軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第百九十四話 講和条約の調印式

翌日は、各国の首脳部で確認した内容を再度話し合う事になった。

「では、行ってきます」

「行ってきます」

ダイナー男爵家の兄妹は、今日もスラム街での対応にあたることになった。

昨日軍の部隊はかなりの成果を上げ、引き続き過激派への対応を進める事となった。

勿論、保護が必要な孤児がいたら教会と連携して孤児院に送られる事になっていた。

さて、僕達もクリス達に負けじと頑張らないと。

「修正が入ったのは、未来に向けての建設的な話の部分だな。もう少し踏み込んだ発言もして良いとなっている」

「賠償金などは元から変わっていないので、そこだけ修正すれば良さそうだ」

元々賠償金などは下交渉を経て仮合意しているので、もう変わる事は殆どなかった。

僕が考えた文章案の修正が入ったので、ヘルナンデス様とレーベンス大将に見てもらいながら手直しを進めた。

それを関係各所に確認してもらいつつ、他の部分の清書も始めた。

カキカキカキ、カキカキカキ。

「えっと、こんな感じでどうでしょうか?」

「うむ、とても良い。確認を終えたら、清書しよう」

「ケン君は文才もあるな。多才というのは、こういう事を言うのだろう」

お昼前になって、ようやくヘルナンデス様とレーベンス大将から原稿のオッケーが貰えた。

更に、僕が提案した内容も盛り込まれる事になった。

早速両国の関係者にも通信用魔導具で確認をしてもらい、こちらもオッケーが出た。

後は、担当職員に清書してもらえば完成だ。

「はあ、疲れました……」

「ケン君、お疲れ様。中々良いものができたよ」

「それだけ疲れたのも、真剣に取り組んでいた結果ですわ。私も、良くできたと思いますわよ」

ルーカス様とビクトリア皇女も、僕の頑張りを労ってくれた。

ずっと集中して書いていたから、肩とか背中がバキバキだ。

午前中で、一日分の集中力を使った感じがする。

その間に、ヘルナンデス様とレーベンス大将が清書された内容を確認していた。

「よし、これで良いだろう。では、予定より少し早いが午後式典を行う」

「昼食を食べ終えたら、各々キチンとした服に着替えるように」

式典が早まる分には問題はなく、両国の首脳とも確認済みだという。

ということで、僕達も昼食を食べたらキチンとした貴族服に着替えることになった。

式典は大部屋で行うことになった。

「えっと、私も立ち会うの?」

「警備担当として、部屋の隅で立っていればいいんだって」

「あの、かなり凄い雰囲気になりそうなんだけど……」

昼食時に合流したクリスに今後の予定を伝えると、かなり驚いた様子だった。

クリスだけでなく、ナッシュさんも警備という名の下で式典に参加する事になった。

クリスとナッシュさんは軍服でいいのだし、特に問題ないと思うなあ。

という事で、昼食を食べ終えたら早速式典となった。

「それでは、両国の講和条約の調印式を始める」

ハーデス様が両国の立会人となり、式典は始まった。

両国の代表が調印文書にサインをする事になり、僕も王国代表の末席としてサインをする。

「それでは、ケン・アスターは調印文書にサインするように」

「はい!」

ヘルナンデス様やルーカス様がサインをし、いよいよ僕の番になった。

席に着くと、僕は気持ちを落ち着かせてから調印文書にサインをした。

後は、王国と帝国の割印をして調印文書は完成だ。

ヘルナンデス様とビクトリア皇女が、調印文書を確認して交換をした。

調印文書は、直ぐに用意されていた重厚な箱に収められた。

ヘルナンデス様とビクトリア皇女が、それぞれ持っている魔法袋にしまった。

「以上をもって、調印式を終了とする」

ハーデス様の声で、大部屋を包んでいた重い空気が少しだけ軽くなった。

僕も、思わずホッと肩の力を抜いた。

「な、何だか見ている私達の方が緊張したわ。ケンも他の人も、よく平気でいられるわね」

クリスもスラちゃんも、警備しながらかなり緊張していたんだ。

僕に近づいて、かなりホッとした表情を見せていた。

「ナッシュとクリスも、式典警備担当として名前を残しておく。こういうのは、参加できる事が重要だ。普通の貴族は、式典を行う部屋に立ち入る事すら不可能だからな」

「私は、外の警備で十分です……」

ルーカス様がニヤリとしながらナッシュさんに話しかけたが、ルーカス様も無事に式典が終わってかなりホッとしていた。

ヘルナンデス様も同様で、帝国側のレーベンス大将とビクトリア皇女も重責から解放された感じだった。

「では、夕食は簡単ではありますが立食パーティー形式としましょう。折角ですので、保護した子ども達も参加させましょう」

「子ども達にも、是非とも楽しんでもらいたいですわ。今まで大変だった分、これからはきっと良い未来が待っているはずですわ」

ハーデス様の提案に、ビクトリア皇女がいの一番で賛同した。

確かに、小さな子ども達にも楽しんでもらいたいよね。

勿論、他の人たちもハーデス様の提案に喜んで賛同していた。

「わーい、パーティーだ!」

「「「「「わぁ!」」」」」

そして、夕食を兼ねた立食パーティーでは、ランディちゃんが張り切って保護された子ども達を先導していた。

そんな楽しそうなちびっ子達を、大人達は微笑ましく見ていたのだった。