軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第272話 5階層

「じゃあ、今日は5階層の最下層ボスに挑戦したいと思います」

「とうとう、最下層ボスを目指すんだね」

「一応様子見を兼ねていますけどね。まだソフィーのスキルが育っていませんし」

いつもの拠点、いつもの朝食の時にアレンはヘルミオスとそのパーティーに今日の予定を話す。

今日は最下層ボスに挑戦しようと決めた日だ。

Aランクの召喚獣の分析に10日ほどかけ、メダルもそろったのでそろそろかなという判断だ。

Aランクの召喚獣の特技をまだ完ぺきには分析し終えていない。

それに、ソフィーのスキルレベルは6になっていないし、精霊の扱いも不十分だ。

しかし、最下層ボスの討伐報酬は倒す度に貰える。

初回討伐報酬は一度のみだが、C級からA級のダンジョンと同様に、最下層ボスを倒せば討伐報酬は毎回貰える。

(無理そうなら逃げればいいしな)

ガララ提督のパーティーは最下層ボスに挑戦したが、攻略は叶わず撤退した。

最下層ボスへの挑戦は撤退が可能なことを知っての判断だ。

「けっ」

そんな会話の中で、ソファーに深く座り酒を飲んでいるガララ提督が悪態をつく。

「ガララ提督、いかがしましたか?」

「お前ら程度じゃ、最下層ボスに挑戦できねえよ」

(ほうほう)

「あ!? お前ら程度だと! て、てめえ!!」

「おい。ドゴラ」

(挑発耐性ないのか)

そういうことを言うと、直ぐに顔に出るドゴラの顔が真っ赤になっている。

ドゴラを諫めて会話はそこで終わり、ダンジョンに向かうことにする。

「やっぱり、結構心配していたな」

Sランクの階層ボスに挑戦すると決めた時も、それなりに心配していたヘルミオスのパーティーだった。

今回は、バウキス帝国最強を集めたようなガララ提督のパーティーが既に惨敗している。

止めはしなかったが、もう何か月も一緒に暮らした仲のヘルミオスとその仲間たちの顔には、心配している様がありありと出していた。

「大丈夫でしょ。アレンが、強くなったんだし。というか強く成りすぎでしょ」

アレンの言葉にセシルがジト目で言ってくる。

「いや、俺だけ転職できないし」

アレンと違い、仲間たちは何度も転職した結果基礎となるステータスがとても高くなった。

アレンは転職によるステータス半分引継ぎもできず、レベルは止まったままだ。

「そんなのもう関係ねえだろ」

怒りが収まったドゴラも同調する。

そうだよと皆が頷く。

(確かに転職なんてどうでもよくなるくらいの力は得たか。いや、ここで満足してどうする?)

一瞬満足しそうになった自分の考えを諫める。

こんなの道の途中に過ぎないと思いながら、行列は順番が来たので、メダルを使いどんどん階層を進んでいく。

「よし、次は5階層だ」

「ああ」

「うん」

ドゴラは肩に背負っていた大斧を手に取り、力強く握りしめる。

クレナも同様に、大剣を取り、いきなり敵が攻めてきてもいいように後衛を守るため一歩前に進む。

(とりあえず、A級ダンジョンでも最下層ボスがいきなり攻めてきたなんてないけどな)

CからA級ダンジョンもボスはボスの間にいるので、ボスの間に入ってある程度近づかないと襲ってくることはなかった。

アレンはそう思いながらも、警戒は大事だと気を引き締めて4階層のキューブ状の物体に話しかける。

『5階層ですね。ブロンズメダル、アイアンメダル、ミスリルメダルをそれぞれ5種類お出しください』

「どうぞ」

Sランクの階層ボスから手に入れた物も含めて5種類ずつのメダルをキューブ状の物体に見えるように出す。

掲げたメダルは消え、アレンたちは移動する。

「ここはどこだ?」

キールが警戒全開で辺りを見回す。

そこは魔導具のような、機械仕掛けのような広い部屋だった。

「遠くに明かりが見えるな。あっちもだ」

どれだけ広いか分からない薄暗い部屋に明かりが見える。

ドゴラも武器を握りしめ状況を確認する。

「やはり、魔獣はいないようだな。ここから最下層ボスの間に飛ぶのか」

「そのようね。灯りがいくつか見えるけど、どうする」

アレンは状況を整理する。

ここは若干薄暗い魔導具仕掛けのような部屋だ。

目の前にキューブ状の物体があり、前後左右の遠くに灯りがあるので、そこに何かありそうだ。

とりあえず、近くにあるキューブに話しかける。

『私は最下層脱出専用システムS501です。この階層から脱出しますか?』

「いいえ。最下層ボスに挑戦したいです」

『でしたら、正面のシステムから移動してください』

「はい」

アレンが話しかけると、このキューブは最下層からの脱出しかしてくれないと言う。

正面の灯りのところから最下層ボスに挑戦できるというので、とりあえず皆で移動してみる。

ほどなくすると、魔導具でできた灯篭のようなものがほのかに光る前にキューブ状の物体が浮いている。

『私は最下層ボス転移システムS505です。メダルが台座にはまっていませんので、最下層ボスの間には移動できません』

「はい」

「なによ。いけないって言っているんじゃない」

話しかける前に断られてしまった。

「台座にメダルとはどういうことでしょうか?」

『それは各メダルの間転移システムに確認してください』

「ふむ。どうやら、ここから最下層ボスに行ける。しかし、メダルを台座にはめないといけないらしい。他の灯りに行けばいいらしいから行ってみるか」

アレンがそう言うと皆が頷く。

とりあえず、かなり広い間だが、入って右手に見えた灯りの方に移動してみる。

そこには魔導具の灯篭の前にキューブ状の物体が浮いている。

そして、そのキューブ状の物体の前に台座がある。

「ここにメダルを入れろってことね」

「セシル。そうみたいだ」

腰くらいの高さの台座の中央に確かにメダルを嵌めるための凹みがある。

どうやら、ここにメダルを嵌めないといけないようだ。

(もしかして、正面から最下層ボスに行く。各メダルの間って言ってたし、残りの3つの灯りに台座があって、そこに全てメダルを嵌めると最下層ボスに挑戦できるって仕組みか?)

アレンはキューブ状の物体に近づく。

『私は銅の間転移システムS502です。銅の間に移動しますか?』

「いいえ。質問をさせてください。この台座に嵌めるメダルは、銅の間で手に入るメダルじゃないといけないのですか?」

『そうです。ブロンズメダルの守護ゴーレムを倒してメダルを手に入れてください』

アレンは仲間たちを見る。

どうやら、仲間たちも状況が理解できたようだ。

前後左右に明かりが見えたので、全て確認することにする。

中央は最下層脱出専用システムS501

右手は銅の間転移システムS502

後ろは鉄の間転移システムS503

左手はミスリルの間転移システムS504

正面は最下層ボス転移システムS505

アレンは魔導書にメモを記録する。

メダルの間に行って、守護ゴーレムを倒して手に入れたメダルを台座に3箇所全て嵌める。

そして、最下層ボス転移システムS505に話しかけると最下層ボスへの挑戦ができるという仕組みのようだ。

「アレン、どれから行くの?」

クレナがどの守護ゴーレムから倒すのか聞いてくる。

帰るなんて選択肢は誰も持っていない。

「とりあえず、一番弱そうな銅の間に移動してみようか」

S級ダンジョンのメダルも銅から順だったので、きっと弱いだろうと思いから、銅の間転移システムS502に話しかける。

『私は銅の間転移システムS502です。銅の間に移動しますか?』

「はい」

ブンッ

アレンが返事すると、アレンたちの視界が変わる。

「ここは広間だな。目の前にはデカいゴーレムがいると」

アレンは目の前のデカいゴーレムを無視して全体を見回す。

恐らく、近づかないと何もしてこないと予想している。

「あれを倒せばいいのか?」

「そうだな。ブロンズで出来たゴーレムか。とりあえず、得体のしれない魔獣だからな。初撃はメルスに任せる」

『ああ』

アレンが魔導書にしまっていた、天使メルスを召喚すると、メルスはデカいゴーレムに近づいて行く。

検証している時にメルスは魔導書にしまっていたが、メルスはアレンと同じくらい状況を理解している。

これは、他の召喚獣同様、アレンの経験や体験をカード状態のときに共有するからだと分析している。

メルスが浮いたままゆっくり近づくと100メートル近い大きさのブロンズで出来たゴーレムが激しく動き出す。

手をドリルのように回転し、メルスに迫る。

メルスもブロンズゴーレムが攻めて来るのに合わせるように、一気に距離を詰める。

『ぐふ!』

攻撃力が強化されて22000あるメルスが力負けして吹き飛ばされる。

(あちゃ、かなりの攻撃力だ)

目の前のブロンズゴーレムは、メルスの攻撃力を圧倒しているようだ。

そう思った瞬間のことだ。

メルスの頭の上に浮く輪っかが淡く光る。

そして、誰にも聞き取れないほどの速さでメルスは呟いた。

『特技「天使の輪」発動。管理者権限確認。竜Aの召喚獣召喚』

『『『グルァアアアア!!!』』』

アレンの後ろから竜Aの召喚獣が召喚される。

そして、5つの首がブロンズゴーレムに迫っていくのであった。