軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第134話 転移

アレン達によるA級ダンジョンの攻略が始まった。

夏休みも半分終わり9月の上旬だ。

目的はレベルを上げるため、より高価な武器や防具を手に入れるため、そして魔力回復リングを手に入れるためだ。

C級、B級と順調に攻略を進めてきたアレン達であるが、A級ダンジョンの攻略にはかつてないほど時間がかかっている。9月のオークションを見てみるかとも思ったが、今はダンジョン攻略が最優先だ。

A級ダンジョンの情報

・最高難度のA級ダンジョンには、CBAランクの魔獣が出て来る

・学園都市にA級ダンジョンは4個

・A級ダンジョンは15層から20層

・A級ダンジョン1階層の移動時間は24時間程度

1階層移動時間の24時間はとてもネックとなっている。このダンジョンは半端なく広いのだ。

時速5キロメートルで歩いたと仮定して、最短で120キロメートルかもしれないが、道が複雑で長い迷宮になっている。

正しい道を探しに鳥Eの召喚獣を飛ばしても、道が分かれすぎていて中々ゴールにたどり着けない。広大な迷宮中に道が無数に分かれている。

ある程度見切りをつけて出発しないといつまでたってもスタート地点から動けないので進んで行くのだが、かなり進んだところで引き返すなんてざらである。

ダンジョンの道を全て繋げると1000キロメートルを余裕で超える距離になりそうだ。

そして、A級ダンジョンから新たにいくつかの罠が追加された。追加された罠に「転移罠」というものがある。これは踏むと魔法陣に入っている者をダンジョンのどこかにランダムに飛ばすというものだ。

当然、飛ばされた先に魔獣が控えているということがあるのだが、この罠の脅威はそんなことではない。

この広大なダンジョンのどこに飛ばされたのか分からない。アレン達は仮想窓みたいなスキルでマップを見ることができたり、それを頼りにダンジョンの攻略を行っているわけではない。床石に偽装した転移罠を踏んでしまうと、広大なダンジョンのどこかに飛ばされる。

それがどこか分からないということだ。魔導書で地図を作成しながら進んでいるが、地図の経路が断裂した場所から元の道に復帰しなくてはならない。

元の道に復帰しないと、引き返す道順も分からなくなる。

お陰で1つ目のA級ダンジョン攻略に何週間もかかっている。

「おはよう」

「ああ、おはよう」

横で寝ているドゴラが返事する。

アレンは拠点でもドゴラと同じ部屋で寝るようになったわけではない。

ここはA級ダンジョンの12階層目だ。A級ダンジョンも半分以上攻略が進んできた。夏休み中にA級ダンジョンを最低1つは制覇しておきたい。

アレン達は1日で攻略ができなくなったため、ダンジョンの小部屋で泊まるようになった。当然ここには、クレナもセシルもキールもいる。

小部屋と言っても25メートルプールくらいの広さがある。

薪を焚き、夕食もダンジョンの中でとる。お泊りセットも収納に入れている。収納に入らない大型のテントみたいなものは持ち込まない。台車のようなものを運ぶと攻略速度が落ちてしまう。泊まっても1泊か2泊程度なので、荷物は最低限に抑えている。

「魔獣達は攻めてこなかったか?」

『少し来ましたが殺したデス』

ここはダンジョンの行き止まりの小部屋の中だが、魔獣達は移動せずにじっとしているわけではない。移動しながら、ダンジョンにやってきた冒険者を襲ってくる。

そして、ここはA級ダンジョンの半ばの階層を過ぎた場所。Cランクの魔獣が減りBランクの魔獣の出現率が増え始める階層だ。Bランクの魔獣は知恵も持ち、冒険者がいると徒党を組んで襲ってくる。

初めに拠点を探す時、不動産ギルドから冒険者のパーティーは20人にも50人にもなると言われたことを思い出す。これはダンジョン内で泊まっている時の防衛も兼ねた人数であったのだろう。

アレン達は5人のパーティーだ。

アレンの周りには5体の霊Cの召喚獣がいる。召喚獣は休むことも寝ることも必要ないため、防衛のために夜番をしてもらっている。

「今日は静かだったな」

『はいデス。カベオは自爆しませんでしたデスから』

(万全にすると襲ってこないと。魔獣の遭遇頻度もムラがあるんだよな)

攻撃だけでなく、守りも万全だ。守りには石系統の召喚獣に役に立ってもらっている。

石系統の覚醒スキルと、新しく召喚できるようになった石C召喚獣の特技の分析も進めている。

・石Cの特技「みがわり」

対象1人に対して攻撃のダメージを肩代わりする。半径50メートルが有効範囲。特技発動時も動ける。

・石Eの覚醒スキル「自爆」

指定した対象が半径5メートル以内に近づけば爆発する。爆風の有効範囲は10メートルほど。爆発すると召喚獣は死ぬ。

草系統の召喚獣同様に一度覚醒スキルを発動させるとカードに戻せず、召喚獣の数の管理から外れるので何体でも自爆待機状態の石Eの召喚獣を置くことができる。動けない。24時間経つと消滅する。召喚士の指示でいつでも自爆させることができる。

・石Dの覚醒スキル「命を守る」

いくら攻撃されても死ななくなる。アレンの指示で解除可能。持続時間は1時間。クールタイムは1日。

・石Cの覚醒スキル「自己犠牲」

半径50メートルの範囲でパーティー全体のダメージを肩代わりする。覚醒スキル発動時も動ける。持続時間は1時間。クールタイムは1日。

石系統の召喚獣は守りに特化しているが、その方向性は様々だ。

石Eの召喚獣の覚醒スキル「自爆」は、近くで爆発されると爆風が吹いて危ないが、Bランクの魔獣も倒す。石Eの召喚獣を小部屋に入る通路に数体置いて、魔獣が近づいたら爆発させる。倒すのもそうだが、目覚ましにもなる。

アレン達のパーティーに夜番はいない。アレンは、夜は寝たい派だ。守りが万全なら夜番を止めようという話をした。

石Dの召喚獣の覚醒スキル「命を守る」は 囮(デコイ) のようなものだ。攻撃はできないが、どんなに攻撃されても死ななくなる。魔獣の標的を分散させることができる。

そして、石Cの召喚獣には、戦闘時に召喚し守りの弱いセシルやキールを守らせている。Bランクの魔獣が出るようになって受けるダメージも大きくなってきた。

皆目を覚まし、荷物を片付け移動を開始する。

鳥Cの召喚獣を8体召喚する。5体は乗る用だが、3体は事前に罠を踏んでもらうように先行させる。これでも完全には罠を防げないのだが、転移罠を踏む回数が格段に減り、随分攻略が楽になった。

「前方にオークキング2体、サイクロプス1体!」

「「「おう!」」」

先行した3体の鳥Cの召喚獣が魔獣と接敵する。皆、騎獣したまま戦闘態勢に入る。

クレナとドゴラの2人が武器を握りしめ、Bランクの3体の魔獣に突撃していく。

A級ダンジョンの攻略を始めてずいぶん経つので、2人はかなりレベルが上がっている。

Bランクの魔獣でも物怖じはしない。そもそもレベルが上がる前からしなかったような気がする。

2人の特技である斬撃や渾身などは、レベルが上がるごとに威力が増すようだ。スキルレベル4に達したスキルの攻撃によって魔獣の体力を削っていく。

クレナが先にオークキングを倒し、ほどなくしてドゴラもオークキングを倒す。クレナの方がドゴラよりかなり攻撃力があるため、セシルはドゴラが戦う方の魔獣を優先して攻撃するようにしている。この辺りの連携もうまくなってきた。

「よし、あとはサイクロプスだけだ!」

アレンの言葉と共に、オークキングよりさらに大型のサイクロプスを囲むように攻撃をする。Bランクの魔獣は体が5メートルとか7メートルくらいあるのも普通で的が大きい。霊Cの召喚獣もガンガン特技「サイコ」を使い、サイクロプスの体力を削っていく。

そして、クレナとドゴラが2人がかりで攻撃し、サイクロプスの動きが悪くなりまもなく止めを刺せるという時だった。

『グルアアアアア!!!』

サイクロプスが握りしめた棍棒を大きく振ったのだ。ドゴラが斧で受けたが、威力を殺し切れず鳥Cの召喚獣から投げ出され後方に吹き飛ばされる。

「ドゴラ大丈夫!?」

かなり後方のセシルのいる位置まで吹き飛ばされてしまった。真後ろにいたセシルから不安の声が上がる。

「ああ、どうってことねえ」

斧を握りしめ、前線に戻ろうとしたその時だった。

カチッ

「「「え?」」」

キールは吹き飛ばされたドゴラのために回復魔法を掛けようとした。アレンもドゴラの身に問題がないか確認をしている。

そのドゴラの足元から、罠の魔法陣が発生する。

転移罠が発動したのだ。

そして、ドゴラとセシルがアレン達の元から消える。

2人がダンジョンのどこかに、罠により転移されてしまったのであった。