作品タイトル不明
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(それにしても、マール侯爵令嬢はだめかあ……)
今回の茶会は、私たちにとっても色々な意味があったんですよ、これでも。
第一が、スカーレットの悪評に対して『なんの落ち度もない』様子を見せること。
第二が、プリメラさまの『友人』となれる相手を見つけること。
これが結構大変なんですよね……。
陛下がこれまでプリメラさまを大事にしていたことは事実ですし、そのおかげで私も変な思惑に左右されることなく今日まで過ごしてくることができました。
しかしながら社交界は一筋縄ではいきません。
現段階では陛下の目が恐ろしい……じゃなかった、目が届く範囲で守られているプリメラさまですが、今やデビューも終えて淑女の道を歩んでおられる真っ最中。
陛下的にはいずれ私をその友人枠という名の盾にするおつもりでいらっしゃることは百も承知ですけども、現段階では主従なのでそれも難しい。
なので、茶会に参加して良い友達を作るように……と統括侍女さま経由で指示が来たんですよ、はい。
(マール侯爵家なら派閥問題もクリアでなかなか良さそうだったんだけどなあ)
プリメラさまが『可もなく不可もなく』って印象しかなかったのなら、期待は持てないかもしれないですね……。
いえ、今後変化するかもしれませんけど!
そうですね、一回だけで諦めちゃだめですね!!
できれば私という、母親代わり、姉代わりという存在ではなくもっと近しい友人ができたら良いなと思っております。
勿論、そうなったらそうなったで私はちょっぴりどころではなく寂しい気持ちになっちゃうんだろうなあと思いますが……。
(マール侯爵家の令嬢の次は、伯爵家になっちゃうのよね……いえ、その方がいいのかしら)
王族のつながりと考えると少し弱い気もしますが、いずれプリメラさまが伯爵家に嫁いだ後も同じ伯爵家関係の……力関係はともかくとして、伯爵家のご令嬢たちが嫁ぐ先は似たような家格も多いでしょうし、将来的にも友人関係が続けられる可能性もありますし。
本当は侯爵家や公爵家でも考えたかったんですが、似た年齢が男児か年上ばかり……年下相手でもプリメラさまなら優しく接してくれるでしょうが、今はまだデビュー前の子たちばかりですから。
(プリメラさまほどの人格者となれば、下の子たちからは『おねえさま』って慕われるようになるんじゃ……!?)
それはそれで見応えあるなあ、うん……!
きっとその一角だけものすごく華やかで触れちゃいけない雰囲気になるような気がしますね……これは絵師を招かないといけないか……!?
おっと、考えがいけない方向に飛んでった。
「大丈夫よ、大丈夫……まだお茶会のお誘いはたくさんあるんだから!」
大きなのから小さいのまでよりどりみどり!
全部に参加したらプリメラさまが疲れちゃいますので、今はデボラさんと選別しつつ、マール侯爵夫妻が手紙を送ってきたらセバスチャンさんに日程調整をお願いして……。
公務も勿論ありますからね!
そっちは最近ライアンに任せていますが、だいぶ彼も執事業に慣れてくれたようです。
どうもプライベートでニコラスさんが会いにきて、メイナいわく何やらバッチバチしていたようですが……何してたんでしょうね?
念のため確認したら「相変わらず不快な男でしたので、つい。申し訳ございません……」としょげられてしまったのでそれ以上追求しませんでした。
ニコラスさんにしろ、ライアンにしろ、お互い思うところはある方々ですが王家に忠誠を尽くす人たちであることは間違いありませんので。
ただまあ、プリメラさまには絶対心配をかけないようにだけ注意しましたけど……。
まあ、彼らなら上手くやることでしょう!
「……あ、そうだわ」
伯爵家の令嬢で年が 割と(・・) 近く、派閥関係で上手くやれそう……という人に心当たりを思いついて私はベルに手を伸ばしました。
そう、打って付けの相手がいるじゃありませんか!
セレッセ伯爵キース・レッスさまの妹、オルタンス嬢ですよ!
彼女なら私の弟の婚約者なのですし、セレッセ家は貴族派とも国王派とも言える立ち位置……少々年齢が上とはいえ、むしろ学園の生徒ということでなんだったらディーン・デインさまの話も聞けるのでは!?
セバスチャンさんとデボラさんに相談すべく、私はベルを鳴らしてウッキウキでこれからについて想像するのでした。