軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第百四十四話 捕虜引き渡し

捕虜の移送や亡くなった帝国兵の遺品の引き渡しは、翌朝から順調に行われた。

監視のために僕やスラちゃんたちも帝国側の陣地まで行き、引き渡す捕虜の体調に問題はないかなどを確認した。

幸いにして怪我人や病人などもおらず、僕もスラちゃんもかなりホッとした。

ナッシュさんは、勉強のために捕虜の移送関係のあれこれを指揮した。

「おい、今すぐ俺を解放しろ!」

「ふざけているのか? 王国がどうなってもいいんだな!」

翌日は、捕虜になっている帝国軍幹部の移送が始まった。

帝国軍幹部は移送中も元気よく大きいことを言っていたが、帝国側の陣地でこの人の顔を見た瞬間に唖然としてしまった。

「落ち込んでいるかと思ったら、随分と元気そうだな」

「「「「「げー、レーベンス大将!」」」」」

どうやら、失った手もきっちりと再生しているレーベンス様を見て度肝を抜かれた様だ。

中には、幽霊が立っているのではと怯えている者もいた。

「お前ら、かなり酷いことをしてくれたな。皇帝陛下も、今回の件は厳罰に処すると表明している。だが安心しろ、お前たちは帝国軍の威信にかけて安全に帝都まで運ぶぞ」

「「「「「あわわわ……」」」」」

帝国軍幹部は、自分たちがどんな運命を辿るのか想像できたようだ。

とはいえ、処分が軽くなることはないだろう。

ガックリとした帝国軍幹部は、早々に連行されていった。

「レーベンス大将、これで何とか捕虜の引き渡しが終わりましたね。それにしても、幹部の人たちは凄くビックリしていましたね」

「全く、人のことをお化けか何かと勘違いしている。とはいえ、奴らにとってはお化けよりも会いたくなかっただろう」

レーベンス大将も、とても上機嫌に話をしていた。

帝国も、これでやっと一息つくだろう。

「とはいえ、開戦派の残党もまだ残っている。王国側にも開戦派はいるだろうし、ケン君もまだまだやる事はあるぞ」

レーベンス大将の懸念は最もだ。

王国側にも貴族主義を中心とした開戦派はいるようで、今後何かをしてくる可能性もある。

幸いな事に、王国軍はとても優秀で父親や兄みたいな存在もほぼ排除された。

軍が中心となって動けば、確実に対処できるはずだ。

この日は帝国軍の幹部引き渡しで終わり、翌日帝国側の陣地の返却をして無事に停戦となった。

僕達は、ルーカス様と共に国境の基地からガルフォース辺境伯家の屋敷へと移動した。

「まさか突発的ながら大規模な衝突が起きるとは。今回は、中々難しい事態だった。しかし、判断を誤らないのは流石ルーカス様だ」

本来の目的であるガルフォース辺境伯家への訪問ができ、ハーデス様もかなりホッとしながら僕たちを出迎えてくれた。

ランディちゃんは僕たちと会えるのを楽しみにしていたのに全然会えず、いつになったら会えるのかと祖父に聞いていたという。

「おねーちゃんもつよいんだね!」

「でも、私よりもケンの方がずっと強いわよ。ランディちゃんも、これから強くなるために頑張らないとね」

「うん!」

そのランディちゃんは、クリスとスラちゃんたちと楽しそうにお話していた。

以前よりも体も大きくなり、とても活発で元気な男の子に成長していた。

チラチラと僕の方を見ているが、ハーデス様との話が終わるまで我慢して下さいね。

「レーベンス大将の言いたいこともよく分かる。実際に、王都では開戦派が不穏な動きを見せていたという。王国の圧勝で終わり、直ぐに動きは沈静化したらしいがな」

ハーデス様が話した王都での不穏な動きは、ルーカス様からも聞かされた。

更に帝国と関係深い貴族も不穏な動きを見せ、少し緊迫した状況にもなったという。

そう思うと、本当に直ぐに戦闘が終わって良かった。

「しかし、前回の規模の大きな衝突の時もそうだし、ケン君は本当にタイミングが良い。流石に今回は大きな功績として扱われるだろう」

僕は、別に功績を得ようとして戦ったわけではない。

目の前の人が傷つくのが、本当に嫌だった。

それに、今回は兄の暴走まであった。

そう思うと、かなり複雑な思いもあった。

「ケン君が気にしていた兄のことだが、王都に送られた後も態度は良くないらしい。とはいえ反逆兵だ、かなり厳しい処分は免れないだろう。今回は、通常の裁判と軍事法廷を合同で開くことになった」

ルーカス様曰く、作戦実行中の魔法使いを雑兵が襲うのは王国史でも初めてだという。

兄は、国の命令を複数破ったギャイン騎士爵家の者としても裁かれるという。

判決が言い渡される当日には、僕も兄から見えないところで裁判を傍聴することになった。

「ねー、まだー?」

「はは、ケン君と話ができなくて拗ねているか。今日はここまでにしよう」

ハーデス様は、ランディちゃんの拗ねている声に少し苦笑していた。

そして、ランディちゃんはようやく笑顔になったのだった。