軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第三十七話 王都凱旋

ガルフォース辺境伯家で行われた夜会は、とんでもなく大変だった。

というのも、集まった周辺領地の貴族がみんな僕のところに集まってきたからだ。

みんなが僕を凄いと褒めてくれていたので、僕も無碍にする訳にはいかなかった。

王子様と公爵様と話す機会ですよとさり気なく勧めたが、僕と話したいと動かなかった。

スラちゃんはいつの間にかルーカス様のところに逃げていて、僕は一人で大変な思いをしていたのだった。

そして、グロリアス子爵家とダッシュ伯爵家でも同様に夜会が行われ、またもや僕の周りに多くの貴族が集まった。

貴族に話を聞くと、ヘルナンデス様とルーカス様に話をするのは畏れ多いという人もいた。

陛下の弟と息子という、とんでもなくロイヤルな方だもんなあ。

僕は子どもだし、話しやすいと判断されたらしい。

しかも、マヤ様とロバート様が僕の母親の逸話を話したので、更に話が盛り上がってしまった。

因みに、スラちゃんも凄いスライムだと紹介されたが、常にルーカス様の肩から動かないぞという鉄の意思を示していた。

そんなこんなで、僕はかなり大変な道中だった。

パカパカパカ。

しかし、そんな大変な道中ももうそろそろ終わりだ。

年が明け、新年となった。

この世界に元旦はないだろうが、それでもなんだか気持ちはウキウキしていた。

僕も七歳の年になるが、まだまだ小さい男の子なのは間違いない。

まだ微かだが、遠くに王都の町並みと大きな王城が見えてきた。

なんというか、僕の気持ちはかなりホッとしていた。

「やっぱり、なんだかんだいっても王都が見えるって嬉しいですね」

「安堵感を感じているのは、私も同じだ。やはり気持ちが楽になる」

返事をしてくれたヘルナンデス様も、もちろんルーカス様もとても落ち着いた優しい表情だった。

段々と王都が近づいて、あと少しで王都を囲む防壁の門に近づこうとした時だった。

パカパカパカ。

「ルーカス殿下、ニース将軍、お出迎えに参りました」

「うむ、ご苦労」

軍の部隊が、僕たちを出迎えてくれた。

ヘルナンデス様が代表して答えてくれたが、僕の目線はあるものに注がれていた。

「これは、オープンタイプの馬車ですか?」

「そうだ。この馬車に乗り換えて、王都に入るぞ。もちろん、ケン君とスラちゃんもだ」

な、なんというか、とても豪華な作りの馬車だった。

体の大きなヘルナンデス様とルーカス様が乗るのならとても似合うだろうが、流石にちんちくりんの僕とスライムのスラちゃんでは全く似合わないだろう。

しかし、僕とスラちゃんに拒否権はない。

ガックリとしながら、僕とスラちゃんはヘルナンデス様とルーカス様に挟まれる形でオープンタイプの豪華な馬車に乗り込んだ。

「既に、町の方が出迎えております」

迎えに来た兵がこんなことを言ったが、この時僕は少し様子を見に来ているレベルだと思っていた。

しかし、防壁の門を潜ると、とんでもない光景が目の前に広がっていたのだ。

「ルーカス殿下、ニース将軍、【蒼の治癒師】様の帰還である!」

「「「「「わあー!」」」」」

なんと、王城に向かう大きな道の両サイドに、とんでもない数の人々が集まっていたのだ。

しかも、僕たちが乗っているオープンタイプの馬車をみるや大歓声を上げていた。

あわわ、僕は様をつけられるような人じゃないですよ!

「うむ、これは凄いな。しかも、ケン君の名を叫ぶものもかなり多いぞ」

「ケン君も、集まったものに手を振るのだ。王都の人々が、我々を出迎えてくれたのだからな」

ヘルナンデス様とルーカス様は、余裕の笑みで沿道にいる人々に手を振っていた。

僕とスラちゃんも頑張って手を振ると、とても可愛らしいという声が上がった。

若干だけど、僕に向けられる歓声は女性の方が多いかもしれない。

ヘルナンデス様とルーカス様は、とってもカッコいいのにね。

そして、僕たちを乗せたオープンタイプの馬車は道をゆっくりと進んでいった。

それこそ、十分もあれば王城に着くはずが、三十分以上かけて進んでいった。

ずっと手を振っていたので、僕とスラちゃんは王城に着く頃にはかなり疲れてしまった。

うん、何というか頑張って笑顔を作っていたから顔の筋肉がおかしいことになっていた。

「皆さま、お疲れ様です。謁見の準備が整っておりますので、このまま謁見の間にご案内いたします」

ようやく王城の玄関前に到着したが、どうやらまだまだやることは沢山ありそうだ。

ヘルナンデス様とルーカス様は、まだまだ余裕そうな表情をしていた。

うん、僕とは体の作りが違いすぎる。

僕とスラちゃんは、少し気合を入れ直してヘルナンデス様とルーカス様の後をついて行った。

「はあ、ようやく一息つきました……」

「ハハハ、凄い数の出迎えだったな。私も、あれだけの出迎えは経験したことがないぞ」

「ケン君の名をいうものもかなり多かった。それだけ、多くの人が帰りを待っていたのだ」

魔導昇降機に乗って、ようやくホッとした。

悪意を向けられた訳では無いので気持ち的には楽だったが、それでも体力的にかなり疲れてしまった。

「到着の謁見は、私がメインで話す。ケン君は、普通に膝をついていればいい」

「えっ、僕も謁見に参加するんですか?」

「当たり前だ、ケン君は今回の戦闘の功労者なのだから」

ヘルナンデス様は、至極当然だと返事をした。

ルーカス様も、笑顔で頷いているだけだ。

僕は、控室で待機していれば良いんじゃないかなと思っていた。

「謁見自体はすぐに終わる。さあ、行くぞ」

魔導昇降機のドアが開くと、ヘルナンデス様は戸惑っている僕の手を引いた。

更に反対の手をルーカス様に引かれ、僕は魔導昇降機から降りた。

そのまま、すぐ目の前にある大きな扉の前に着いた。

豪華な装飾が施されており、一目見て謁見の間の扉だと把握できた。