軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

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ぐっすり眠れました、そんな自分に驚きなユリア・フォン・ファンディッドです。

若干アルダールに抱え込まれるようにして眠っていたため、寝返りが打てなかったんでしょうか……節々が痛い気がしますね……。

まあそれはともかくとして、意外と気疲れが体に残っている感もなく元気いっぱいでマーニャさんが用意してくれた朝ご飯もぺろりといただくことができました!

本当にマーニャさんもお料理上手なんですよね……。

それを褒めるとめちゃくちゃ照れて可愛いんですよ、カルムさんも常に褒めているらしいんですけどなんて初々しくて素敵な人なんでしょうか。

(さてと)

アルダールもお休みということで、二人で例の日記に目を通すことにしました。

と言っても私が読みたいと言い出した側ですので、私主体なんですけども。

「……別に今のところはおかしいところはない、かな?」

「そうなのかい」

「そうね……七歳の時に日記をつけるようにおじいさまに言われたって書いてあるわ。でも面倒くさいらしくて、内容は一行、日付も飛び飛びね」

今九歳まで来たけれどそんな感じです。

どうやら筆無精だったようですね。

「あっ」

十歳の秋、突然文体が変わりました。

といっても こちら(・・・) の言葉ですが……。

内容は簡単に言うと、 どこか(・・・) の貴族のご令息が暴れ馬に乗ったまま町を走り回り、その事故で頭に怪我を負って三日三晩意識不明に陥ったこと。

記憶が混濁としている、人格が変わった、医者からはそう言われたけれどそうじゃない。

自分は自分の中に別の人間の記憶があると理解した……というものでした。

そこからも日付は飛び飛びです。基本的に筆無精のようですね。

「……」

「ユリア?」

「いえ……」

彼は、パティシエになりたい青年だったそうです。

けれど前世の自分についてわかるのはそれだけで、家族とは仲が良かったような気もするし、恋人がいたような気もするし……といった具合にぼんやりとしたもので懐かしむ気持ちは殆どなかったようですね。

(そういう意味では、私も同じかも)

ゲームをやりこんで肺炎になったなんて記憶はありましたが、前世を懐かしむほど覚えているのかって聞かれるとそこは微妙なんですよね。

前世で大人の女性だった。はいおしまい! みたいな。

(……だからこそ、赤ん坊になったことに驚いても両親のことは両親として受け入れられたんだもの)

そして貴族社会も、城勤めだの金髪や碧眼が美人の象徴だとかそんなことを言われるのも、そういったこの世界の『常識』を私は当たり前のものとして受け入れていたのです。

きっと彼も同じような感じだったのでしょう。

日記を読む限り、なんとなくわかります。

そこからはチョコレートを求めての旅に出たそうです。

兄と共に実家の店を大きくしたいという気持ちで販路を広げる中で、この世界には焼き菓子やそのほか、見覚えのある菓子がいくつもあるのにないものもたくさんあって……その一つがチョコレートでショックを受けた、と。

けれどそんな中で冒険者や他の国を行き来する行商人たちと言葉を交わし、チョコレートのある国を聞いて自分も行かなければと思って冒険者になったんですって。

わあ、アクティブ……。

そうして旅をしている中で、とある女性と出会ったのだそうです。

話をしているうちに彼女もまた記憶を持つ女性であると判明し、前世を懐かしむ間柄で親しみを覚え交流を重ねるうちに、恋に落ちた……とありました。

(……転生者って案外、いるのかしら……?)

彼女は他国の人間で当たり前だけれど現地の名前を持っていたけれど、前世の記憶が強いのかそちらの名前を呼んで欲しいと言われたことが書いてありました。

名前は書かれていませんが、そのことについて彼は『記憶があるとはいえ、今生きている世界で彼女はいつまで前世に囚われるのだろうか』と心配していたようです。

そうしてクーラウム、リジル、そういった単語から彼女が『ここって乙女ゲームの世界なのね!』と気づいたらしく、彼はなんだそりゃと呆れたらしいですが……でも彼女に振り回されながらもチョコレートを安定して供給できそうなこと、恋人が自国に来てくれると言ってくれて嬉しいこと、チョコレートの専門店を作ろうと思うと兄に相談して、応援されたこと。

店が軌道に乗ったら彼女にプロポーズしたいな……なんて夢と希望に満ちた内容がそこには綴られていたのです。

しかし、ある日を境にその内容は変わってきました。