軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第百十八話 魔物の襲撃

その日の夜は、予定通り魔導船の客室で寝ることになった。

客室が二部屋空いているので、僕とエレンお祖父様、クリスとビーズリーさんに分かれて寝ることにした。

クリスは僕と同じ部屋がいいと駄々をこねて、父親のビーズリーさんにこってりと怒られた。

流石に、結婚前に僕と一緒の部屋で寝るのは止めた方が無難だと思います。

ソファーベッドもあったが、何と壁から収納型ベッドが出てきたのが一番驚いた。

魔導船内を効率よく使うための工夫で、僕もスラちゃんも良くできていると感心した。

移動の疲れと戦闘の疲れもあったのか、この日はベッドに入ると直ぐに寝てしまった。

何かあったら、スラちゃんたちが直ぐに起こしてくれるという。

因みに、クリスの所にはリーフちゃんとシロちゃんが待機していた。

何にもないだろうとぐっすりと寝ていた、明け方のことだった。

ちょんちょん、ちょんちょん。

「う、うーん?」

すやすやと寝ていた僕のことを、誰かが起こしてきた。

まだ外は辛うじて明るくなってきた程度で、いつもならまだ夢の中という時間だった。

眠い目を擦りながら周囲を見ると、スラちゃんとアクアちゃんが僕をゆさゆさと起こしていたのだ。

因みに、レモンちゃんはまだ僕の枕元でぐっすりと寝ていた。

ふりふりふり。

「うーん、なに? えっ、何かいる?」

まだ完全に覚醒していない中でスラちゃんと話をし、僕はスラちゃんに言われるがまま広範囲探索魔法を使った。

シュイン、もわーん。

「うん、うん? あれ、門のところに何かが……」

この明け方に、門のところに何かが集まっているなんてあり得ないなあ。

眠い頭で思っていたら、一気に状況が悪化していったのだ。

ウーーー、ウーーー。

「うん、なんだ!?」

魔導船内に、警報音が一斉に鳴り響いたのです。

エレンお祖父様も、大きな警報音にムクッと起き上がった。

「エレンお祖父様、門の外に複数の反応がありました。スラちゃんも、僕のことを起こしました」

「何と、そんなことが起きているのか。こうしてはおれんぞ」

僕とエレンお祖父様は、万が一に備えて直ぐに動ける服装で寝ていた。

準備を整えて廊下に出ると、ビシッとしたビースリーさんとまだ眠そうに目を擦っているクリスの姿があった。

「ビースリーさん、門の外に大量の何かの反応があります。感じとしては、昨日の昼間に遭遇したゴブリンに近いかと……」

「可能性は否定できない。三十体以上のゴブリンが日中にいたのだ。それだけでも、異常な事態だ」

あまり良くない状況を想定したが、ビースリーさん曰くこういう時は常に最悪を想定することが大事だという。

文官のエレンお祖父様が通信用魔導具で各所に連絡する役を担い、アクアちゃんがエレンお祖父様の護衛として側についた。

僕達は、急いで魔導船から町を守る防壁の門へと駆け出した。

「状況はどうなっている?」

「だ、ダイナー男爵様、五十体以上のゴブリンが確認されております。更に、ゴブリンキングらしき個体も確認されました」

「ちぃ、最悪の予想が当たったか」

日中は馬で五分の距離のところでゴブリンと遭遇したので、何らかの事情でゴブリンが町に押し寄せることも想定できた。

だが、その想定はあまり良くなく、ビーズリーさんも苦々しい表情をしていた。

ぴょんぴょん、ぴょんぴょん。

「ビーズリーさん、リーフちゃんたちが防壁の上から魔法でゴブリンの数を減らすと言っています」

「そうだな、ここで時間を取ってはいけない。ある程度数を減らしたら、一気に斬り伏せる。治療の手もある」

スラちゃん、リーフちゃん、レモンちゃんは、ビーズリーさんにビシッと敬礼した。

そして、スライムの特性を活かして防壁の壁をすすすと登っていった。

念のために、シロちゃんは治療兼ビーズリーさんの護衛として残った。

「矢を放てー! スライムに負けるな!」

「「「「「おー!」」」」」

ズドドドドーン。

「「「「「ギシャー!」」」」」

刹那、防壁の上にいる兵の合図で一気に魔法が放たれた。

更に、兵も監視台から弓矢でゴブリンを攻撃していた。

防壁の外からはゴブリンの叫び声が聞こえたが、かなり数は多そうだ。

「ケン君とクリスは、ある程度ゴブリンの数を減らしたらゴブリンキングを相手にしてくれ。ここは、最大戦力で一気に強敵を倒した方が得策だ」

「「はい!」」

僕とクリスは、ビーズリーさんから重要な役割を与えられた。

町の人を守るためにも、ここは踏ん張り時だ。

その間も、防壁の上からスラちゃんたちの魔法攻撃と兵による弓矢の攻撃が続いていた。

これは、予想以上にゴブリンの数が多いのかもしれない。

「ダイナー男爵様、突撃隊の準備が整いました」

「ご苦労。もう少しで狙撃も落ち着くだろうから、いつでも動けるように準備をしておくように」

「はっ」

もう間もなく突撃すると、ビーズリーさんの指揮にも熱が入った。

そして、遂にその時がやってきた。