作品タイトル不明
第百七十五話 トラブル発生?
こんな感じで、ちょっとずつパワーアップを続けて行きながら日々過ごしていた。
体力や筋力も少しついたかなと思っていたけど、僕的にはまだまだだと思った。
それに、まだ未成年だもんね。
そして、年末の奉仕活動までもう間もなくと迫ったある日、とんでもない事件が起きてしまった。
それは、僕が執務室で書類整理をしていた時だった。
「おや? ルーカスからの連絡だ。ふむふむ、ふむ!?」
陛下が執務机の上に置いていた通信用魔導具をポチポチといじっていると、信じられないという表情に変わったのだ。
そして、直ぐに僕に指示を出した。
「ケン、急いで軍の施設に行くように。詳細はルーカスが説明するが、安全上重大なリスクと成り得る物をスラちゃんが見つけたらしい」
確か、今日もスラちゃんは軍と共に王都内の巡回をしていたはず。
犯罪組織を見つけた事もあるけど、安全上の問題って何だろうか。
疑問に思いながら、僕は急いで後片付けをして執務室を後にした。
用意された馬車に乗って軍の施設に向かうと、既に検問の前でルーカス様が待っていた。
「すみません、遅くなりました」
「いや、ケン君こそ忙しいところを呼んで済まない。何があったかは、現地で説明する」
本当に急ぎの事らしく、僕も用意された馬に跨った。
魔法訓練を受けてたチビスライム達も一緒に馬に乗っており、駆け出したルーカス様の後をついて行った。
因みに、ルーカス様の屋敷でシーリアさんから研修を受けていたクリスちゃんとピーちゃんも、急いで現場に向かっているという。
そして、僕たちは王都の外れにあるスラム街の一角に辿り着いた。
「問題の場所はここだ。既に制圧してある」
「ここって……」
ルーカス様と共にやってきたのは、スラム街にある古びた平屋の一軒家だった。
うーん、見た目はどこからどう見ても普通の家だ。
すると、ルーカス様は僕にある魔法を使う様に指示をした。
「ケン君、探索魔法を使う様に。直ぐに何が起きているのかが分かるぞ」
僕は、馬から降りてルーカス様に言われるがまま探索魔法を使った。
すると、とんでもない事が判明した。
シュイン、もわーん。
「えーっと、えっ、ええっ!? 地下から外に続いている道があります!」
「その通りだ。この建物を隠れ蓑にして、地下通路から王都の中と外を行き来している。つまり、検問を通らずに王都に侵入していたのだ」
ルーカス様も、頭を抱えながら話をしてくれた。
確かに、陛下の言う治安の一大事だ。
「その、この家の地下を通っていた犯罪組織はどうなりましたか?」
「ああ、もう大丈夫だ。スラちゃん一匹で、犯罪組織の構成員を全て倒した」
わお。
幾ら奇襲をかけたとはいえ、一匹のスライムがこの家と出口にある犯罪組織の拠点を全て制圧したとは。
因みに、スラちゃんが隠し通路に気が付いたのは不自然に積まれた土のうかららしい。
普段から王都を巡回している、スラちゃんらしい洞察力だ。
そのスラちゃんは、制圧した犯罪組織の拠点の捜索を手伝っているという。
「そこで、ケン君には王都を順に回りながら探索魔法で不審な通路などがないか調べて貰う。王都の外に出なくても、建物などに繋がっていたら調査対象だ。王都の外へは、ピーちゃんとチビスライムに確認してもらう」
「頑張ります!」
これは、気合を入れないといけない仕事だ。
探索魔法を使えるのは、僕とスラちゃん、それに補助魔法が得意なクロちゃんと空間魔法が使えるブドウちゃんだ。
しかし、クロちゃんは王城の検問担当で、ブドウちゃんは軍の施設の検問担当だ。
そこで、リーフちゃんが王城の、シロちゃんが軍の施設の検問を交代してくれる事になった。
「こういう作戦で行くよ」
「頑張るよ!」
「ピィ!」
合流したクリスちゃんとピーちゃんに作戦を伝え、直ぐにピーちゃんは王城と軍の施設に向かってくれた。
スラちゃんは別行動中なので、僕達で頑張ろう。
最初にスラム街などの王都の防壁近くを調べ、その後商店街から貴族街へと調べる事にした。
みんなで鑑定魔法を使うと広範囲を調べられ、どんどんと色々な箇所を確認した。
そして、作業開始から一時間、そろそろスラム街の調査が終わるタイミングだった。
シュイン、もわーん。
「あれ? これって……」
僕が探索魔法で調べた先に、王都の防壁の外に通じる道らしき地下の反応があった。
井戸や水脈ではないし、ブドウちゃんとクロちゃんに探索魔法で確認しても同様の結果だった。
「ピーちゃん、アクアちゃん、王都の防壁の外の確認をお願いね」
「ピッ」
ピーちゃんとアクアちゃんは、任せろとやる気満々で王城の外に向かった。
その間に、別行動していたルーカス様に合流してもらった。
「まさか、もう一箇所あるとは。しかも、ここも見た目は普通の一軒家だな」
建物内に人の反応はなく、周囲にも悪い人の反応は無かった。
僕たちは、恐る恐る建物の中に入った。
ガチャ。
「あっ!?」
「こ、これは……」
すると、建物の中に複数の爆発型魔導具があったのだ。
更に、武器なども大量にあった。
武器庫みたいな感じになっており、かなり危険な雰囲気を醸し出していた。
ルーカス様は一瞬驚きで言葉を失ったが、直ぐに指示を出した。
「ケン君の氷魔法で凍結して無効化し、魔石を外そう。魔導具技術者を派遣するように」
「「「「「はっ」」」」」
ルーカス様の指示で、僕も兵も慌ただしく動き始めた。
武器も押収しないといけないので、チビスライム達も捜索に協力を始めたのだった。