軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第百九十八話 王都への帰還

みんなを見送った翌日は、何もやることがなく暇になった。

なので、この前と同じくスラム街にある別の教会で奉仕活動を行った。

ここでも僕の二つ名効果もあって多くの人が訪れ、孤児なども保護する事ができた。

犯罪者もそこそこ捕まえたが、幸いにして過激派の姿はなかった。

ナッシュさん達はスラム街や周辺の巡回を行い、こちらは数人の過激派を捕まえていた。

こうして無事に奉仕活動と巡回を終える事ができ、ハーデス様もとても満足そうにしていた。

「色々とお世話になりました」

「世話になったのはこちらの方だ。講和会議が順調に進んだのも、ケンの力が大きいだろう」

翌日は、いよいよ僕達も王都へ出発する。

ガルフォース辺境伯家の玄関で、僕はハーデス様とガッチリと握手をした。

ハーデス様は、ナッシュさんとクリスともガッチリと握手をした。

「またあおーね!」

「「うん!」」

ランディちゃんも、アイちゃんとリュウちゃんとお別れの挨拶をしていた。

他の保護されている子ども達も集まってきて、お互いに握手をしたりハグをしたりしていた。

アイちゃん、リュウちゃん、そして他の子ども達も、保護された当初よりもだいぶ表情が明るくなった。

これからは、幸せな生活を送って欲しい。

そして、僕達は用意された軍の馬車に乗り込んだ。

「「「「「いってらっしゃーい!」」」」」

「「「「いってくるね!」」」」

ランディちゃん達の元気な見送りに、僕達もスラちゃん達も手を振った。

そして、僕達を乗せた馬車はゆっくりとガルフォース辺境伯家の屋敷を出発した。

パカパカパカ。

「これから、魔導船に乗って王都に向かうよ。空を飛ぶ船なんだよ」

「「えっ?」」

改めてこの後の説明をすると、アイちゃんとリュウちゃんはかなり不思議そうな表情をしていた。

これは、実際に魔導船を見てみればよく分かるはずだ。

ということで、僕達を乗せた馬車は無事に魔導船に到着した。

「これが魔導船だよ。これに乗って、王都に向かうんだよ」

「「わあ……」」

目の前にある魔導船の大きさに、アイちゃんとリュウちゃんは言葉も出ないほど圧倒されていた。

そして、僕達は搭乗口から船内へと入った。

「この部屋で、出発してから安定飛行になるまでいるんだよ。二人は、窓側の方がいいね」

「「はい!」」

船内の客室に、二人のテンションも少し上がってきた。

とても微笑ましい光景に、ナッシュさんとクリスも思わず笑顔だ。

「間もなく、本船は出航いたします。お近くの椅子に座るか、手すりにお掴まり下さい」

「「あっ」」

船内アナウンスを聞くなり、二人は急いで席に座った。

そして、魔導具の動作音の後で、魔導船はふわりと浮かび上がった。

「「わあ、とんでいるよ!」」

浮遊感と共に段々と空に向かって飛んでいき、二人は座りながら窓から見える光景に大興奮だった。

僕も、初めて魔導船に乗った時はとても楽しかったっけ。

「すごい、おうちの上をとんでいるよ」

「はやーい!」

そして、安定航行になったところで再び二人は窓からの景色を楽しんでいた。

流石に窓まで背が足らないので、アイちゃんはナッシュさんに、リュウちゃんはクリスに抱っこしてもらった。

その間に、僕は通信用魔導具で無事にガルフォース辺境伯領を出発したと各所に連絡した。

「ケンおにーちゃん、なにしているの?」

「お仕事をしているのよ。でも、そんなに忙しくないはずよ」

「ふーん、たいへんだね」

何というか、クリスと話をするリュウちゃんの言い方がとても可愛らしかった。

のんびりと船内で過ごし、アイちゃんとリュウちゃんもお昼寝をしたりしていた。

みんなで楽しく過ごしていたらあっという間に時間が過ぎ、予定通りに王都前に到達した。

「「わあ、すごーい!」」

窓から見える王都の建物の多さと大きさに、アイちゃんとリュウは釘付けだ。

だけど、そろそろ着陸しないといけないので席に着きましょう。

そして、魔導船は無事に王都の軍の施設に着陸した。

魔導船を降りると、予想外のお出迎えが待っていた。

トトト、ぽすっ。

「ケンおにーちゃん、クリスおねーちゃん、おかえりー!」

「わっと、ただいま」

「えへへ」

何と、ハンナおばさんと共にケイトちゃんが僕達を出迎えてくれた。

笑顔で僕とクリスに抱きつくケイトちゃんの頭を、優しく撫でてあげた。

そして、ケイトちゃんは僕達に抱きついたままアイちゃんとリュウちゃんに視線を移した。

「このひとが、あたらしいおねーちゃんとおとうと?」

「そうだよ。今日から、一緒に住むアイちゃんとリュウちゃんだよ」

「わあ!」

ケイトちゃんは、事前にアイちゃんとリュウちゃんの事を聞いていたんだ。

ケイトちゃんは、満面の笑みでアイちゃんとリュウちゃんのところに向かった。

「あのね、わたしケイトだよ!」

「あ、アイです」

「リュー!」

ケイトちゃんにアイちゃんは押され気味だけど、こういった積極性も時には必要なのかもしれない。

さて、僕達は王城に行って到着の挨拶をしないと。

「じゃあ、僕達は王城に行くね。ハンナおばさんと一緒に、先に屋敷に帰って待っていてね」

「「「はーい」」」

ちびっ子三人は、僕達に元気よく返事をした。

そして、ケイトちゃんが二人の手を引きながらハンナおばさんの所に向かっていった。

うん、これなら仲良くやれそうだと思いながら、僕達は王城に向かうために馬車に乗り込んだのだった。

「陛下、無事にガルフォース辺境伯領から戻りました」

王城に到着すると、僕達は玉座の間に案内された。

爵位の関係で、僕が陛下に到着の挨拶をする事となった。

「うむ、大義である。ケンの活躍もさることながら、ナッシュとクリスも治安維持の為に良く働いた。大きな功績と言えよう」

「「ありがとうございます」」

陛下は、恭しく返事をするナッシュさんとクリスに満足そうに頷いていた。

安全に会議ができたのも、ナッシュさん達が対応してくれたお陰だ。

この後も少し話をした後、僕達は玉座の間から応接室へと移動した。

「謁見は五日後に行う。ナッシュとクリスも謁見に参加するように」

「「畏まりました」」

ナッシュさんとクリスは、立ち上がって陛下に臣下の礼を取った。

間違いなく、勲章とかをもらうはずだ。

「ケンは陞爵するだけの功績があるが、流石に連続での陞爵に反発する者もいるだろう。ルーカスは侯爵にするが、ケンに関してはもう少し待つように」

あの、僕はこの前の新年の謁見で子爵になったばっかりなのでまだまだ陞爵はしなくてもいいですよ。

他の人達も、陞爵は当たり前だとウンウンと頷かないで下さい。

「しかし、こうして無事に講和条約を締結できて良かった。まだ過激派の脅威は残っているが、一先ず最大の脅威は去ったと言える」

ヘルナンデス様も、かなりホッとした表情を浮かべていた。

僕が最初にヘルナンデス様と会った時は、帝国が仕掛けたテロでかなりの重傷を負っていた。

そう言う事を考えると、平和が如何に大切か痛切できる。

「ケンが連れてきた二人は、身分は平民だがケンの保護下とする。二人は、子爵家の名の下に養育されるという事だ」

「手続きは済ませておいたよ。こういう事は、出来るだけ早い内に済ませた方がいい」

「陛下、アーサー様、ありがとうございます」

僕は、ソファーから立ち上がって陛下とアーサー様に臣下の礼を取った。

特にアイちゃんは魔法使いというのもあり、他の貴族が狙う可能性もあった。

ガルフォース辺境伯家で保護された子ども達も、既に色々と手続きをしてあるという。

「取り合えず、今はこの位話せばいいだろう。今日はゆっくりと休み、また明日から政務に軍務に励むように」

陛下のご配慮で、僕達は今日はこのまま帰宅することが許された。

きっと、屋敷に帰ったらアイちゃんとリュウちゃんの歓迎会が開かれるはずだ。

僕もクリスも、あと少し頑張らないとって思ったのだった。