軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

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やはりダンスは運動。はっきりわかりますよ!

普段は使わない筋肉を使っているため、練習の初めの方は随分と筋肉痛に悩まされマーニャさんのゴッドハンドによるマッサージにどれだけ救われたことか……。

しかしながらその努力の甲斐あって今回のダンスは以前の、それこそ去年の社交界デビューの時に比べれば格段に上達して楽しむ余裕もありましたからね!

ふふん。

私だってやるときゃあやるんですよ!

そんな自画自賛をしていると、扇子で口元を隠したビアンカさまが私たちのところに来てくださったではありませんか。

今回ご挨拶をして回る際には後回しにしてミスルトゥ子爵家が信頼できそうな貴族家を自力で見つけるようにと言われていたので、ある程度終わったから……ということでしょうか?

まあ、ビアンカさまご自身が社交界の華とも称えられる美女ですもの、老若男女問わずご挨拶を! って行く先々で声をかけられたに違いありません。

「ユリア、楽しめているようね?」

「おかげさまをもちまして、ビアンカさまは……宰相閣下のお姿が見えないようですが、どちらに?」

「一通り挨拶回りをしたらとっとと仕事に戻ったわ。まったくあの人ったら……わたくしを従兄に預けて社交から逃げるだなんて、後でしっかり話し合わなくちゃ」

「ま、まあ……そうなのですね……」

如才なく社交もこなす宰相閣下ですが、人付き合いが煩わしいと思うことも多いらしいんですよね。

プリメラさまのお誕生日を祝ったんだから王家の方々に義理を果たしたので妻もいてくれるしもういいだろうって感じでしょうか?

「……アルダールは今後そういうことしないでくださいね。私一人じゃ無理ですからね!?」

「ははは、わかったよ。一人にしておくと私の婚約者が攫われてもいけないから、こうやってずっと一緒にいよう」

「ひえっ」

「あらあら」

ぐっと腰を抱き寄せるの止めません!?

ビアンカさまの前ですからね!?

でもビアンカさまはビアンカさまで楽しげだし私の味方はいないのか……!

「ところで、気づいたかしら。随分と大人しくなったでしょう」

「……ウィナー家のご令嬢のことでしょうか」

「ええ、そうよ。バウム卿も随分と困らされた因縁の相手よねえ」

「……」

「ふふっ、冗談よ。ちょっとばかり言動に困って、疲れていたものだから八つ当たりしてしまったの。許してくださるかしら?」

「美しき公爵夫人に私のような男が何を申せましょうや」

「ありがとう」

ビアンカさまは私の方に身を寄せると、扇子で隠しながらひそりと教えてくださいました。

この間……つまり彼女がリード・マルクくんと話し合って大人しくなった、その理由です。

なんでも、例の……ミッチェランの創始者の日記を読んでから、というのは事実らしく、それを読んだ後にミュリエッタさんは「こんなつもりじゃなかった」「そんなはず」「いやだ」と繰り返し、今の状況から逃がしてくれと家庭教師に縋り付いたというから驚きです。

知らなかったと言いたいところですが、そこはまあ公爵家の力で揉み消したんでしょうね。

権力って怖い!

まあそれはともかくとして、その例の日記帳は写しがビアンカさまに届けられたんだそうです。

いったい彼女に何を話したらああなったのかと問い合わせたらそれが送り返されてきたんですって。

「『読んでもきっと理解できません。同じ血族である僕も理解できませんから。それは写しですから知りたいと仰る方にお渡ししても構いませんよ』って添えられていて……文字は読めるのに、意味がさっぱりわからなかったのよ」

「ええ?」

「でもまあ、今更彼女は逃げたいって言ってもクーラウムの貴族社会に顔が知られてしまったし、能力も知られてしまった以上……難しいでしょうねえ。いったい何から逃げたいのかって本人もよくわかっていないみたいだったけれど」

「……その日記帳、私も拝見することは可能ですか?」

「ええ、いいわよ。……でもきっと意味がわからないことだらけだけれど、いいかしら」

「はい。もしかすれば彼女の予言の能力、あれに関係する話かも知れませんから」

「ああ、そうね……すっかり忘れていたわ。もうそういったことを口にしなくなったものだから。そういえばそんな能力もあるって買われていたのよね」

まったく面倒なことだわ。

そうビアンカさまがため息とともに呟きましたが。私はそれをなんとも言えない気持ちで黙って見ているしかできませんでした。

日記帳……今更私が見て、知って、なんになるって話でもないんですけど。

でもモヤモヤしていたあれこれが、これで解決したらいいなって……少しだけ、自己満足と興味で手を伸ばしてしまいました。

(これが後悔に繋がったらどうしよう)

ふと、不安になりましたが……私の傍らで不思議そうに微笑むアルダールがいてくれたので、きっと世界が一夜にして変わるような内容は書いてなんかなかろうと私は笑みを返すのでした。