心暗鬼を与え、『このまま進んでいいのか』挑戦者に考えさせることが大事なんじゃないのか」

単純に罠を避けて次の階層に行けばよいという安易な考えを排除された時、真に複雑で緊張感のあるダンジョンができると語る。

『お、おおお。疑心暗鬼か……。聞いたかメルル。次の作るダンジョンはもっといいのが作れそうだぞ』

(次のダンジョンね。まあ、次のダンジョンもできるだろうな)

転職ダンジョンができてすぐにできた転職ダンジョン改だ。

転職ダンジョンでは星4つまで転職できた。

転職ダンジョン改では転職ポイントを使用して星5つまで転職できる。

アレンにはこの先があると考えている。

「う、うん。そうだね」

『なんだその反応は。ダンジョンを何だと思ってる!』

魔導キューブがはちきれんばかりだ。

「いや、そんなこと言われても僕はダンジョンマスターじゃないし……」

何の会話かメルルは分からない。

誰にも分からない。

「それで、転職を済ませようぜ」

ダンジョン哲学のような空気になる中、キールはまだまだやることがあるだろうと言う。

確かにそうだなと、アレンも含めて皆、キューブ状の物体の元に移動する。

『ダンジョンの攻略おめでとうございます。私は転職支援システムT005です。転職ポイントを使用して転職をしますか?』

「はい。まずはルークトッドの転職をお願いします」

正式な場なので、ルークのフルネームでキューブ状の物体に伝える。

「お、おう。ようやく俺も幼精霊が顕現できるようになるんだな」

『では、アレンの保有する転職ポイントを1ポイント消費して、ルークトッドの才能を黒魔導士から呪霊使いに変更します』

(呪霊使いとかかっこいい)

パアッ

ルークは光に包まれる。

「転職できたのか? おお! 呪霊使いになってるぞ!!」

アレンの見る魔導書をルークは確認する。

やはりこういう時は皆、ステータスの確認は数値化してみたいものだとアレンは思う。

魔導書にルークの転職の記録を取る。

【ルークの転職記録】

・黒魔術師★

・黒魔導士★★

・呪霊使い★★★

「問題なく転職できたな。まずは精霊の里に戻って、幼精霊と契約してくれ」

「おう! ムートンも里の皆に紹介するからな!!」

『ああ、そうだな』

ルークの目に輝きが増した。

久々の実家に帰れると聞いて、肩に乗る大精霊ムートンをバヨンバヨンと手で揺らしている。

そのルークだが、呪霊使いになると幼精霊を顕現できるというのは間違いないようだ。

ファーブルもムートンもそう言っている。

その幼精霊はダークエルフの里ファブラーゼにいるので、スキルレベルが上がるたびに最大4体契約を交わさないといけない。

里の外でも幼精霊は世界にいるのだが、点在しており実体化もほとんどしていない。

精霊が顕現化するには世界樹、巨大な活火山の火口、人里離れた清流など霊験あらたかな場所じゃないといけないらしい。

精霊の大地とも言われるローゼンヘイムには顕現化した精霊が多く、せっかくなので自分の地元で幼精霊を探せばよいとアレンは言う。

ソフィーはS級ダンジョン攻略の折に、幼精霊を契約するためにローゼンヘイムにアレンたちと共に帰った。

顕現中魔力を消費し続ける幼精霊との関係を構築する上で、魔力が大量にいるが、それも問題ない。

ソフィーの時は、魔力回復リングを貸したが、今はルークには聖珠がある。

試しの門攻略の際もマクリスが聖珠を流し続けたため、ルークも2つの聖珠の腕輪を装備している。

幼精霊の扱いにも慣れてくれるだろう。

「幼精霊の扱いに慣れたら、もう一回転職させるからな」

「おう! そうだな!!」

(次は、神界の精霊の園かもしれないな)

神界にある精霊の園は、アレンたちが向かう予定の1つだ。

そこにはたくさんの精霊が姿を現しているとか。

『これで転職は終了しますか?』

「いえ、次にハバラクさんの転職をお願いします」

『では、アレンの保有する転職ポイントを10ポイント消費して、ハバラクの才能を世界一番の鍛冶職人から伝説の鍛冶職人に変更します』

パアッ

「ぬ? 転職できたのか?」

「はい。そのようです。これで、スキルを上げたらオリハルコンの造込ができるようになるはずです」

アレンは魔導書にハバラクが伝説の鍛冶職人になったことを確認する。

【鍛冶職人の才能名と★の数】

・村一番の鍛冶職人 ★

・町一番の鍛冶職人 ★★

・国一番の鍛冶職人 ★★★

・世界一番の鍛冶職人 ★★★★

・伝説の鍛冶職人 ★★★★★

「ああ、分かった。オリハルコンを造込していけばいいんだな。腕が鳴るぜ」

意気込むハバラクにそれは何よりだとアレンは考える。

鍛冶職人には「造込」というスキルがある。

鍛造して作り上げた武器に特殊な効果を付与できる。

アダマンタイトには「造込」することができたのだが、オリハルコンには才能が足りずできなかった。

今回、転職ダンジョン改にやってきたのはオリハルコンの武器と防具を強化するためだ。

全ては試しの門の門番メガデスを倒し、神界を目指すためだ。

(さて、これで随分転職ポイントを使ってしまったな)

「ああ、私も転職したいわ」

セシルが明らかな本音を漏らす。

星4つのセシルは星5つに転職したいという。

転職ポイントの残13ポイントなので1人だけ星5つにできる。

「いや、転職ポイントが足りない」

「分かっているわよ。クレナも転職させるの?」

順調にレベルが上がった。

転職させるためにはエクストラモードのクレナのレベルを99まで上げないといけない。

予定としていたララッパ団長の転職も様子を見ることにする。

「いや、恐らくだが、クレナは魔王軍の拠点破壊後は、そのままメガデスと戦うことになるな」

何体魔神がいるか知らないが、都合よく2回レベルをカンストできるほどの魔神がいるか分からない。

その上、侵攻を始めたら全ての拠点を破壊したい。

アレンたちは試しの門の攻略に向け、準備を着々と進めていくのであった。