軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第百話 ノーム準男爵家での将来の話

王家から数日はゆっくりする様にと言われたので、僕は報告を兼ねてノーム準男爵家に遊びに行った。

「あうあう」

「ふふ、ルートはお兄ちゃんに抱っこされてとてもご機嫌ね」

さっそく応接室でルートちゃんを抱っこするが、産まれた時から比べて随分と体が大きくなった。

僕の腕の中で元気よく手足をバタバタさせるルートちゃんを、母親でもあるセリナさんもにこやかに見ていた。

ルートちゃんの周りにはスラちゃんがぴょんぴょんと跳ねており、ルートちゃんも興味深そうに見ていた。

「研修自体は、本当に何事もなく終わりました。帝国との衝突も、実質三十分で決着がつきました。その、僕の魔法で吹き飛ばした帝国兵を治療するのに一時間以上かかりましたけど……」

「それでも、ケン君が研修に行ったタイミングで軍事衝突が起きたと聞いて本当にビックリしたわ。こうして、無事に王都に戻ってきて良かったわ」

フリージアお祖母様は、本当に良かったと優しく言ってくれた。

死者はいなかったとはいえ、やっぱり戦争行為は心配になるよね。

「父親は、ほぼ自爆に近い形で捕まりました。戦闘中は腰を抜かしてその場から動けず、そして明け方に国境から逃走しようとしましたから」

「軍人なのに、剣を取ることすらできないなんて。結局、ギャイン騎士爵は虚栄心で見栄っ張り、そして小心者だったのね……」

僕が物凄く簡単に父親の状況を伝えると、フリージアお祖母様も思わず溜息をついてしまった。

かくいう僕も、父親の無様な姿を思い出して溜息をついてしまった。

現在軍は父親たちの積み上がった罪状を整理しており、軍事法廷が始まるのはもう少ししてからだという。

「あうあう」

スラちゃんたちがルートちゃんの周りをぴょんぴょんと跳ね、僕達が話している間もルートちゃんも物凄くご機嫌だ。

僕が抱いてもぐずることはなく、とても楽しそうにしていた。

「ケン君はとても優しいから、きっとルートも安心しているのよ。赤ん坊は、悪意などにとても敏感よ」

セリナさんも、優しそうな目で僕とルートちゃんを見ていた。

すると、ここでルートちゃんがちょっとモゾモゾと動き始めた。

直ぐに、スラちゃんが何かあったと教えてくれた。

ふりふり。

「あっ、スラちゃんがおしめが濡れているって言っています」

「あらあら、そうなのね。そろそろお腹も空くころよ」

セリナさんはそういうなり、僕からルートちゃんを受け取った。

そして、応接室から育児用の部屋に移動した。

二人と入れ替わりで、今度はシンシアお姉様が応接室に入ってきた。

「はあ、疲れたよ……」

「シンシア、礼儀作法の勉強は終わったのかしら?」

「何とか終わりました……」

シンシアお姉様は、僕にぐたーっと抱きつきながら何とか答えていた。

シンシアお姉様もお年頃なので、貴族令嬢としての勉強を頑張っているという。

そして、シンシアお姉様は僕の親戚っていうのもあり、多数の求婚が来ているという。

「ありがたいことに、とても良い方から結婚の申し出が来ているのよ。主人と色々と話し合っているけど、そろそろ決まりそうなのよ」

「ああ、あの人ね。家族もとても良さそうな感じだし、悪くはないと思うわ」

フリージアお祖母様の話を聞いたシンシアお姉様は、お菓子をもしゃもしゃと食べながら返事をしていた。

今度時間があったら、僕も一緒に会う予定になっていた。

「ケン君にも、是非とも嫁をという家族も多いのよ。今回また手柄を打ち立てたし、ギャイン騎士爵が処分されればもっと求婚が増えるはずよ」

実は、僕への求婚の話は全て王太后様か王妃様を通すことになっていた。

でも、直接エレンお祖父様やフリージアお祖母様に話をすれば、一発逆転があるのではと思う貴族もいた。

僕としては、キチンと手続きを踏まない一発逆転を狙う貴族とはあまり付き合いたくなかった。

「でも、ケン君にはクリスちゃんがいるんじゃないかな? 王家の信頼も厚い貴族家だし、家柄も同じ男爵家だし、既にダイナー男爵夫妻とも顔見知りだよ」

シンシアお姉様がお菓子をもしゃもしゃと食べながら話をしたが、僕とクリスちゃんのことを知っている人たちは無理に僕に婚姻を勧めてこなかった。

僕も、クリスちゃんのことは好ましいと思っている。

でも、以前にも夜会で僕のことを囲んで無理に婚姻を勧めてきた貴族もいたっけ。

「ケン君は、宮廷魔導師に選ばれる程の魔法抜きにしてもかなりの資産もあるし、既に上級官僚試験に合格しているから将来も安泰。更に、王族や上位貴族とも良好な関係を結んでいるわ。貴族主義勢力にとったら、ケン君は涎が止まらない程の優良物件として見ているのよ」

「むぅ……」

苦笑しながら説明するフリージアお祖母様に、シンシアお姉様の方が難しい表情をしていた。

でも、貴族主義勢力の貴族が僕という優良物件を射止めるのはほぼ無理だと思うよ。

と思ったら、ここで予想外のことが起きてしまった。

「失礼します。奥様、ケン様、王太后様より婚姻関係のことで至急王城に来て欲しいとのことです」

使用人から聞いた話に、僕たちは思わず顔を見合わせてしまった。

まさに今話し合っていた内容で、どうやら王家を巻き込んでの騒動が起きているようだ。

「ケンのことだから、私ももちろん行くよ」

僕とフリージアお祖母様だけでなく、シンシアお姉様もやる気満々で席から立ち上がった。

もちろんスラちゃんたちもついてくる気満々で、僕たちは急いで馬車に乗って王城に向かったのだった。