軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第百三十三話 年末の奉仕活動と要注意人物

意外とドタバタしながら、年末の奉仕活動の日になった。

マネー伯爵家への捜索は引き続き行われており、兵が忙しく屋敷の捜索を行っていた。

何故か捕まったマネー伯爵一家はペラペラと自慢しながら聴取を受けており、逆に聴取担当の兵が対応に苦慮していた。

更に、ミュウさんへの虐待容疑で屋敷の使用人も捕まった。

これは、軍で飼われているブドウちゃんの鑑定魔法の成果でもあった。

ブドウちゃんは他の貴族家への捜索でも活躍しており、ご褒美として美味しい食事が提供されたという。

僕の屋敷に保護されたミュウさんと魔物達は、まだ暫く体力回復の時間が必要だった。

それでも、保護された時に比べるととても元気になった。

ちびっ子たちは、年が明けたら魔物とお姉ちゃんと遊ぶと意気込んでいた。

「ミュウさんの供述は、とても大きな成果を上げたわ。自分に不利なことも話しているし、今までの状況を鑑みると間違いなく情状酌量の余地があるわね」

「じゅるじゅる」

奉仕活動に顔を出したシーリアさんが、捜査の状況を教えてくれた。

ミュウさんのお陰で捜査が捗っているし、貢献度はかなり高いはずだ。

あと、シーリアさんに抱っこされているジョセフちゃん、さっきからずっとアクアちゃんをハムハムしているね。

でも、アクアちゃんは食べ物じゃないからそろそろやめようね。

アクアちゃんも、どうしようかと悩んでいるよ。

「フォレストタイガー、フォレストウルフは凶暴な性格だけど、キングレオは更に凶暴なはずよ。それだけ、ミュウさんのことを信頼しているのね」

王太后様も、魔物がミュウさんにあれだけ信頼を寄せているのは奇跡だと言っていた。

それだけ、ミュウさんが献身的に世話をした証拠だ。

なお、サンダーホークは飼い慣らされることがあるという。

更に、こんな事も判明した。

「フォレストタイガーのペアは、妊娠しているみたいね。無理をせずに、ゆっくりと休ませた方がいいわ」

キングレオは単独飼育だが、フォレストタイガー、フォレストウルフ、サンダーホークは番ができていた。

サンダーホークも、そのうち卵を産む可能性がありそうだ。

魔物達は、キチンとお肉を食べられているので屋敷の庭にいる動物を襲うことは全くなかった。

逆に今までずっと地下の檻の中にいたため、色々な事に興味津々だった。

屋敷内なら動いても良いよと言っているので、暫くは魔物による屋敷内の探索が行われそうだ。

「それに、魔物と触れ合ってから子ども達も少し優しくなった気がしますわ。ビアンカちゃんにも、とても優しく接しておりますわよ」

メアリーさんは、シロちゃんを持ちながら張り切っている双子の子どもを、目を細めながら見ていた。

そういえば、双子ちゃんは初めて魔物に会った時も優しく頭を撫でていたっけ。

色々な経験をして、少しずつ大きくなっていくんだね。

因みに、レモンちゃんを手にしているルートちゃんは、相変わらず元気いっぱいだった。

それはそれで、とても良いことですね。

「来年の今頃には、お義母様とビアンカちゃんが加わるわね。きっと、より一層賑やかになるはずわ」

「ビアンカちゃんは現時点でも一番元気なので、間違いなく大教会内を走り回っていそうですね」

「ケン君の言ったことが、容易に想像できるわ。そして、ケン君がビアンカちゃんを追いかけるところもね」

うーん、僕としては双子ちゃんやジョセフちゃんがビアンカちゃんを追いかける気がすると思った。

何にせよ、間違いなく奉仕活動は今よりも賑やかになるだろう。

因みに、双子ちゃんやジョセフちゃん、それにルートちゃんは奉仕活動に慣れるのが当面の目的だった。

でも、厳つい顔の冒険者と接しても、全く泣かなかった。

これなら、きっと来年は張り切って治療とかをしているはずだ。

シュイン、ぴかー!

「はい、これで膝の痛みは良くなりましたよ。あと、お酒の飲み過ぎには注意して下さいね」

「ははは、仕事終わりの一杯は中々やめられないからな」

肝心の奉仕活動自体は、トラブルもなく順調に進んで行った。

炊き出しも順調だし、手伝ってくれている貴族令嬢もよく動いていた。

やはり、王族と接近する目的で近づいてくる貴族とは心構えが違った。

双子ちゃんやジョセフちゃんも、一生懸命奉仕活動をしている貴族令嬢には普通に接していた。

しかし、奉仕活動も最終盤になったタイミングで少し問題が起きてしまった。

「あれ? 急に貴族令嬢が増えているよ」

「あっ、本当ですね。何かあったのでしょうか」

クリスとコリーナさんは、炊き出しの後ろ側にたむろしている貴族令嬢たちを気にしていた。

急に現れた貴族令嬢たちは、特に手伝いをすることなくチラチラと僕たち、というか双子ちゃんとジョセフちゃんを見ていた。

「あの令嬢たちは、確かアーサーとルーカスの正妻候補として名乗り出ていたわ。もしかしたら、三人の子どもに取り入って側室の座に収まろうと考えているのかもしれないわね」

王太后様は、直ぐに近衛騎士に指示を出した。

メアリーさんとシーリアさんも、子どもたちを自分の側から離れないように抱っこしていた。

もちろん、僕、クリス、シンシアお姉様、コリーナさんもちびっ子たちが貴族令嬢たちの側に行かないように気をつけた。

というか、年齢がだいぶ違うと思うのは気のせいではないと思うよ。

「くっ、これではお子様に近づけませんわ」

「せっかく大教会に来たのに、全く意味がありませんわ」

遅れてやって来た貴族令嬢は、手伝う事もせずに悔しそうに僕達を見ているだけだった。

普通に朝から大教会に来て普通に奉仕活動をしていれば、ちびっ子たちも貴族令嬢に興味を持ったはずだ。

こうして後から来た貴族令嬢の目論見は崩れ去り、何とか奉仕活動を終えることができたのだった。

「全く、あやつらは奉仕活動を何だと思っているのじゃ。奴らは要注意人物じゃな」

サイオン枢機卿様も貴族令嬢の一連の行動をしっかりと見ていて、かなり憤慨していた。

この場に王妃様がいたら、サイオン枢機卿様や王太后様と同じ対応をしたはずだ。

せっかくみんなで頑張っていたのに、少し後味が悪い年末の奉仕活動だった。