作品タイトル不明
第百八十三話 みんなで捜索開始!
翌朝、僕達は早速手分けして作業を始めた。
探索魔法が使える僕、スラちゃん、そして新しく探索魔法を覚えたアクアちゃんとリーフちゃんで郊外に抜ける隠し通路がないか確認をする事になった。
僕の護衛として、ピーちゃんもついてくれる。
市内の循環をクリス、ナッシュさんとともに、ミカンちゃん、カレーちゃん、リンゴちゃんが担当する。
回復魔法が使えるシロちゃん、レモンちゃんは、教会で奉仕活動をしつつ教会に訪れた不審者を捕まえる事にした。
「みんな、気をつけてね」
僕が同行しないチビスライム達に話しかけると、頑張るぞと触手をフリフリとしていた。
みんなとっても強いけど、何が起こるか分からないもんね。
「では、一度昼食時に一度屋敷に集合して結果を伝える様に」
「「「はい!」」」
ハーデス様に見送られながら、僕達は用意された馬に乗ってそれぞれの場所に向かった。
僕は辺境伯領の端が分からないので、護衛の兵に場所を案内してもらった。
「最初の場所はここになります」
「スラム街のド真ん中なので、本当に気をつけて下さい」
護衛の兵もかなり気を使うほど、周囲の治安は悪かった。
建物の物陰から人々がこちらを見ており、その建物もかなりボロボロだ。
とはいえ、僕は王都のスラム街で奉仕活動をしているし、この程度なら全然平気だ。
では、早速始めよう。
シュイン、シュイン、もわーん。
「こ、これが【蒼の治癒師】様の魔法……」
「凄い、凄いとしか言いようがない……」
僕を中心に巨大な魔法陣が出現し、周囲も魔法の光で少し明るくなった。
護衛の兵が驚く中、僕達は探索魔法で周囲を調べた。
うん、ここは大丈夫だ。
あっ、そうだ。
ついでに、この魔法も使おう。
シュイン、ぴかー!
「「なっ……」」
今度は僕だけでなく周囲に複数の魔法陣が現れ、白色の眩しい光と共に魔法陣も消えた。
周囲を生活魔法で綺麗にしたら、またもや護衛の兵が驚いていた。
スラム街は不潔で臭いも酷い時が多いから、清潔な環境にするだけでも効果があるはずだ。
念のためにもう一度周囲を確認したが、特に不審な反応はなかった。
「では、次の場所に向かいましょう」
「「はっ、はい!」」
こうして、僕達は最初に防壁沿いを重点に調べていった。
幸いにして、郊外に抜ける隠し通路はなかった。
その代わり複数の犯罪組織の拠点を見つけ、みんなと共に速攻で潰した。
保護が必要な孤児も見つけたので、教会に連絡をして保護してもらった。
商店街に移動すると、出店の店主をしながら周囲の情報を集めていた犯罪者もいた。
下手な変装で周囲をキョロキョロとしていたので、直ぐに怪しい人だと分かった。
こうして、午前中のうちに辺境伯領の領都の大部分を調べ終えたのだった。
「これは凄いな。流石としか言えないぞ」
執務室で午前中の報告を聞いたハーデス様が、思わず資料を手にしながら苦笑していた。
クリス達も大活躍し、町の人から情報を集めた上に沢山の犯罪者を捕まえた。
シロちゃんとレモンちゃんも教会の治療施設に入院している人を全員治療し、更に教会にやってきた犯罪者を捕まえた。
何と、聖職者にも犯罪者がいたのだった。
通信用魔導具で各所に午前中の報告をしたが、午後はやり過ぎない程度にと釘を刺されてしまった。
とはいえ、やる事はまだまだあるので昼食を食べたら午後も頑張ろうと思った。
ところが、午後になってとんでもない事が判明してしまった。
それは、ガルフォース辺境伯家の屋敷の庭で応援で呼んだ国境麓にある軍の挨拶を受けていた時だった。
シュイン、バシッ!
「なっ!?」
「「「「「えっ?」」」」」
何と、兵が整列していた所でスラちゃんが一人の兵を拘束魔法で捕まえたのです。
兵に限らず僕達も一瞬戸惑ったけど、鑑定魔法を使ったらスラちゃんの行動の意味が直ぐに判明した。
シュイン、もわーん。
「あっ、この人過激派の構成員です!」
「「「「「はぁ!?」」」」」
「ぐっ……」
僕も、まさか兵に過激派の構成員がいるとは思いませんでした。
しかし、拘束された兵が悔しそうにしているのが何よりの証拠でしょう。
他のスライムの鑑定結果も同じだった為、拘束された兵は直ぐに武装解除されて連行された。
「別口で、軍事基地の調査をした方がよさそうですね」
「そうだな。国境の基地も調べた方が良さそうだ」
ハーデス様と意見が一致し、念のために通信用魔導具で各所に報告した。
すると、陛下から急いで調査する様にとの指示が下った。
「じゃあ、みんな頼むね」
「ピッ!」
アクアちゃんとシロちゃんが、ピーちゃんに乗って国境の麓にある軍事基地に行ってくれる事になった。
シロちゃんがいるから怪我人の治療もできるし、既に現場責任者には調査をするという連絡も行っている。
「そっか、王都の軍の施設にはブドウちゃんがいて徹底的に調べているし、王城の玄関にもクロちゃんがいるんだ」
「そう考えると、王都の主要施設は問題なさそうだ。いずれにせよ、目の前の状況をどうにかしないといけない」
颯爽と飛んでいったピーちゃんを眺めながら、僕とナッシュさんは思わず溜息をついてしまった。
僕達もできることをやらないといけないと思い、午後の巡回などを頑張ったのだった。
「結果的に、更に四人を拘束したのか。これはかなり問題だな」
夕食時、報告を聞きながらハーデス様も思わず溜息をついていた。
軍事基地に関しては全て調査を終え、明日国境の基地に向かうという。
僕達も頑張って巡回し、過激派ではないけど沢山の犯罪者を捕まえる事ができた。
「僕も、明日は国境に行く事になりました。調査だけなら日帰りで出来るので、頑張ってきます」
「ケン、無理をするのではないぞ。結婚式前なのだからな」
ハーデス様からも気を使われたが、今は目の前の安全を守る方が優先だった。
何事も起こらないことを祈るしかなかったのだった。