軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第百六十七話 マヌ伯爵家への裁定

こんな感じで、スラム街にある教会を中心に奉仕活動を行った。

その度にローリー様が大活躍し、何と六つの犯罪組織の拠点を潰すことに成功した。

犯罪組織と繋がっていた貴族などにも強制捜査が入り、こちらはオーフレア様がローリー様に負けじとかなり張り切っていた。

結果として王都の治安は良くなったが、まだまだ足りないとヘルナンデス様は語っていた。

こうした日々が続く中、いよいよマヌ伯爵家への沙汰が言い渡される日になった。

事前に当主などへの判決は出ており、その内容を謁見の間に集まった貴族へ伝えることになった。

僕は、クリスとケイトちゃんと共に王城に向かい、謁見の間の前で待っていた。

「ケイトちゃん、僕とクリスがいるから大丈夫だよ。心配しなくていいよ」

「うん……」

流石にケイトちゃんも緊張していて、僕とクリスの手をギュッと握っていた。

スラちゃんも、大丈夫だとケイトちゃんの頭の上でフルフルとしていた。

そして、僕たちはゆっくりと開いた扉から謁見の間の中に進んで行った。

「ここで、練習通りに膝をついて顔を下げるんだよ」

「うん」

小声でケイトちゃんに指示をしつつ、僕とクリスも膝をついて頭を下げた。

陛下は、ケイトちゃんがキチンと膝をついている姿に満足そうにしてから話し始めた。

「皆の者、面をあげよ」

「ここで、顔を上げるんだよ」

ここでも、僕はケイトちゃんに小声で指示した。

ケイトちゃんの目の前にはこの前話をした陛下がいたので、ケイトちゃんも少し安心していた。

「それでは、マヌ伯爵家への沙汰を言い渡す。国家反逆罪及び王家暗殺未遂罪により、マヌ伯爵家はお家断絶とし爵位は国が取り上げる。また、爆死したマヌ伯爵、及びマヌ伯爵夫人、嫡男夫妻は、孫であり娘であるケイトに虐待をしていた。その罪も加算し、三人は平民に身分を落とした上で有期の強制労働刑とする」

陛下による罪状の言い渡しに、集まった貴族から少しざわめきが起きた。

というのも、国家反逆罪などは直ぐに分かるものだったが、まさか虐待まで行われているとは思わなかったのだ。

その為、まだ三歳のケイトちゃんに同情的な視線が向けられていた。

「ケイトに関してはアスター男爵が保護した事にし、貴族身分は保証する。また、爆発で被害を受けた貴族家には、押収した金品より優先的に被害保証する事とする。また、マヌ伯爵家の屋敷は基礎部分が破壊された為取り壊しとする。傘下の武器工場も解散とする」

矢継ぎ早に色々な事が説明されたが、ケイトちゃんは貴族名は無くなったが貴族令嬢として僕の屋敷で過ごすことになった。

そして、ある意味ここからが大切な話だった。

「マヌ伯爵は、二つの大きな罪を犯した。一つは、自らの利益を得る為に犯罪組織と手を結んで大きな犯罪を行ったこと。そして、未来ある子どもを虐待したことだ。どちらも、比べることの出来ない大変大きな罪だ。王国として、過激派への対策を進めると共に、虐待への対策を進める。ここに集まっている者も、犯罪を起こさないよう心して業務にあたるように」

「「「「「はっ」」」」」

陛下の訓示的な話を聞き、集まった人たちは改めて臣下の礼をした。

両方ともとても大切な事だと、僕も改めて思ったのだ。

これで謁見が終わり、僕たちは足早に応接室に向かった。

「「「お友達だ!」」」

「だー!」

「アオン!」

「わっ!?」

応接室に向かうと、一足先にいた王家のちびっ子とジョセフちゃんとユキちゃんがケイトちゃんの所に笑顔で突撃してきた。

今までずっと会えなかったので、ようやく会えたと思っているのだろう。

当のケイトちゃんは、まだ何が起きたのか分かっていなかった。

「ふふ、みんなとても楽しそうね。ケン君の所にいれば、きっと良い子に育つはずだわ」

「あぶー」

イリスちゃんを抱きながら、メアリーさんはかなり楽観視していた。

ケイトちゃんは素直で大人しい感じだけど、今のところ悪い子に育つ兆候はなかった。

「あと、スラちゃんがケイトちゃんには回復魔法の素養があると言っていました。流石にまだ魔法の勉強をするには早いので、もう少ししたらキチンと教えます」

「あら、それは素晴らしい事だわ。ケン君達と共に奉仕活動や治療を行う事で、色々な心が成長するはずよ」

既に、王家の双子ちゃんとジョセフちゃんは奉仕活動で町の人と積極的に関わっていた。

ケイトちゃんにも、頑張って回復魔法を教えないと。

僕よりも、スラちゃん達の方が頑張って魔法を教えると意気込んでいた。

「ケイトはまだ幼い。それこそ、ケンが軍の施設にやってきた時よりも年下だ。だからこそ、当分はしっかりと体を大きくして成長する事が大切だ。勉強も、ケンの所にいれば問題ないだろう」

陛下は、お菓子をもしゃもしゃと食べながら僕に説明した。

確かに、ケイトちゃんは年齢の割に体も小さいし暫く慎重に様子を見ないといけない。

僕の屋敷にいる使用人も、栄養に関してかなり気を使ってくれていた。

「あのね、私はアリアなの!」

「僕はブライト!」

「ジョセフだよ!」

「ビアンカ!」

「ウォン!」

「えーっと、その……」

あらら、ケイトちゃんはみんなの圧力に負けてオロオロとしているね。

メアリーさんが子どもたちに優しく説明してくれて、事なきを得た。

そんなちびっ子達の楽しそうな様子に、みんなもニコリと微笑んでいたのだった。