軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第百九十五話 皇女様とスラム街での奉仕活動

当初よりも一日予定が早まったので、今日は自由な時間となった。

明日両国の代表団がガルフォース辺境伯領を出発するのだが、今日はどうすればいいのだろうか。

ナッシュさんは、引き続きスラム街の対応を進めるらしい。

「それなら、スラム街にある教会で奉仕活動をすればいいのでは。もしかしたら、有力な情報が掴めるかも知れんぞ」

ヘルナンデス様は、僕が王都のスラム街にある教会で奉仕活動をしているのを知っている。

それもいいかなと思ったら、この人も手を挙げた。

「私も手伝います。普段、ケンがどの様に奉仕活動をしているのかとても興味があります」

「じゃあ、私も奉仕活動を手伝う!」

ビクトリア皇女は、別方向で奉仕活動が気になっていた。

クリスも負けじと手を挙げ、もう奉仕活動を行うのは決定的だった。

他の人達は、打ち合わせなどをするという。

という事で、早速準備をして現地に向かう事になった。

「いきなりの訪問になり、申し訳ありません」

「いえいえ。私共も、まさか【蒼の治癒師】様と帝国の皇女様が奉仕活動に来られるとは思いませんでした」

スラム街のシスターさんは、僕達の訪問にかなり恐縮していた。

とはいえ、僕達がやる事は決まっていた。

「じゃあ、最初に教会内を綺麗にしちゃいますね。防犯の為に、外観はそのままにしておきます」

「「「えっ?」」」

シュイン、ぴかー!

僕は、魔力を溜めて生活魔法を放った。

勿論、制御間違いしないように範囲指定もバッチリだ。

あっという間に教会内が新築みたいにピカピカになり、シスターさんに加えてビクトリア皇女は綺麗になった教会内に唖然としていた。

「さ、流石は【蒼の治癒師】様です。王太子様の結婚式で、大教会を綺麗にしたという噂は本当でしたのですね」

「こ、これは凄い。魔法の威力もさることながら、その正確性も評価できるわ」

シスターさんとビクトリア皇女の反応は、今までも結構見てきたので慣れっこだ。

早速奉仕活動の準備をするため、僕達は教会の外に出た。

なお、リンゴちゃん、ミカンちゃん、カレーちゃん、ピーちゃんはナッシュさんと共にスラム街での調査を行っているので不在だ。

残りの面々で、奉仕活動の対応をする事になった。

魔法袋から野菜や肉を取り出して、早速準備を始めよう。

シュイン、ストトトトン!

ジュージュー。

「す、スライムが料理をしていますわ……」

「リーフちゃんとアクアちゃんは、とっても料理が上手ですよ。自分の鍋なども持っているんです」

「もはや、スライムを超えた何かですね……」

王都のシスターさんはもうリーフちゃんとアクアちゃんの料理風景に驚かないけど、初めて見る人は驚くよね。

シスターさんもビクトリア皇女も、思わず唖然としていた。

だが、驚きの光景はこれだけではない。

パクッ。

「ブルル」

「うおっ? 何だ何だ?」

今度は、スラちゃんが器用に馬を操って犯罪者を捕まえていた。

スライムが馬を操る姿に、これまたシスターさんとビクトリア皇女はびっくりしていた。

何というか、今日は久々に新鮮な反応を見ることができるね。

「スラちゃんも回復魔法ができるのですが、今日は警備に専念してくれます。シロちゃんとレモンちゃんも回復魔法を使えるので、一緒に治療しましょう」

「何というか、今日は驚かされる事ばかりだね。ケンと仲間のスライムだけで、優秀な部隊ができそうだわ」

ビクトリア皇女は、苦笑しながら僕からシロちゃんを受け取った。

シロちゃんは戦闘能力も高いし、ビクトリア皇女の護衛にもぴったりだ。

レモンちゃんをクリスが受け取って、早速奉仕活動が始まった。

「けっ、スライムが作った料理だなんて……う、うめーじゃねえか」

「これがスライムが作った料理? 信じられないぞ」

リーフちゃんとアクアちゃんが作ったスープは、最初は敬遠されたけどそのうち美味しさもあってどんどんと配られていった。

シスターさんが配膳を手伝ってくれたが、好評で何よりだった。

シュイン、ぴかー!

「はい、体の痛みもよくなったと思いますよ」

「まさか、こんなところで【蒼の治癒師】様から治療を受けるなんて……」

僕達治療班も順調に動いていて、特にスラム街の人達は僕の存在にかなり驚いていた。

クリスとビクトリア皇女の治療も順調で、トラブルは全く起きていなかった。

サッ。

シュイン、バシッ!

「ブルル」

「うお? うおー!?」

それも、スラちゃんが張り切って動いていてくれたおかげだった。

あくまでも捕まえているのは重犯罪者で、改心の余地がある人はそのままにしていた。

勿論町の人からの聞き込みも行い、全てハーデス様に伝えられる事となった。

「おなかすいたよー」

「あら、それは大変ね。こっちにいらっしゃい」

保護が必要な孤児も、シスターさんが確認して孤児院に送られる事になった。

孤児院にもまだ余裕はあるらしく、教会も今回の孤児を利用した事件に心を痛めていた。

こうして、午前中は沢山の人が適切な施しを受けていた。