軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第百七十一話 ケーラさんからクリスへのお仕置きタイム

クリスが上級官僚試験に合格したので、研修もちょくちょく行われることになった。

その為、来年行われる僕とクリスの結婚式までの予定などを再確認する必要が生じた。

そこで、僕とクリスはダイナー男爵家に行って色々と話をする事にした。

「予定は問題ないわよ。フリージアさんと共にケン君が作り終えた招待状を確認しているけど、特に問題なかったわ。大教会側も偉い人達がやる気になっていて、ケン君の屋敷で行う披露宴も玄関ホールを使う事になっているわ」

応接室で対応してくれたケーラさんは、何にも問題ないともの凄くあっさりと答えてくれた。

披露宴の備品も僕の屋敷にあるもので足りるらしく、しかも王族が来ても大丈夫な豪華な食器などもあった。

きっと、王太后様や王妃様が僕に屋敷を下賜された時に用意してくれたんだ。

「そういう事よ。元々ケン君が忙しいのは分かっているし、クリスも元々そこそこ忙しいのよ。研修も大切だし、そちらが優先でしょう。礼儀作法の訓練もあるから、タイミング的にちょうど良いわ」

「げっ……」

ケーラさんの話を聞き、クリスは思わず顔を青くしてしまった。

僕が上級官僚試験に合格した時も礼儀作法の訓練を受けていたし、勉強になるのは確かな話だ。

すると、ここで話が別方向に向かった。

「クリス、私の隣に来なさい」

「うん? はい、分かりました」

ケーラさんにニコリとしながら呼ばれ、クリスは何のことだか分からずにケーラさんの隣に座った。

しかし、僕とスラちゃんは分かってしまった。

ケーラさんの目が、全然にこやかじゃない事を。

ガシッ、メキメキメキ……

「いた、いたいたいたいた!」

「あわわわ……」

そして、ここからケーラさんによるお仕置きタイムが始まった。

何と、ケーラさんはニコリとしたままクリスにアイアンクローをかましたのだ。

しかもかなりの力らしく、クリスも上手く言葉を発せないでいた。

僕とスラちゃんは、思わず抱きついてブルブルと震えてしまった。

「クリス、あなたウェディングドレスでアーマードレスを着たいなんて言っていたらしいわね。フリージアさんから話を聞いた時、顔から火が出るくらい恥ずかしかったわよ」

「あががが、ごめ、ごめ!」

クリス、流石にアーマードレスで結婚式は駄目だよ。

ケーラさんが怒るのもよく分かるし、僕だって戸惑うよ。

「他にも、試験勉強中にお菓子を食べまくってだいぶお腹に肉がついたらしいわね。折角だから、軍で鍛えてもらいなさい!」

「うががが、すみ、すみま!」

うん、お菓子の件でも僕はクリスに注意したんだよね。

これから、朝の訓練をハードモードでやれば大丈夫かな?

こうして、暫くの間母親から娘へのお説教が続いていた。

僕とスラちゃんは怒れるケーラさんを止めることができず、ちょっとづつ二人から距離を取ったのだった。

「うう、頭が痛いよー……」

「自業自得よ。ケン君がいたからこの程度で抑えたけど、二人っきりだったらもっと凄いことをしていたわよ」

ケーラさんのアイアンクローからようやく解放されたクリスだが、残念ながら僕とスラちゃんは回復魔法をかけないでとケーラさんにニコリと言われてしまった。

クリスは、暫くの間頭を抱えて悶えていた。

「ケン君、馬鹿な娘でごめんね。こんな娘だけど、これからも宜しくね」

「は、はい……」

再びニコリとしながら話しかけてきたケーラさんに、僕とスラちゃんは頷くしかなかった。

母親って大変なんだと、改めて思い知ったのだった。

「また、色々と相談に来ます」

「ええ、いつでもいいわよ。なんせ義理の息子の相談なのだからね」

こうして、ダイナー男爵家での話し合いは無事に終わった。

ついでだということで、そのままノーム準男爵家へと向かった。

「私たちも、準備は問題ないと思っているわ。余程予定外の事が起こらない限りね。もうそろそろ招待状も発送するし、後は返事待ちよ。因みに、宛先は王妃様と王太后様も確認しているわ。文句があるなら受け付けると言っていたのよ」

フリージアお祖母様も、結婚式の準備は問題ないと言ってくれた。

僕の場合問題のある貴族家には招待状を送らない予定で、王家が対応してくれるのはかなりありがたかった。

今度、王妃様と王太后様にお礼を言わないと。

「けっこんしき、たのしみー!」

「ふふ、ありがとうね」

シンシアお姉様の結婚式で大活躍したルートちゃんも、僕とクリスの結婚式をとても楽しみにしていた。

抱っこしているクリスに、両手を挙げてアピールしていた。

「二人も、忙しいのはよく分かるわ。こういう事は、母親が頑張るから大丈夫よ。きっと、イリスが生きていても一生懸命結婚式の準備を手伝ったはずよ」

母親が色々な人の結婚式を手伝ったのは、かなり有名な話だ。

だからこそ、息子である僕の結婚式も手伝いたかったはずだ。

フリージアお祖母様も、その点はまかせてと張り切っていたのだった。