軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第百三十話 貴族街の教会での奉仕活動

年末も段々と近づいて来た中、今日は貴族街にあるこの前とは別の場所にある教会で奉仕活動をすることになった。

いつも通り奉仕活動の準備をしていると、予想外の人が現れたのだ。

「ケン、やっほー」

「にーに、おはよー!」

先ず僕のところにやってきたのは、シンシアお姉様といつも通り元気いっぱいなルートちゃんだ。

ルートちゃんは、僕を見つけるなりトトトってダッシュをしてきた。

僕とクリスに抱きついて、ニヘラと可愛らしい顔で見上げてきた。

今日は貴族街での奉仕活動だから治安も比較的良く、ルートちゃんの奉仕活動デビュー戦には丁度いいということになった。

さっそく、シロちゃんがピョーンとルートちゃんの頭に飛び乗った。

「ルートちゃん、シンシアお姉様の言うことをよく聞いてね」

「あい!」

ルートちゃんがビシッと手を挙げて元気よく返事をすると、手伝いで来てくれた貴族令嬢も思わずニコリとした。

今日も奉仕活動を手伝ってくれるコリーナさんも、シンシアお姉様とルートちゃんの側にいてくれるようだ。

そして、何とこの人たちも教会に姿を現した。

「「はよー!」」

「あい!」

王家の双子ちゃんことアリアちゃんとブライトちゃん、更にジョセフちゃんも僕達に元気よく挨拶をした。

もちろん母親のメアリーさんとシーリアさんに加えて、王太后様も付き添いでやってきた。

流石に、王妃様は王城で赤ちゃんのビアンカちゃんのお世話が優先だ。

「来年には、この子たちも正式な奉仕活動デビューをするでしょう。こういうところで経験を積めば、大教会での奉仕活動も問題なくできるはずよ」

王太后様が言う大教会での奉仕活動は、アリアちゃんとブライトちゃんの町の人へのお披露目も兼ねている。

厳つい顔の冒険者とかもいるので、人に慣れる訓練も必要だ。

こういった安全な環境での奉仕活動や、軍の治療施設での治療を経験することで、人としても大きく成長できるはずだ。

ぴょーん。

「「がんばろうね!」」

「おー!」

双子ちゃんのところにはスラちゃんとアクアちゃんが行き、ジョセフちゃんのところにはレモンちゃんが向かった。

回復魔法が使えるスラちゃん達と一緒に治療することで、町の人と接する良い経験になるはずだ。

そして、王太后様の護衛としてリーフちゃんがついた。

クリスは、ちびっ子たちとメアリーさん、シーリアさんの護衛として側についた。

では、さっそく奉仕活動を始めよう。

シュイン、ぴかー!

「「どーかな?」」

「ええ、良くなりましたわ。お二人のお陰ですわよ」

「「わーい!」」

アリアちゃんとブライトちゃんの初めての治療に、治療に訪れていた貴族のご婦人も思わず笑顔だった。

成功体験を積ませるのもとても重要だし、このまま頑張って欲しい。

因みに、ジョセフちゃんはまだ歩き始めたばかりなので、シーリアさんに抱っこしてもらいながらの治療体験だった。

シュイン、ぴかー!

「ふふ、お兄ちゃんはとても張り切っているね」

「そーだよ!」

そして、双子ちゃんよりも少し年上のルートちゃんも、みんなに負けじとシロちゃんを抱いて治療していた。

訪れる人たちも貴族の関係者が殆どなので、とても和やかにそして安全に治療が進んで行った。

シュイン、ぴかー!

「はい、これで脚の怪我は良くなりましたよ。お腹の調子も良くなかったので、ついでに治療しています」

「本当に、丁寧にありがとうございます」

「「「ブルル」」」

僕はというと、以前の貴族街での治療と同様に馬や番犬などの治療も行った。

馬も、治療してくれたのを分かっているのか僕に首を擦り寄せたりしていた。

貴族が飼っている鳥なども、籠に入れて運ばれてきた。

僕達にとって、治療できれば人でも動物でも全く関係なかった。

こうしてみんなで力を合わせて治療していたのだが、暫くすると少し予想外の展開が起きてしまった。

タタタタ。

「あれ? 軍の部隊が何処かに向かっていますね。うーん、なんだろう」

「うーん、ルーカス様も今日はこの辺りで活動するとは聞いていないのよ」

「すー」

結構な人数の兵が、ある方向へと急いで向かっていたのだ。

治療を頑張って疲れちゃったジョセフちゃんを抱きながら、軍人でもあるシーリアさんも周囲の様子に不思議そうにしていた。

軍の幹部でもあるルーカス様も知らないとなると、何か突発的なことが起きたのかもしれない。

すると、丁度顔を見知った兵が僕たちのところにやってきた。

そして、王太后様のところに行き、報告を始めた。

「ダイナー男爵家のナッシュでございます。貴重種の違法飼育をしていた拠点を制圧後、事件を主導している貴族家への強制捜査に着手しております。周辺貴族家も含め、安全に万全を期して対応しております」

「報告ご苦労様ね。しかし、違法飼育は良くないですね」

ナッシュさんの報告を聞いた王太后様も、思わず表情が曇ってしまった。

貴族のステータスとして貴重種を飼育することが一部の貴族であるらしく、今回は先にブローカーを制圧したという。

そして、顧客名簿から貴族家への強制捜査に着手した。

確かに、この状況はシーリアさんも知らないはずだ。

すると、ナッシュさんは僕にも話しかけてきたのです。

「ケン君、申し訳ないが手を貸してくれ。どうやら、違法飼育されていた貴重種が虐待を受けて怪我をしているみたいだ」

これは、かなり良くない情報だ。

この場にいる多くの人も、かなり心配そうな表情をした。

「ケン君、ここは大丈夫よ。早く、怪我をした魔物の治療してあげて」

「王太后様、申し訳ありません。行ってきます」

僕は、王太后様に頭を下げてナッシュさんのところに行った。

念のために、スラちゃんも来てくれることになった。

というのも、ちびっ子たちは張り切ったのもあってかなり眠たそうにしていたからだ。

クリスやシンシアお姉様たちが、シロちゃんたちと共に治療を引き継いでくれた。

そして、僕はナッシュさんと共に問題の貴族家へ向かって走り出したのだった。