軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

557

ロレンシオ侯爵夫人たちとの時間から数日後、とうとう……とうとうプリメラさまの誕生パーティーについて、通達がありました!!

ええ、ええ、これは私たち王女宮にとって……いいえ、国を挙げての一大イベントの一つなのです!

公式にはそうでもないんですけどね。

やっぱり国王陛下の溺愛っぷりのせいもあってかプリメラさまの誕生パーティーともなると多くの貴族たちがこぞって贈り物をしたい、ご挨拶をしたいと必死に顔を覚えてもらって心証を良くしようと……。

ほんの少し前までは公に出ず、王女宮にお客さまを招いて……から始まって昨年の盛大なパーティーにまで変化してきたプリメラさまのお誕生日。

今年は! なんと!!

とうとう、ディーン・デインさまとの婚約が発表されるとのことです……!

(これは……これは気合いを入れないと!!)

まあ時期的にはね、妥当だと思います。

王太子殿下も次の生誕祭は立太の儀も正式に完了し、フィライラ・ディルネさまもこの国にお住まいになって婚約者として多くのことを学びながらお二人で公務をなさるという話です。

ですのでプリメラさまの婚約についても公言なさるのに良い機会と言えましょう。

ちなみにライアンはその頃はまだフィライラ・ディルネさま付きにならず、王女宮の執事として働く予定です!

まだまだ学ぶことは多いですからね!!

成婚の半年前を目処にって私は聞いておりますので、そこまでは王女宮の執事です。はい。

とはいえ王太子殿下もプリメラさまも、二年ほどの婚約期間を経て成婚となるわけですが……これがまた長いですよね!

王族のあれこれしきたりだの儀式だのがあってですね、それを着実にこなしていかないといけないんです。

王太子殿下は国を担う者として、プリメラさまは王籍から出る者として……これについては私も中身は存じません。

王族の方のみが学ぶ内容と聞いております。

さすがに専属侍女だからってあれもこれもは教えていただけませんからね……!

(まあそれはともかくとして、婚約発表ならやはり婚約者の色を入れたドレスは必須! プリメラさまは成長期だから調整しやすいタイプのドレスをいくつかデザイン画で送ってもらってそこから選ぶようにするのがいいかしら)

当日お招きする方々のリストアップも今からきちんとしておかなければ……!

これは忙しくなりますよ!!

「……ん?」

通達は書類で届いたんですが、何やらメモ書きが……?

そこには『結婚式の準備は順調か』ですって。

(……うーん、この!)

公式な書類にこんな走り書きができる人間なんて限られているに決まっています。

だって! 王女殿下の! 公式パーティーに関する通達ですよ!?

そうですよこれ国王陛下ですねそれ以外ないですよね。

王弟殿下の字はまたちょっと違いますからわかりますよ!!

あの方は結構乱雑に書かれますからね。

ちなみに宰相閣下の文字はとても神経質そうな文字をしています。

性格ってやっぱり文字に出るんだなあ!

(順調も何も、あれこれ問題ばかりですよ)

それもこれもそっちがあれこれしてきたからじゃないかーい、と文句を言いたいところではありますが一応順調だと答えるべきなのでしょうね、これは。

いえ答えは求められていないっていうか、言外に『滞りなく次の新年祭の後辺りには結婚の報告が聞けるように努力しろ』って言われている気がしますけれども。

ちゃんと! 準備してるからほっといてくださいよ!!

(結婚式したらどうせ新家門の当主夫妻として国王陛下に謁見申し込みからのご挨拶コースが待ってるんだからさあ……!!)

真面目に仕事してやることやってるんですから、そう急かさないでほしい。

急かさないでっていうか、圧をかけてこないでくださいよ圧を。

プリメラさまにとって良い関係を築く家門っていう立場を私たちに望むなら、私たちが焦って失敗するようなことがないように静かに見守ってほしいものですよね……。

そもそもプリメラさまのお嫁入りまであと二年以上あるんですから!!

いえ、降嫁までもあれこれ準備することはあるので忙しいことを踏まえると、確かに私たちがゆっくり結婚式準備したりなんかしていたら余裕がなくなるのが目に見えていますけどね。

そこのところ、忘れるなっていう警告でしょうか。

(はー……親馬鹿ぁ)

さすがに口には出せませんが、こんなところに走り書きしないでほしいです。

これは統括侍女さまや王弟殿下に相談とかする必要もない些細なことですが、一応アルダールにだけは伝えておくべきでしょう。

まあそんなの聞かされてもアルダールだって苦笑しかできないと思いますけど!!

そりゃね、私だって結婚式に向けて今も準備してますよ。

でも婚約式が無事に終わったって感慨に浸らせてくれてもいいと思いません?

「あ、そうだ。ナシャンダ侯爵さまに相談してみようかな……」

「おや、何をですかな?」

「セバスチャンさん! ああ、いえ。こちらを……端の走り書きは気になさらず。次のプリメラさまの誕生パーティーで、婚約がとうとう公表されるそうなのです」

「おや、おやおやおや!」

セバスチャンさんもパッと嬉しそうな表情になりました。

ええ、ええ、そうなりますよね。

だって私たちが幼い頃から見守ってきたプリメラさまが、とうとう婚約なさるんですもの!

二人が想い合うところから、お互いを大事にしている姿を見守ってきたこちらとしてはやはり微笑ましいし、こう、胸にくるものがありますし……!!

「これは我々も張り切って素敵なパーティーにしないといけませんなあ」

「はい。それで、王女宮を飾り付ける薔薇をナシャンダ侯爵さまにご相談してみようかと」

「なるほど」

プリメラさまが好まれる、オレンジの薔薇をたくさん飾ったら素敵じゃないですか?

ドレスやアクセサリーにも凝りますけど、会場についてだって記憶に残る素敵なものにしたいわけですよ!

毎回毎回気合いは入れてますけども!!

「王宮の庭師や王都内にある花屋さんに声をかけることも当然ですが、まずはその時期に適した薔薇があるかどうか……予算もありますしね」

「そうですな」

おそらく王宮や王都周辺になくとも、ナシャンダ侯爵さまなら協力を申し出てくれるとは思いますが……それに頼り切りになるつもりはございません。

でもオレンジの薔薇ってあまり王城にはなくてですね、それを数多くとなるとやはりある程度はお願いしないとだめかもしれません……くっ、予算をぶんどってくるしか……!!

(陛下もプリメラさまの婚約発表っていう特別な場ならきっと予算申請をいつもより多めに出したって許してくださる……!)

普段から質素倹約を旨としている王女宮です。

こんな慶事に張り切らないでいつ張り切るというのか!

「それでは来週のナシャンダ侯爵領へのご旅行は、そちらも含めてですから公務として出張で追加日程を組んでおきましょうな。婚約者殿には護衛役として頼めるよう、私の方から近衛騎士隊の方に今から行って参ります」

「えっ、ちょっ」

「いやあ、ははは。今から楽しみですなあ」

セバスチャンさんが! 張り切っておられる……!

これは私も気を引き締めてナシャンダ侯爵さまに相談して、きっちりしっかり薔薇の種類と数を確保できるよう頑張りたいと思います!!