軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第百八十八話 帝国からの使者を迎えるため国境へ

いよいよ、帝国からの使者を迎える日になった。

僕は、スラちゃんたちと共に眠い目を擦りながらベッドから起きた。

「うーん、まだ眠いなあ……」

僕は、あくびをしながらベッドから降りて着替えを始めた。

僕の枕元にいたスラちゃんは何とか起きたけど、チビスライム達は枕元で眠そうにコロコロとしていた。

何だか癒される光景だなと思いながら、僕は服に袖を通したのだった。

「では、行ってくる」

「「「お気をつけて下さい」」」

朝食後、僕はクリス、ナッシュさん、オーフレア様に見送られながら、スラちゃん、ヘルナンデス様と共に馬車に乗り込んだ。

国境の前線基地に移動して、レーベンス大将などの帝国側の代表を迎えに行くためだ。

ルーカス様はハーデス様と一緒に屋敷に残って打ち合わせを行い、クリスと他の人達は警備を担当するという。

オーフレア様に一緒に来ませんかと誘ったら、「面倒な事はゴメンだ」と振られてしまった。

うーん、僕よりもルーカス様の方が出迎えに適している気がする。

「リスク分散だ。私に何かあっても、ルーカスがいれば大抵の事は対応できる。ハーデスは領主として屋敷に残らないとならないし、ナッシュは嫡男であって貴族家当主でない。そうなると、必然的にケン君が私の同行者となる。この場合、レーベンス大将と顔見知りなのもポイントが高い」

馬車内でヘルナンデス様と話をしたが、色々な理由があるにせよ最初から僕を国境まで同行させる予定だったのだろう。

オーフレア様もレーベンス大将と顔見知りだが、貴族家ではないので除外したらしい。

うん、こういう誰が誰を出迎える問題は本当に面倒くさいなあ。

「なに、ケン君ならササッと対応できるさ。それに、レーベンス大将と同行してくる人物も私は知っている」

ヘルナンデス様は、僕に心配ないと言ってくれた。

その言葉を信じようと、僕はスラちゃんと共に頷いたのだった。

「ニース将軍、アスター子爵、遠くからお疲れ様です」

「うむ、ご苦労」

国境の基地に到着すると、ピーター様が僕達を恭しく出迎えてくれた。

馬車を降りたヘルナンデス様も、短く返事をしただけだった。

僕とスラちゃんも馬車から降り、ヘルナンデス様とピーター様の後をついて司令官室に向かった。

「ピーター、どうやらケン君とスラちゃんと初めて会った際に色々やったみたいだな」

「ニース将軍、私は普通に出迎えただけです。確かに、少し過剰だったかもしれませんが……」

「全く、お前という奴は」

司令官室で少し話をしているのだが、ピーター様はヘルナンデス様に心外だという返事をしていた。

僕とスラちゃんは思わずニーナさんを見たが、ニーナさんもどうにもできないと首を横に振っていた。

うん、もう気にしない方が良いみたいだ。

というか、あの場面はできれば記憶から抹消したい。

「帝国側の要人を出迎える準備は整っております。基地内で一時間お休みになって頂き、その後ガルフォース辺境伯家へと出発予定となっております」

「相変わらず、仕事は早い。それで問題ないだろう」

そして、ピーター様はヘルナンデス様もびっくりするほど仕事ができる。

逆に、仕事ができる反動で変な行動をするのかもしれない。

「分かっていると思うが、講和会議中は戦時中だと思って防衛にあたるように」

「承知しております。現在第二戦闘配備を敷いており、防壁にも交代で魔法兵を配置しております」

「本当に準備が早い。何にせよ、ここが大きな正念場だ」

うん、やっぱりピーター様は仕事ができる。

眼鏡クイッが、物凄く様になっていた。

後は、どれだけニーナさんがピーターさんを抑えてくれるかだった。

ヘルナンデス様とピーター様はまだ話をするそうで、僕とスラちゃんは司令官室をあとにして食堂に向かった。

「しかし、ケン君も本当に大きくなったね。初めて会った時はガリガリに痩せていた小さな男の子だったのにね」

食堂のおばちゃんが、カウンター越しに僕の事を感慨深そうに見ていた。

おばちゃん達は、いつ会ってもパワフルだった。

因みに、おばちゃんは数ヶ月交代で国境の基地に来ているそうで、いつもたまたま僕が行くと食堂にいるらしい。

「あのケンが、遂に成人を迎えるなんて。俺もおっさんになる訳だ」

「今年結婚式をやるんだってな。あのチビが、こんなにも大きくなるとは」

交代で食事に来た顔見知りの兵も、ニコリとしながら僕とスラちゃんを撫でていた。

親戚のおじさんみたいに接してくれて、僕もスラちゃんもとても嬉しかった。

中には、貴族当主で宮廷魔導師だからと緊張しながら僕に接してくる新兵などもいたが、総じて普通に対応していた。

こうして、ヘルナンデス様が来るまで僕とスラちゃんは、楽しくお喋りをしていたのだった。