作品タイトル不明
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マール侯爵夫妻が謝罪のためにやって来る日取りを決めて、私はその際にライアンを立ち会わせることにいたしました。
こういうのもね!
経験ですから!!
まあライアンは〝影〟として色々な経験を積んだ上で将来の王妃に仕えるため表の世界に執事としてきた逸材なので、そこまであれこれ世話をしてあげなくたって大丈夫ではあるんですけども……。
ただまあ、セバスチャンさんいわくこういう経験がこれから大事なので、どんどん覚えさせてやってほしいとのことでしたのでね。
「……ユリアさまから見て、マール夫人はどのような方でしたか?」
「そうね、あまり社交向きでない方よ」
裏表が少なく、おそらく複雑なやりとりは苦手なはずだと私はあの方と言葉を交わして思いました。
おそらく周囲にせっつかれて焦った結果とかそんなとこだったんでしょうが……。
ちょっとばかり欲張りコースで二兎も三兎も狙った結果が一兎だけでがっかりした……とかそんな感じじゃないでしょうかね。
ちなみにその一兎は自分とこの寄子の制裁ですね。
「これまでは侯爵夫人という立場もあるのでそこまで大きな失態を招くこともなかったのでしょう」
堅実にやることで、身分が守ってくれるというパターンです。
そう、堅実な運営だけに可もなく不可もなく、と見えるマール家ですがそれって結構大事なことですからね。
要するに身分もあって、敵にすると他に何かが崩れそうだし、味方にする旨味も少ないので現状維持で関係を保つのが一番無難なお家柄って感じです。
「そういう意味では毒にも薬にもならないご婦人ですから、勘繰る必要はありません。……マール侯爵さまはどのようなお人柄かしら?」
「堅実を絵に描けばかの方になると評判です。賭け事はほぼなさいませんが、競馬はお好きなご様子です。しかし付き合いの範疇から出ることもなく、カジノや賭博場といった娯楽経営には一切興味を示しておりません」
「そう……噂通りの人ということでいいのかしら」
「それでよろしいかと」
「ご子息が財務部で働かれているんだったわよね、その方の評判は?」
「そちらも大変真面目な勤務態度で知られています」
「ありがとう」
現状、プリメラさまに謝罪と言いつつも正直なところ一言ご挨拶があっておしまい……という予定なのですが、マール夫人はきっと歓談を希望してることでしょう。
それによって多少騒ぎがあるかなとも思うので、ライアンを配置したのです。
スカーレットを置いたらきっと反発する気持ちがまた芽生えるでしょうし、デボラさんがいると格上の家の娘ということで本音も聞き出せそうにありません。
かといってメイナだと見下すまではいかずとも私がイラッとしてしまいそうですしね。
そういう意味でもライアンが適任です。
「……貴族夫人というのは、もっと深謀遠慮の方が多いかと思っておりました」
「誰も彼もがそうというわけではないのよ、ライアン……」
君どんなところで修行してたの?
思わず突っ込まなかった私を褒めていただきたい。
「さてじゃあ、ちゃっちゃと終わらせましょうか」
よその貴族たちが何をしてようが構わないんですが、王族絡みの件となればその本音も探らないといけませんからね!
いっちょやったりますかー!!