軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第四十八話 大教会付属の治療施設へ

慰労会から数日後、僕は王家からの依頼という形で大教会の治療施設で治療することになった。

僕とスラちゃんは、朝食を食べて準備を整えて馬車に乗り込んだ。

「ケン、待っていたわ!」

大教会の治療施設に到着すると、既にやる気満々のシンシアお姉様が僕とスラちゃんを待っていた。

実はフリージアお祖母様が屋敷に来た時に王城からの使者が来て、シンシアお姉様も一緒に行くということになった。

僕と一緒に治療の手伝いをしてくれる事になり、スラちゃんもぴょーんと僕の頭の上からシンシアお姉様の肩の上に飛び乗った。

すると、シンシアお姉様は僕の肩の上に乗っているあるものに気がついた。

「あれ? ケン、別の白っぽいスライムが乗っているよ?」

「シロちゃんっていって、実家から一緒にやってきたスライムのうちの一匹です。回復魔法が使えるので、一緒についてきて貰いました。スラちゃん以外にも、沢山のスライムがいますよ」

「へえ、そうなんだね。今度、ケンの屋敷に遊びに行ってスライムを見てみよう」

僕の屋敷の池には複数のスライムがいて、特にスラちゃん以外に三匹のスライムが魔法を使えた。

水色のアクアちゃん、緑色のリーフちゃん、白色のシロちゃんで、大きさはスラちゃんよりも小さい。

水魔法の他、アクアちゃんは氷魔法、リーフちゃんは風魔法が使えた。

シロちゃんは回復魔法が使え、みんなスラちゃんから魔法の使い方を教えてもらっていた。

なので、シロちゃんもある程度の怪我なら治療できる。

今日は、実践の場として一緒についてきたのだ。

パカパカパカ。

そんな話をしていたら、僕たちの目の前に一台の豪華な馬車が現れた。

えーっと、この馬車ってもしかしてかなりの大物貴族の馬車ではないかな……

ガチャ。

「め、メアリーさん! どうしたのですか?」

「ふふ、今日はケン君が治療施設で奉仕活動をすると聞いたので、私もお手伝いをしようと思ったのよ」

メアリーさんは未来の王妃様となるべくして、奉仕活動や福祉活動にも積極的だという。

元々メアリーさんの実家は聖職者貴族だし、小さい頃からそういう教育を受けていたのかもしれない。

「あのあの、メアリー様宜しくお願いします」

「ええ、こちらこそ宜しくね」

ペコペコと頭を下げるシンシアお姉様とスラちゃんに、メアリーさんはにこやかに返事をした。

前日の慰労会で二人は色々と話をしたので、戸惑うことはなさそうだ。

あっ、そうだ。

僕はシロちゃんを手のひらに乗せて、メアリーさんに向けた。

「メアリーさん、スライムのシロちゃんです。まだ魔法の勉強中なんですけど、ある程度の怪我は治療できます」

「あら、そうなのね。一緒に頑張りましょうね」

シロちゃんも、メアリーさんの手の上にぴょーんと飛び乗って触手をフリフリとしていた。

これで準備完了なので、早速治療施設の中に入った。

「皆さま、お忙しいところ恐れ入ります。本日は、どうぞ宜しくお願いいたします」

「「「宜しくお願いします」」」

治療施設前で担当のシスターが出迎えてくれ、僕たちも挨拶をした。

すると、僕たちを物陰から見ているシスターがいた。

あのシスターって、確かこの前大教会で僕のことを青ざめた表情で見た問題のあるシスターだったはず。

他の人たちも僕の視線の先にいるシスターに気がついたが、当のシスターは直ぐに顔を引っ込めた。

「はあ、またあのシスターですか。治療に来るものに媚を売ろうとして、近寄ろうとするのですよ」

「だけど、今回治療をするのは僕なのでやばいと思ったのですね」

「ええ、その通りです。前回王太后様と王妃様がお越しになった際の件でも、サイオン枢機卿様だけけでなく他の者もシスターに注意しておりました」

溜息をつきながら説明をしてくれたが、それでも自分の行動を改めないんだ。

何にせよ、あのシスターには要注意だ。

ではでは、早速治療を始めましょう。

因みに、そのシスターに声をかけられないように、みんな同じ大部屋で治療することにした。

シュイン、ぴかー!

「はい、これで胸の病気はよくなりましたよ。ついでに、腰の痛みも治療しました」

「おやまあ、これは凄いわね。体がすっかり楽になったわ」

今日は凄く急がなくていいので、僕も治療しながら患者の話を聞いていた。

こうして元気になってもらい、僕もとても嬉しかった。

「わあ、スラちゃんの治療は凄いのね」

「本当だな、あっという間に怪我が治っちまったぞ」

シンシアお姉様とスラちゃんのコンビも、順調に治療を続けていた。

スラちゃんの魔法はとても強力だし、大部屋に入院している人の治療なら全く問題なかった。

「シロちゃんも、本当に頑張っていますわね。おばあさまも、元気になられて良かったですわ」

「こんなに小さいスライムなのに、凄いわね」

奉仕活動に慣れているメアリーさんは、上手にシロちゃんを褒めながら治療を続けていた。

もちろん患者にもにこやかに接していて、今も年配のおばあさんに楽しそうに話をしていた。

シロちゃんも、大部屋に入院している人なら普通に治療できそうだ。

僕たちの治療対応に、担当のシスターも満面の笑みだった。

手分けして治療を進めていき、一つまた一つと大部屋に入院している人を治療していった。

二時間が経ったところで、応接室で休憩を取ることにした。

「私は普段ベッドに寝ている方に声をかけることしかできなかったのですが、こうして治療をして喜びの笑顔を見れてとても嬉しかったですわ」

メアリーさんは、普段以上の事ができてとても喜んでいた。

やっぱり、元気になってもらうのは格別の喜びがあるはずだ。

シロちゃんはというと、お菓子を食べながらスラちゃんからあれこれ指導を受けていた。

「でも、ケンはこういう治療を戦地で行っていたのよね。命のやり取りがある現場なのだから、きっと凄惨な場所だと思うわ」

「確かに、剣で腕などを切られた兵もいました。血の臭いも凄かったですけど、あの時は何とか助けないとって夢中でした」

「そうよね。そう考えると、国を守ってくれた兵と治療をしたケンは本当に凄いわ」

シンシアお姉様は、僕の頭を撫で撫でしながら色々と考えていた。

多くの人のお陰で、こうして平和に過ごせているのは間違いなかった。

僕も、王国の平和に寄与できて本当に良かったと思った。

「やはり、ケン君は凄いと思うわ。ケン君の歳でそんな凄惨な現場にいたら、私は動けなくなると思うのよ。今だって、かなり体の悪い人を見ると体がすくむ時があるわ」

メアリーさんも、今回の治療で色々と考えることがあったみたいだ。

僕は、前世の記憶もあるからこそ対応できたのかもしれない。

そう考えると、スラちゃんが一番凄いと思ってしまった。

こうして、みんなで色々と話をしながら休憩を取り治療を再開した。

退院する人の手続き対応のために午前中いっぱいで治療を終了したが、担当のシスターさんは多くの人を救えたと喜んでいた。

残りの人は後日となり、今日は解散となった。

因みに、僕たちを陰でコソコソと見ていたシスターは、何と仕事を放り出していたという。

もちろん、サイオン枢機卿様にこってりと絞られたらしい。

でも、本人が反省しているかどうかは全くの不明だった。