軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第百六十話 メアリーさんとシーリアさんの陣痛と出産

新年から暫く経ったある日、遂にメアリーさんとシーリアさんの陣痛が始まった。

しかも、シーリアさんが王城を訪ねて程なくして、ほぼ同時に陣痛が始まったのだ。

この日の僕とクリスは軍の施設で魔法の訓練を行っていたので、急いでスラちゃん達と一緒に馬車に乗って王城に向かった。

「はあはあはあ。王妃様、遅くなりました」

「ケン君、慌てて来ないで良かったのよ。でも、急いでくれてありがとうね」

前にも行ったことのある王城内の出産と育児部屋に行くと、王妃様が僕たちを待っていてくれた。

スラちゃんたちは、王妃様と僕たちに任せろとはりきって出産と育児部屋に入った。

そして、王妃様も部屋の中に入るそうなので、僕たちは応接室に向かいます。

「「「だいじょーぶかな?」」」

「なー?」

「ふふ、大丈夫よ。暫くすれば、可愛い赤ちゃんが産まれるわよ」

応接室にはちびっ子達が集まっていて、少し不安そうにしながら王太后様に話しかけていた。

ちびっ子たちは、陣痛が始まった時に一緒にいたんですね。

「じゃあ、皆はケン君とクリスちゃんと一緒に勉強部屋に行きましょうね。お兄ちゃんとお姉ちゃんが、絵本を読んでくれるって」

「ピィ!」

「「「「わーい!」」」」

どうやら、公務を行う王太后様の代わりに、僕たちがちびっ子たちの面倒をみるみたいですね。

ピーちゃんも、一緒に頑張るぞと張り切っています。

ということで、みんなで手を繋いで勉強部屋に向かいます。

「うーん……」

プリプリプリ。

あっ、勉強部屋に着いたらビアンカちゃんがうんこをしちゃったよ。

まだ一歳になったばかりの幼児だから仕方ないね。

使用人のおむつ交換の間に、読みたい絵本を選びます。

「えーっと、これがいい!」

「僕はこれ!」

アリアちゃんとブライトちゃんが持ってきた絵本のタイトルを見て、僕は思わず固まっちゃいました。

「えーっと、『教会で怪我をした親子を救った【蒼の治癒師】様』と、『町を救った【蒼の治癒師】様』。これって、僕のことじゃないか!」

「「「「「おー!」」」」」

まさかまさかの、僕の事が絵本になっていた。

しかも、本棚を見るとまだたくさんあったのだ。

中には、僕の母親の事が書いてある絵本もあります。

うん、ちびっ子に混ざってクリスもビックリしているよ。

パラパラと本の中を読んだけど、殆どが子ども向けに書き直されていた。

すると、ちびっ子達が僕をキラキラと下目で見ていたのです。

「私も、ケンの話を聞いてみたいわ」

「「「ききたーい!」」」

「たーい!」

クリスの言葉に、ちびっ子達が元気よく続いた。

よく見ると、使用人まで僕の話に興味津々だ。

あんまり難しい話をしてはと思ったので、少し要約して話をしよう。

「えっとね、この教会で親子を治療したお話だね。これは、僕が七歳になる歳の話だよ。帝国との戦いから王都に帰ってきて、王太后様、王妃様、シンシアお姉様と一緒に大教会に戦いが終わりましたよと報告に行ったんだよ。そうしたらベッドから落ちちゃって、腕を怪我した子どもを連れてきたお母さんがいたんだ。僕とスラちゃんは、急いで子どもを治療したんだよ。お母さんのお腹も良くなかったから、一緒に治療したんだ」

「「「「「おー!」」」」」

僕が絵本に描いてあった内容を説明すると、クリスもちびっ子たちもとても盛り上がっていた。

使用人が「事実の方が凄い……」とポツリと言っていたけど、これでも大分端折っていた。

その後も、あれこれ聞かれたので説明していた。

ちびっ子たちは大盛り上がりで、結局一冊も絵本を読んでいなかった。

でも、お話を聞くのも勉強のうちかな。

「ケン君の逸話はとても多いし、イリスさんの話も素晴らしい物があるわ。勿論、ケン君の屋敷に絵本の売上の一部を入金しているわよ」

「「「「もぐもぐもぐ」」」」

昼食の時間になり、再会した王太后様に色々と聞いてみた。

どうやら、王家が主導して絵本制作をしているみたいだ。

「その、僕はお金があるので入金は少なくていいです。代わりに、孤児院とか困っている人に使ってもらった方が嬉しいです」

「あらあら、ケン君は嬉しい事を言ってくれるわね。ふふ、色々と相談してみるわね」

「「「「もぐもぐもぐ」」」」

僕がモデルなので全くお金を受け取らないのは失礼だと思うし、沢山お金を受け取るのもどうかなと思っていた。

儲けようとは考えていないし、きっと王太后様ならお金の使い道は大丈夫なはずだ。

「ねーねー、またえほんできるの?」

「ふふ、そうね。もっと沢山できると思うわ」

「「「「わーい!」」」」

ちびっ子たちは、王太后様の話を聞いてとても喜んでいますね。

まあ、僕の話で喜んでくれるなら嬉しいです。

こうしてみんなで昼食を食べ、その後のちびっ子達はお昼寝をして起きたらピーちゃんと遊んでいた。

そして、おやつの時間前の時だった。

「皆様、メアリー様とシーリア様が女の子を出産されました」

「「「「「わーい!」」」」」

「ピィ!」

使用人の話を聞き、クリスとピーちゃんも一緒になって大喜びしていた。

赤ちゃんに会う準備ができたようなので、皆で出産と育児用の部屋に向かった。

「「あうー」」

「「「「わあー!」」」」

メアリーさんとシーリアさんと同じ髪色の女の子で、ちびっ子達は赤ちゃんに夢中だった。

ピーちゃんも、ベビーベッドの柵に乗って赤ちゃんを興味深そうに見ていた。

「いやー、やっぱりスラちゃん達がいると心強いわ」

「ふふ、そうですわね。いつでも凄い治療が受けられるのは、とてもありがたいですわ」

シーリアさんとメアリーさんは、かなり安心して出産に臨んでいたみたいだ。

今回は安産ってのもあり、そこまで治療を受けなくて済んだという。

「ケン君、暫くスラちゃん達を王城に派遣してね。あと、贈り物対策でルーカスのところにも暫くスライムを派遣して欲しいわ」

僕より先に、スラちゃん達が頑張るぞと気合いを入れていた。

既に経験している事だし、何も問題はないもんね。

もうそろそろアーサー様とルーカス様もやってくるそうで、赤ちゃんを見てきっと喜ぶはずだ。

こうして、王家とルーカス様のところに新たな命が誕生したのだった。