作品タイトル不明
第百七十六話 アジトへの潜入捜査
「みんな、無理をしないでね。最初は偵察だけで良いよ」
チビスライム達が張り切ってトンネル内の偵察に行ったが、何か問題が発生するかもしれない。
それこそ、戦闘が起こる可能性もある。
アクアちゃんが同行したから、万が一爆発型魔導具があったとしても対応できるはずだ。
パカパカパカ。
「ブルル」
「相変わらず、スライムが華麗に馬に乗るのは凄いとしか言えないな」
ここで、スラちゃんが馬に乗って僕達の所に合流した。
ルーカス様の言う通り、馬を操るスライムって本当に凄いね。
とはいえ、チビスライム達も馬を颯爽と操れるんだよなあ。
そして、スラちゃんも僕達に行ってくると触手をフリフリとして地下通路に入って行った。
その間に、僕達は派遣された軍の魔導具職人によって爆発型魔導具から魔石が外されるのを見届けていた。
「ふう、これで全部です。しかし、これだけの武器があるとなると、近日中に碌でもない事をしでかす可能性がありましたな」
「私も、まさにその可能性を考えていた。年末の奉仕活動が、直近のターゲットとなっただろう」
魔導具職人は実は上級官僚試験にも合格しており、ルーカス様も普通に話を聞いていた。
これだけの武器が年末の奉仕活動で使われていたら、きっととんでもない大惨事になっていたはずだ。
武器や無効化された爆発型魔導具が全て軍の施設に運ばれた時、地下通路からレモンちゃんが僕達の所に戻ってきた。
ふりふりふり。
「えっ、地下通路が過激派の拠点に通じていた!? しかも、過激派とユータ達が大喧嘩している?」
「全く、血の気の多い連中だな……」
ルーカス様も、レモンちゃんの報告を聞いて思わず苦笑してしまった。
僕はとてもビックリしているのだけど、実はレモンちゃんの話には続きがあった。
「ユータ達はスラちゃん達が潜入している事に気がついていて、爆発型魔導具を凍結しているのも見過ごしている?」
「となると、ユータ達は過激派を見切った可能性が高いな。頃合いを見て、過激派の拠点に突入しよう」
直ぐにルーカス様が方針を決め、通信用魔導具であれこれ指示を出した。
その間にチビスライム達とピーちゃんも戻ってきて、スラちゃんだけが念の為に残っているという。
「ピィ」
「ピーちゃんが、アジトの位置も完璧に把握しているみたいです。もうそろそろユータ達も拠点を出るので、準備ができたら突入していいそうです」
「相手の人数も分かっているし、何よりもスラちゃんが中に控えている。この地下通路がある家も警備をしないとならないし、部隊準備ももう少しかかるだろう」
ルーカス様は、ピーちゃんの話を聞きまたまたあれこれ指示を出した。
僕達も、準備を整えて馬に乗って防壁の門まで移動する事にした。
「ルーカス様、お待たせしました」
僕達が防壁の門に到着して程なく、ゴードン様が部隊を率いてやって来た。
ルーカス様に加えてゴードン様もいるという事が、事態の深刻さを現していた。
「ケンが急いで呼ばれただけでも、かなり重要な事だぞ。ケンは、それだけの戦力を有している」
ゴードン様、僕やスラちゃんたちはそんな物騒な存在ではないですよ。
ルーカス様も他の兵も、ウンウンと頷かないで下さい。
気を取り直して、ピーちゃんが先導しながら軍の部隊は進んで行った。
「ピッ」
「防壁の道脇にある森の中に、小さな小屋があるそうです」
「成程、カモフラージュしていたのか。敵ながら頭を使っている」
ルーカス様もびっくりするくらい、隠れ家は巧妙に偽装されていました。
そして、突入するともっとびっくりする事が起きていたのです。
ドン!
「軍、だ……えっ?」
「「「「「げはっ……」」」」」
何と、過激派の構成員っぽいものは全員倒されていたのだ。
すると、潜んでいて成り行きを見ていたスラちゃんが色々と教えてくれた。
フリフリ、フリフリ。
「えーっと、全員ユータとその仲間によってノックアウトされたそうです。ユータは、住民を狙った無差別テロは嫌だと断ったそうです。過激派が爆発型魔導具を爆発させるぞと脅したので、殴り返したそうです」
「まあ、何だかんだ言ってアイツは乱暴だが他人には優しかったからな。何にせよ、コイツラを連行するとするか」
スラちゃんの報告に、ゴードン様はかなり納得していた。
先ずは目の前の事をどうにかしないといけないので、手分けして連行して爆発型魔導具の解除も行った。
こうして、偶然もあったが過激派の拠点を一網打尽にしたのだった。
「じゃあ、僕達は王都の隠し通路などの調査に戻りますね」
「ああ、頼むぞ。何かあったら、直ぐに連絡してくれ」
防壁の門で、僕達はルーカス様達と別れて再び作業に戻った。
うーん、ユータ達が次にどんな行動を取ってくるのか、ちょっと気になってしまった。
でも、ゴードン様曰くテロは起こさないだろうと言っていたのでした。
その後は、王都の外に繋がっている怪しい道はなく、商店街内に怪しい地下がある所があったのでスラちゃん達に調べてもらった。
結果として複数の犯罪組織を潰すことができ、王都の治安向上に貢献する事ができたのだった。