軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第232話 S級ダンジョン

アレンはメルルと合流できたので、早々に帝都を離れて、ヤンパーニの神殿に向かうことにする。

ソフィーがヌカカイ外務大臣経由でのバウキス帝国の皇帝の誘いをやんわりと辞退したので、これでアレン達が謁見をお断りした皇帝は2人目になる。

アレンとしては、会わないといけない国王や皇帝がいるなら、そうしないといけないイベントにしてほしいと思う。

皇帝に呼ばれたからといってすぐに会えるかといえばそういうわけにはいかない。

ソフィーがラターシュ王国の国王に謁見するにも10日かかった。

大国の皇帝なら1ヵ月待たされる事もざらにあるらしい。

エルフの女王みたいに、女王の間フリーパスの感覚だと大変な目にあう。

アレンたちは鳥Bの召喚獣に乗って、バウキス帝国の帝都から北東にあるヤンパーニの神殿を目指す。

召喚獣についても、ヌカカイ外務大臣にざっくりと説明をした。

今後、バウキス帝国内で召喚獣を使って移動したり、ダンジョンを攻略したりする予定だ。

ヌカカイ外務大臣には、アレンが召喚士だという情報はほとんど入っていないらしく、そういえばそんな話を聞いたことがありますね程度であった。

ただ、街中で召喚獣を出すことはお控えください、それ以外は構いませんと言われた。

多少驚きはしたものの、ローゼンヘイムほどの反応ではなかった。

その場で召喚獣を見せたわけではないが、この反応の薄さはバウキス帝国のゴーレム兵に関係しているのかなと思う。

自らの国のゴーレム兵を超える力は持っていないでしょという考えが根底にありそうだ。

世界最強を自負する国の余裕なのかもしれない。

いつもはセシルと一緒に鳥Bの召喚獣に乗っているのだが、今日はメルルと一緒に乗る。

「じゃあ、貴族になったんだ」

「うん、僕頑張ったんだ!」

見た目は少女なのだが、1人称は「僕」のメルルが満面の笑みで、アレンたちと別れた後のことについて話してくれる。

学園にいたころは、どこか自信なさげであったメルルであるが、今元気に満ちているのは、きっとそれだけ戦争で活躍できたからだろうと思う。

メルルは今回の戦争で名誉男爵になれたらしい。

これはクレナと同じ扱いだ。

どうやら、剣聖や聖女など星3つ相当の才能がある者を名誉貴族にするのは通例のようだ。

本来であれば学園を卒業した時点で貴族になるのだが、今回は大規模な戦争が起きたため、その戦果をもって貴族にするらしい。

これは各国が自分らの国の有能な人材を流出させないための措置にもなっているように感じる。

(メルルは星3つで確定だな。だけど途中で魔力の種を帝国に売ってしまったせいで、スキルがカンストしきれていないな。レベルはさすがに60になっているけど)

メルルは、学園在籍時にダンジョンを周回していた頃、スキル経験値は一切入っていなかった。

これはメルルがゴーレム兵を使ったスキルしか覚えないからだ。

今回、魔王軍との戦争にゴーレム兵として従軍したためスキル経験値を稼ぐことができたが、カンストしてはいない。

全部自分のために使えばおそらくスキルレベルもカンストするかなと渡しておいた魔力の種を、バウキス帝国に渡してしまったからだろうと考える。

【名 前】 メルル

【年 齢】 14

【職 業】 魔岩将

【レベル】 60

【体 力】 1677+900

【魔 力】 2420+900

【攻撃力】 782+900

【耐久力】 1318+900

【素早さ】 782

【知 力】 2420

【幸 運】 1503

【スキル】 魔岩将〈4〉、飛腕〈4〉、穿孔拳〈4〉、光束剣〈4〉、合金〈1〉、槍術〈3〉、盾術〈3〉

【エクストラ】 合体(右腕)

・スキルレベル

【飛 腕】 4

【穿孔拳】 4

【光束剣】 4

・スキル経験値

【飛 腕】 430/10,000

【穿孔拳】 550/10,000

【光束剣】 280/10,000

そして、魔導書で見るメルルのステータスは剣聖だったころのクレナ同様に、4つのステータスがそれぞれ900増えている。

(ステータス全体はかなり増えているけど、攻撃力が上がっていないしな。メルルの戦いはゴーレム兵を手に入れること前提なのは変わらないと。穿孔拳ってドリルパンチのことか? なんだか胸がときめくんだけど)

S級ダンジョンに行けば、ゴーレム兵が手に入ることが分かった。

明らかにゴーレム兵を使った攻撃主体のスキルに心が躍る。

魔導書に、S級ダンジョンで手に入れたいものを記録していく。

・メルルのゴーレム兵のパーツ収集

・オリハルコンの武器防具

・ステータスが1000以上増えるアイテム

・便利な魔導具

S級ダンジョンでは、A級ダンジョンでもオークションでも手に入らない数々の魅力の品が手に入るようだ。

ここで一気に装備などを更新してしまいたい。

また、冒険に必要な魔導具なども手に入ると勇者ヘルミオスが言っていた。

「ローゼンヘイムで勇者ヘルミオス様に会ったんだね」

「ああ、メルル。勇者は相変わらずだったな。そういえば、ギアムート帝国での戦争に勝ったお祝いが終わったら、ダンジョン攻略にやってくるんだって」

S級ダンジョンを攻略する上でいくつかアドバイスを貰ったヘルミオスは、勇者から英雄王にジョブチェンジしてレベルが1になってしまった。

レベル上げも兼ねて、ヘルミオスも仲間と共にS級ダンジョンを攻略すると言っていた。

「へ~、ヘルミオス様も来るんだ。っていうかアレンってヘルミオス様と仲良いんだ~」

メルルに感心されてしまう。

「いや、別に仲良くないぞ」

久々のメルルとの会話をしながら、お昼休憩も挟みつつS級ダンジョンを目指していく。

昼飯も済ませ更に飛んでいると、目の前に違和感が現れる。

どうも、目が馬鹿になったのか、遠近法がうまくいっていない絵を見たときのような感じがするものが、目の前に少し前から現れている。

「あれだよね」

「そだね」

「なんか大きくないか?」

アレンは思っていたことを素直に口にした。

「うん、なんか塔の先端が見えないね」

後ろに乗るメルルがアレンの肩越しに覗き込むように言う。

(まあ、『試練の塔』っていうくらいだから塔の形をしたダンジョンであることは分かってたんだけど、学園のダンジョンと全然違うんだが?)

アレンの疑問は間違っていないようだ。

今鳥Bの召喚獣に乗り行動をしている。

上空数キロメートルあたりを仲間と共に移動中であるが、少し前から天にまで届く勢いの塔が見えていた。

学園の頃攻略していたダンジョンの様式とは全然違うようだ。

学園のダンジョンではアパートのような建物の1室から、時空がいくつも重なったダンジョンに移動したことを思い出す。

別次元とも言えるダンジョンだったので、そこまで大きくはない建物で済んだとも言える。

天にまでと言ったが、先端が天を貫いているためどれだけの高さがあるか分からない。

おそらく数十キロメートルはあるのだろうが、雲を貫いてさらに高いので見上げても見えない。

そして、バウキス帝国の帝都より、塔の横幅は太く感じる。

「あれ? ヤンパーニの神殿はどこだ? 試練の塔しか見えないんだけど」

S級ダンジョンは目の前にはっきりと見える。

試練の塔という別名のあるバウキス帝国が誇るS級ダンジョンだ。

しかし、ディグラグニというダンジョンマスターを祀るヤンパーニの神殿が見えない。

「試練の塔の1階にヤンパーニの神殿があるんだって!」

メルルは戦争が終わったらアレン達とS級ダンジョンを攻略することを信じて、戦争中も戦場で先輩や上官から情報を収集してくれていたようだ。

「まじか。S級ダンジョンもヤンパーニの神殿も全て同じ巨大な塔の中にあるのか」

荒涼とした大地から天にまで伸びたS級ダンジョンは、ローゼンヘイムで見た世界樹の数十倍の大きさがある。

どうやったら、こんなものができるのだとアレンの仲間たちもその巨大さに息を呑んでいる。

『……』

そんな中、ソフィーの肩に乗る精霊神だけが、厳しい視線で巨大な塔を見つめるのであった。