作品タイトル不明
第百八十七話 もうそろそろ帝国からの使者が到着します
ヘルナンデス様達が到着するまでの間、僕達はひたすら犯罪者の捕縛を行なった。
国境の基地にもスラちゃんとピーちゃんが定期的に行き、更に帝国の陣地にも派遣された。
効果があったのが途中で行なった奉仕活動で、多くの町の人を治療できた上に色々な情報を集めることができた。
ハーデス様も得られた情報はとても有益だと言っており、ランディちゃんもシロちゃんを抱きながら張り切って治療をしていた。
領主様のお孫様は小さいのにとても優しい方だと、町の人に大好評だった。
こうして様々な手を使った結果、数多くの犯罪者を捕まえる事ができた。
過激派も捕まえた者の中に含まれており、直ぐに魔導船で王都へ送られた。
「皆の活躍は、王都でも高く評価されている。ただ、まだ何が起こるか分からない。引き続き、対応にあたるように」
「「「はい」」」
遂に、ヘルナンデス様達がガルフォース辺境伯領に到着した。
ガルフォース辺境伯家の屋敷で会った僕達を労いつつ、今後の予定を伝えてきた。
会談は三日後に始まる予定で、担当者間による下交渉を終えているのでそんなに時間は掛からずに合意になるはずらしい。
帝国側は、レーベンス大将に加えて事務方の人もやってくるという。
「余程のことがない限り、三日もあれば合意に達するはずだ。だが、まだ全ての過激派を捕まえたわけではない。その点、悩ましい所だ」
ヘルナンデス様も、少し難しい表情をしていた。
現在はリーフちゃんとレモンちゃんが防壁の門での警備を手伝っていて、領都内に入ってくる不審者を食い止めている所だ。
警備も厳重にしているが、果たしてどうなのか。
すると、ここでびっくりする情報がもたらされたのだ。
パタパタパタ。
「ピィ」
それは、リーフちゃんとレモンちゃんと一緒に防壁の門の警備をしていたピーちゃんからもたらされた。
ピーちゃんは、急いで屋敷まで飛んできたみたいだ。
「ピィ!」
「えっ、馬車便に変装した過激派が乗っていて、領都に入ろうとした?」
「ピィ」
過激派は、本当にあの手この手を使って領都に入ろうとしたんだ。
ガルフォース辺境伯領の領兵が対応しており、わざわざ僕達が検問の門の所まで行かなくていいという。
「些細な事でもいいから、何かあったら教えてくれ」
「ピッ」
ピーちゃんは、ヘルナンデス様に綺麗な敬礼をした後に再び防壁の門へ向かった。
僕達は、引き続き講和会議について話をする事になった。
「ケン君とクリスは、予定通り会議に参加する。ナッシュは直接の会議には参加しないが、警備関連や歓迎会などには参加してもらう。裏方とはいえ、やる事は多いぞ」
「「「頑張ります」」」
元々ナッシュさんは講和会議関連に参加しない予定だったが、ガルフォース辺境伯領での過激派対策として急遽派遣された。
ヘルナンデス様も、ナッシュさんに幹部軍人として経験を積ませたいのだろう。
「ナッシュさん、会議に参加したいと思いますか?」
「いやいやいや、そういう面倒な事はケンとクリスにお任せだ。自分に与えられた役割をしっかりとこなすのが最優先だ」
ナッシュさんは、僕の例え話を全力で否定した。
ナッシュさんは上級官僚でもあるし、会議に出ても問題ないと思うんだけどなあ。
すると、今度はオーフレア様が持っている通信用魔導具にとんでもない連絡が入ったのです。
「うん、何だ何だ? ローリーに近づいたのが過激派で、ローリーがガチギレしたみたいだな。はあ、最近彼氏が出来そうだと嬉々として言っていたのに、こりゃまさかの展開だな」
こればっかりは、僕達も勿論オーフレア様もローリー様に同情するしかなかった。
乙女心を利用して軍の幹部に近づくなんて、本当に過激派は何でもやるな。
そして、ローリー様に火がついて、ブドウちゃんと共に犯罪者を徹底的に取り締まっているという。
犯罪者を取り締まる事自体は良いことなので、ヘルナンデス様もルーカス様も特に何も言わなかった。
「では、私、ルーカス、ハーデス、ケン君はもう少し会議を行う。他の者は、巡回などの犯罪者取り締まりを行うように」
「「「はっ」」」
あれ?
僕は、幹部の人達と話をするの?
クリスや他の人達に加え、スラちゃんたちも笑顔で応接室を出ていった。
うん、面倒な会議に出なくて良かったというとてもいい表情だった。
「ケン君は、父上と兄上の執務室で働くんだ。こういった重要な会議にも出席する機会が増えるだろう。なに、そんなに時間は取らないはずだ」
ルーカス様、僕の予想だと結構な時間がかかる気がしますよ。
そして、案の定あーだこーだ話し合っている内にかなりの時間が経ってしまったのだった。
まだ長時間の会議に身体が慣れず、僕はかなり疲れてしまったのだった。
因みに、ピーちゃんの報告以降は過激派は一人も捕まらなかった。
その代わりに他の犯罪者を捕まえており、クリスとオーフレア様はなんと街道の害獣駆除までやっていたのだ。
僕も、正直言うと会議よりも街道の害獣駆除の方が良いなと思ってしまったのだった。