軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

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正午を迎え、私は大慌てで退勤して自宅へと戻りました。

そこには腕まくりをしてやる気MAXなマーニャさんが助っ人を呼んで待ち構えていました。

まあそんなこんなで入浴やらマッサージやらお手入れやらと念入りに……普段から髪のお手入れには手を借りていたものの、こうやって令嬢らしく一から全部やってもらうというのはやはり慣れませんね……。

生家であるファンディッド子爵家にも侍女はいましたし、それこそ幼少期は乳母と侍女に手伝ってもらって入浴とかはしましたけど……そこは貧乏子爵家でしたから、ある程度は自分のことは自分でっていう感じだったんですよね。

前世の記憶もその頃は今よりも鮮明でしたので、全くもって気にならないって言うかむしろ自分でやらせてくださいお願いしますな勢いだったから私としては渡りに船でした。

でも今日ばかりはそんなことも言ってられませんからね!

いえ、もしかしたらマーニャさんのあの気合い入れっぷりを考えると結婚後も公式行事は毎度こうなるのかもしれません……はい……。

(……いずれ陛下の目論見通り、アルダールが伯爵位を賜ることになったらそれが日常になると思わなくてはならないし)

まあいつになるかわかりませんけど!

でもそう遠い未来じゃないと思いますんで!!

今のうちに経験を……と覚悟を決めて臨みましたとも。

去年もそうでしたけど。

とはいえ、昨年もそうですがコルセットに頼らないドレスをお願いしていたこともあって非常に着替えそのものはスムーズでした。

昨年はね、針子のおばあちゃん作で心も温まるものでしたが……いえ、煌びやかだったけど。

今年はまたひと味違いますからね!!

ティモさんが心を込めて、アルダールと 揃い(・・) で作ってくれたドレスですもの。

色味はアルダールの瞳の色を模した、深い深い青い色。

それでいて透明感がある青みが美しい。

しかもこのドレス、不思議なのは光の当たり具合で僅かに赤味を帯びるんですよ。

まるで本当に、ベキリーブルーガーネットそのものを着るかのような気分になるのです。

ただ青一色だと重たく見えそうな色合いですが、そこはデザイナーのティモさんの案でオフホワイトの生地を体の中央に持ってきたのでむしろ青がより綺麗!

しかもその質感はふわりふわりと揺れるもので、型としてはエンパイアドレスなのでさらりとしたストレートのシルエットです。

なのでまるで生地の波打つ様が、海のよう。

そしてデザインとしては夜会に相応しくデコルテが大きく開いているものですが、肩口や腰周りに繊細なレースがあしらわれているおかげでものすごく上品です。

このレースがプリメラさまとお揃いなんですよ……ふふふ!!

今回は首元をスッキリ見せるためにまとめ髪にして、レースが残ったとのことで作ってもらったリボンをあしらっております。

ちなみに宝飾品も今回はすごいんですよ……!!

可愛らしい感じのセットだったので初めて見た時には素直に喜べましたが、すぐにそれがベキリーブルーガーネットとダイヤモンドのパリュール……つまりジュエリーのセットであると知って悲鳴が出るかと思いましたよ!

アルダールが準備したらしいです!

これまで使わなかったお給料の使いどころができて嬉しいとか言っていたらしいです!

んもー!!

(……総額が、総額が恐ろしい……!)

しかしながら今回も私はこれらのデザインに見惚れている場合ではありません。

ええ、ええ、貴族のこうしたドレスや宝飾品が経済を回しているということは百も承知ですが今も裾を踏んづけたらどうしよう、イヤリングを落っことしたらどうしようとそればかりが脳内を駆け巡っておりますよ!!

今もアルダール待ちで大人しくしておりますが、もう既に胃が痛い……!!

「……ユリア?」

「アルダール!」

軽いノックの音の後にドアの向こうから彼の声がして、思わずホッとしました。

そしてドアが開いたかと思うと、そこには珍しく髪を撫でつけたスタイルのアルダールがいるではありませんか!

ええー!

私の婚約者、かっこよすぎない!?

アルダールに見惚れる私と同じように、彼もまた着飾った私のことをどこか呆然と見ていました。

お互いに言葉が出ないってなんでしょうね。

でも悪い気はしません!

すると、後ろにいたらしいマーニャさんが咳払いをしてきたので私たちは同時にびくっとしてしまって思わずおかしくて笑ってしまいました。

「旦那さま、いくら今日のユリアさまが格別魅力的でもパーティーが終わるまで髪を崩すことも化粧を落とすこともなきよう! よろしくお願いいたしますね!!」

「……うーん、自信が揺らぐなあ」

「婚儀までその忍耐力、保たせてくださいませ」

なにやらアルダールとマーニャさんがとんでもないことを言っている気がしますが、まあ聞かなかったことにいたしましょう。

私は空気が読める女ですから!

決して照れくさいからじゃないですよ!!