軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第九十一話 王家の慶事と父親の国境送り

忙しかった一年も何とか年末になり、僕は年末の奉仕活動の後に王城に呼ばれていた。

因みに、年末の奉仕活動は何事もなく終了した。

以前僕のファンだというおばさんに襲われて以来、大教会の警備も厳重になった。

治療も炊き出しもみんなで頑張り、クリスちゃんやシンシアお姉様もとても張り切っていた。

そして、実は王家からちょっとしたことの報告と治療依頼を受けていたのだ。

先ずは、ちょっとしたことの報告から。

「わあ、段々とお腹が目立ち始めましたね」

「安定期に入ったからですわ。でも、寒さもあったので今回の奉仕活動は欠席しました」

メアリーさんのお腹が少し目立ってきて、スラちゃんたちもメアリーさんの周囲に集まって興味深そうに見ていた。

実はメアリーさんは少し前に妊娠が発覚し、安定期に入るまで公務を休んでいた。

王家に新しい子どもが産まれるのもあり、みんなの表情もとても良かった。

そして、もう一人おめでたいことが分かった。

「いやあ、まさかこんなに早く妊娠するとはね」

「こういうのはタイミングの問題よ」

てへへとしているシーリアさんに、王妃様もニコリとしていたのです。

シーリアさんは年末の奉仕活動の際に体調が悪そうにしていて、何回か回復魔法をかけていた。

そして、王城に着いて改めて回復魔法をかけたのだ。

その際に、二人分の反応が返ってきたのだ。

スラちゃんが鑑定魔法で確認すると、シーリアさんも妊娠していることが判明した。

こちらは妊娠初期のために、お腹周りに特段変わったところはなかった。

とはいえ、寒い外にいたので温かい飲み物を飲んで体を温めてもらった。

「ふふふ、来年は孫が一気に二人も増えるのね。とても楽しみだわ」

「そうね。男の子でも女の子でも、元気な赤ん坊が産まれて欲しいわ」

王妃様と王太后様は、先程からニマニマが止まらなかった。

でも、おめでたいことであるのは間違いない。

因みに、既に陛下、アーサー様、ルーカス様にも情報は伝えられ、特にルーカス様は予想外の妊娠にとてもビックリしていた。

この件は、明日の新年の謁見の際に色々と話をすることになった。

そんな中、王妃様が僕にあるお願いをしてきたのだ。

「二人の出産の際に、スラちゃんたちを派遣して欲しいのよ。既に出産時のサポートをしているし、回復魔法が使えるのも大きいわ」

王妃様のお願いに、メアリーさんの周りにいたスラちゃんたちはサッと触手を上げた。

もう、サポートする気満々ですね。

恐らく一週間は側にいた方がいいので、その辺りも間近になったら確認しよう。

そして、僕は王妃様に別の質問をした。

「その、いとこが産まれた時は赤ちゃん用の一式とかをプレゼントしました。やっぱり、キチンとした贈り物をした方がいいですか?」

「ケン君がいとこに贈ったもので全く問題ないわ。多分物凄い数の贈り物が来るはずだけど、本当に赤ん坊を気にしてくれた贈り物って案外少ないのよ」

王妃様曰く、実用的なものの方がありがたいと言っていた。

念のために、エレンお祖父様とフリージアお祖母様に相談しておかないと。

王家の女性陣との話はこれで終わり、今度は男性陣から話があると言われた。

陛下の執務室で話すことになり、僕たちは挨拶をして応接室から移動した。

「二人の体調が安定して良かった。ケンとスラちゃんは、シーリアの治療にも感謝する」

陛下の執務室に行くと、まず陛下から感謝の言葉を頂いた。

陛下も、孫が産まれるのをとても楽しみにしているという。

「しかし、ケン君も流石だ。回復魔法の反応を見て、シーリアの妊娠を把握するとは」

父親になることが分かったルーカス様も、ニコニコしていてとても上機嫌だった。

もちろんアーサー様も上機嫌で、ここまでは王家全員の機嫌が良かった。

そして、改めて陛下が僕を呼んだ理由を話してくれた。

「では、話を手短にしよう。先ずは、ケンの父親を含む特別訓練になっていた贅沢派の対応についてだ。勉強にも全くついていけず、ほぼ最終通告に近い形で既に帝国との国境に送られた。ここで成果を上げられない場合は予備役、つまり退役だ」

軍の改革を進めている一環なのだが、武力のない父親は後方支援に回るしかない。

しかし、キチンと教育しても後方支援活動を行うだけの知識を得られなかったという。

もちろん、上司として動くなんて以ての外だ。

だが、自己主張ばかりしている父親たちは優遇しろと大騒ぎしているらしい。

本当に、頭が痛くなる話だ。

「陛下、父親が申し訳ありません。多分、兄も迷惑をかけているかと思います」

「兄に関しても、ケンの言う通りだ。一年様子見て改善がなければ、父親と同じく国境送りになる」

因みに、父親は年末の昨日国境に送られたという。

国境までの道のりもとても長いし、きっと大変だろう。

その苦労も、父親の心には響かないかもしれない。

「そして、別件でケン君は上級官僚として国境に行ってもらう。他の官僚と共に魔導船でガルフォード辺境伯領に行き、帝国に対してどのように対応しているかを学んでもらう。元々予定されていた研修で、ケンにとっても学ぶことは多いだろう」

ハーデス様と話したことはあったけど、詳しいことまでは聞くことはなかった。

帝国とは停戦状態だから、いつ戦争が再開するかは分からない。

しっかりと話を聞いて、勉強してこないといけない。

出発の準備もあるので、既に他の官僚には伝えているという。

僕の場合は殆どの荷物を魔法袋に入れておけばいいので、あまりやることがなかった。

念のために、軍服と宮廷魔導師の服も用意しておこう。

最低限必要なもののリストも貰ったし、屋敷に帰ったらハンナおばさんに渡しておこう。

スラちゃんたちも、もちろんついていくとぴょんぴょんと跳ねていた。

明日から始まる新年はとても忙しいなと、この時は気楽に考えていたのだった。