軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

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オーグさまはその後アルダールと少しだけ庭で手合わせをして満足そうに笑って去って行きました。

新婚旅行が終わったくらいにまた顔を見せる、そう仰ってましたが……どうなるのやら。

とりあえずドラゴンのお肉? については結婚式で出せそうなので、なんだか貴重なお肉にドキドキすると同時にそのお味が楽しみでなりません。

どんな味なんでしょうか……。

「とてもいい方だったわね」

「ああ。酒癖と女癖さえ悪くなかったら……あとは誰彼構わずあの態度で売られた喧嘩は倍にして返すような人じゃなければ最高なんだけどね」

オーグさまったらアウトロー……!!

まあ実力者だからこそそういった破天荒な生き方もできるのでしょうが……。

女癖が悪いとは仰いましたが、私に対してはとても紳士的でしたよ。

某脳筋公爵みたいに女性のスタイルでいちゃもんつけてきたり、某エイリップさまみたいに自分の好みじゃないからって暴言を吐いたりなど一切ありませんでした。

それどころか堅実な職について真面目に働いているいい嫁さんをもらったなってアルダールを褒めていたくらいですからね!

なんでも昔、お付き合いしていた女性がとてもしっかり者で骨抜きになっていたこともあったんですって。

結局、オーグさまに付き合ってられないとフラれちゃったんだそうですけど……。

(悪い人じゃないけど、恋人にはよくても夫には……ってタイプよね)

亭主元気で留守がいいっていうタイプの女性にはありがたい人かもしれません。

私はできる限り夫婦で顔を合わせられてお互い尊重できるのが理想なので、オーグさまみたいなタイプは恋人には考えられません。

(アルダールとはそういう意味でも価値観が合ってよかったなあ)

私に合わせてくれている部分が大多数かもしれませんけどね。

それでもできるだけ一緒にご飯を食べたいとか、休日に家族で過ごしたいですとか……おかえりとただいまを言い合える関係って素敵だと思うんですよ。

アルダールは特に家庭に理想を抱いているので、私はできる限り叶えてあげたいなって思うのです。

(やっぱり家庭を持つんじゃなかった……なんてがっかりさせないためにもね!)

私だって結婚自体、前世も含めて初めてのことですから?

そりゃ失敗だってきっとすると思うんですよ。

でもその失敗すらもいつかは笑い話にできるように、お互いフォローし合うのが夫婦ってものなんだと思うんです。

今のお父さまとお義母さまのようなね。

そういう意味ではアリッサさまも夫を立てて社交に領地の運営にと勤しんでおられるので、尊敬すべき夫婦ということになるのでしょう。

「とりあえず素材についてもわかったし、オーグさまともご挨拶できたし……婚約式の正式な日取りを決めちゃっても大丈夫ね」

「ああ、そうだね。身内だけ集めての式だということは周囲にも知らせてあるし、今回手に入れた肉や素材に関してはもう少し処理をしてから配る形でいいと思う」

「ええ」

式にお招きできない関係者の方々にはちょっとした贈り物を添えてお手紙を出すことにしてあります。

チョコレートとお茶のセットに決めました!

正直、懐には大打撃ですが……なにぶん、知り合いに高位貴族の方々が多いせいで変な物を贈るわけにはいきませんから。

今後のお付き合いを円滑にと考えるなら、安いものでしょう。

なによりそちらはリジル商会に お願い(・・・) してご協力いただけましたのでね!

「はー、ようやくこれで正式な婚約か」

「おかしな話だけれどね!」

アルダールが感慨深そうに言いましたが、本当に変な話ですよ。

こちとら国王お墨付きの婚約なのに、婚約式をしていないと世間では認めてもらえないんですから……。

しかもほぼ週の半分以上、この新居で暮らしているのだからもうこれは実質結婚しているのと同義では……と思うのですが、やはりそのあたりはね。

難しい問題ですね。

「でもこれでナシャンダ侯爵さまのところにご挨拶に行けるわ!」

「そうだね、婚約式の日取りを決めたらナシャンダさまに面会の申し込みをしようか。あちらの都合の良い日を教えてもらって、私たちも休みを取らないと」

直接お礼を言う機会を得るのです、手土産もきちんと準備したいところ。

ビジネスパートナーと言われつつも私はあれ以降特に何かお手伝いしたってわけでもありませんし……むしろ恩恵を受けすぎているのでは? と思っております。

(ここらで何か恩返しをしたい……むむむ)

でも今は特にナシャンダ侯爵さまがお困りのこともなさそうですし、余計なことをせず普通にお礼を申し上げるのが一番無難でしょうかね。

今は侍女仕事も落ち着いてますし、なんだったら夏にあるプリメラさまの生誕パーティーの準備はスカーレットを主体に私がサポートに回ろうかという話になっております。

それもこれも、将来プリメラさまがバウム家に降嫁なさる際にはスカーレットがついていくわけですよ。

当然私は筆頭侍女としてこれからもお輿入れの際まできっちり勤め上げるつもりではいますし、ご結婚の後には……まあそのころ私のというかアルダールの爵位によっては忙しさがどうなっているかわからないのでなんとも言えませんが、とにかくスカーレットは今後、プリメラさまの専属侍女となる未来を見据えてあれこれ覚えてもらわねばなりません。

今ではしっかりお茶を入れる以外の仕事に関してスカーレットもばっちりですし、今年は園遊会の給仕も特に注意することなくやってもらえるレベルです。

お茶だけはね……どうしてでしょうね……。

セバスチャンさんも首を傾げていたので、そこはきっと才能というか相性というか……うん……。

スカーレットも頑張ってるんですけどね!!

でも頼れる侍女になったのは間違いないので、これからはいろいろと覚えてもらえたらなと思う次第です。

「そういえば今年は私たちも園遊会に〝貴族として〟参加するのかしら」

「どうだろう。婚姻届を提出と同時にミスルトゥと名乗ることが決まっているけど、陛下のご下命であることを考えればあり得るかな」

国が大々的にやる社交の一環ですものね……。

そこに国王が目をかけている若手のお披露目も兼ねてそうな気がします。

(私もその場合は婚約者としてあちこち挨拶回りをしないといけないってこと……!?)

ドレスも新調して、にっこり笑顔で!?

あああ、余計な出費とストレスが倍増しそうじゃないですかー!!

くっ……貴族のやることなすことお金がかかるっていうのを改めて感じます。

ええ、ええ、大事なことだとわかっちゃいますが私たちにはそこまで使える予算ってものがないんですよ……陛下め!!

「それについては隊長の方に私からも聞いておくよ」

「……ええ、お願い」

きっと周囲がまた助けてくれるのだろうなとは思います。

ありがたいですが、今のところお返しできることもないので心苦しいばかり……。

はあ、だからといって出世してお返しを……なんて思えないから困ったものですよね。

私としては普通に侍女として参加してボーナス弾んでもらえた方がずっと嬉しいんですけども。

(ああでも、貴族として出席したらプリメラさまのお傍に堂々といられるのかあ)

それはそれでいいなあ、うん、その場合は挨拶もそこそこにプリメラさまとおしゃべりして過ごすのもいいかもしれません。

なんだったらオルタンス嬢も交えちゃったり?

それを考えると楽しそうじゃありませんか!

(侍女仕事もいいし、そう考えれば令嬢として参加も捨てがたい……ううむ)

なんて素敵な悩みごとなんでしょうね!