軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

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ライアンとニコラスさんの付き合いがどの程度かはわかりませんが、どうやらあまり仲が良くないことはわかりました。

「いやまあ、彼らにとってはあれがじゃれ合いなんだろうなって思うんだけどね」

「なるほどね。苦労するなあ、ユリアも」

ある程度事情を知っているアルダールにそう小さく愚痴をこぼせば、彼は苦笑しました。

いつものように私の部屋でのんびりとお茶をしながら夜を過ごす、って別に変な意味ではなくてね!?

すっかり恒例になった私たちの習慣というかなんというか。

でもこれも結婚してあちらの家に移り住んだらあまりやれなくなると思うと不思議な気持ちです。

お互い業務時間がずれた時など、合間を縫ってお茶を楽しむくらいはするかもしれませんけどね!

「セバスチャン殿と違って相手が近しいからこそ、誤魔化してもそこからバレてしまうと思ったからこそある程度の素を見せているのかもしれないね」

「うーん、そういうもの……?」

「さあ、どうかな」

確かにニコラスさんも初めは〝セバスチャンさんの孫〟という触れ込みでしたしね。

実際のところは別に血縁関係はないそうです。

腹黒そうなところは似ているけど、そこはまあ経歴の問題なのでしょう。

ただアルダールが言うように関係性だけで言えばセバスチャンさんは先輩、もしくは上司みたいな立場だったことが窺えるのでニコラスさんがいくら猫っかぶりしようが害がない限りセバスチャンさんは黙してくれていたということでしょうか?

大人な対応ってやつですね!

ついでに言えば、あくまでセバスチャンさんは〝王女宮の執事〟だけど、 陛下の(・・・) 部下でもあるという複雑なこの関係性。

ライアンの場合は現状だけ見ると 私の(・・) 部下であることから、ニコラスさんが取り繕ったりフェイクを入れてもそれを見抜いて私に報告する可能性がある……と考えた場合、ニコラスさんも表向きの顔について最低限でいいやってなったってことですかね。

ある意味それはそれで……良かったのか?

まあまだわかりません。

今後については彼らがあんまりじゃれ合うようなら考えないといけませんね!

「それはそうと、例のフィッシャー男爵についてその後がわかったよ」

「えっ、本当?」

「ああ。ハンスが調べてきてくれた」

「ハンスさんが……」

アルダールの右腕として頑張ってるんですかね?

いや今はまだ同僚ですけど。

彼が侍従としてアルダールの傍にいてくれることについては思うところがないわけでもないですが、やっぱり頼りになるんじゃないでしょうか。

まあ妹のケイトリンさんが心配してましたけどね……。

(気に食わないところがあったらいつでも足を踏んでやれって言われたっけ……)

レジーナさんも頷いてたけど、彼女たちは本当に強いからなあと思わずにいられません。

まあ私がどうこうする前に、ハンスさんに対して思うところがあったらアルダールに相談が一番手っ取り早いかな!

「それで、どうやらフィッシャー侯爵に呼び出されて王城の職を辞することになったようだよ」

「ええ?」

ああ、まあ……コネで就職したなら不祥事起こされたら紹介元としては困るってことなんでしょうか。

とても遺憾なことではありますが、私たち〝ミスルトゥ〟家は高位貴族たちと縁があり、現職のお偉い役職の方々からも覚えめでたい子爵家なわけですしね。

そう考えると堅実が売りのフィッシャー侯爵としては身内がやらかして迷惑を被るのは避けたいってところでしょうか?

それならそれであの使えないオッサンをとっとと矯正してもらいたいもんでしたが!

まあ集団である以上、誰かはサボるでしょうし能力に差が出るのは否めません。

ただ役職に就けちゃだめだって話ですよね、いくらコネでも!

「しかし……」

「そうだね。王城で私たちと接点がなくなることで、あちらが焦って行動する可能性はあるんじゃないかなと思うよ」

「ですよねえ」

しかもタイミング良く私たちがファンディッド子爵領に向けて旅行するためお出かけ予定。

本来なら休みの予定などは個人のスケジュールなので公にはされませんが、私は役職持ちですし、アルダールは近衛騎士隊。

そのため、ある程度の役職持ちなら調べられるようになっています。

いつ(・・) フィッシャー男爵が経理部をクビになるかはわかりませんが、今日明日の話ではないでしょうからきっと接触を図るためにあれこれ調べて王城の外で待ち伏せできるこのタイミングをこれ幸いと利用しよう……なんて考えているんじゃないでしょうか?

浅はかにも程がありますけどね!!

「……実は私の方もフィッシャー男爵絡みで一件、アルダールに伝えておきたいことがあって」

「うん?」

「これなんだけど」

私はテーブルの上に一枚の封筒を置きました。

そう、これは今日の昼間、私宛に届いたお手紙の中に紛れていたものです。

正規の手続きを踏んで届けられたその手紙の文字は拙く、王女宮筆頭に届くには少しばかり不思議なもの。

勿論、危険物がないかある程度は検閲済みのものです。

「これは?」

「例の愛人希望者の――」

愛人希望と言ったところでスゥッとアルダールの目が細められたのが若干怖いですが、私は気にせず言葉を続けました。

「弟さんからです。急ぎではあるものの、ライアンに頼んで裏も取ってあります」

「……早速部下を使いこなしているじゃないか」

「いえ、本当はセバスチャンさんに相談したんですけどね。これも経験だから……とかなんとか言ってライアンに押し付けたんですよ、あの人!」

「はは。……それで?」

「謝罪文だったわ」

「謝罪……?」

そう。アルダールが首を傾げるのも理解できる。

内容は、なんと幼い子供からの謝罪だったのだもの!

「フィッシャー男爵が懇意にしているのはシェレラトスという準男爵よ。お金で爵位を買った人。そしてそのお手紙と、私の愛人候補に名を連ねたのはその男の息子たち」

「……」

「シェレラトス準男爵は商人で、大商会には一歩届かないレベルの商会を営んでいるの。飲食業の他に認可カジノなどを扱っているそうよ」

まあいわゆる夜のお店ってやつをね!

で、私の愛人候補とお手紙をくれた子は準男爵の愛人が産んだ子……。

それ以外に正妻の子が二人いて、愛人たちよりは年上で随分と弟たちを虐げている らしい(・・・) とのこと。

「……愛人候補に名乗りを上げた兄の方は眉目秀麗だから私に取り入って、大商会に繋がりを持たせようとしているのか、それともアルダール経由であれこれ情報を得たいのか……」

「また大雑把だなあ」

「まあ そんな(・・・) だから大商会に仲間入りできないのではないかしら」

「……ユリアにしては辛辣だね」

私はアルダールの言葉に笑みを返すだけです。

そりゃそうでしょう。

そもそも、フィッシャー男爵とシェレラトス準男爵が出会ったのは賭場なのでしょう。

それが合法か非合法かはわかりません。

(まあかつてはね? うちのお父さまも賭場に行ったことがあるわけですし?)

合法なところは紳士淑女の社交場の一つとも言われておりますから、それそのものが〝悪い〟とは思いません。

夜のお店に関しても、お酒に関しても、羽目を外さず息抜きとして楽しむのならば良いと思います。

身内が利用しているって聞いたらちょっとどんな顔していいのか微妙な気持ちになりますけどね!!

まあそれはともかくとして。

だからフィッシャー男爵が賭場関係で借金したとか、賭場に出入りしていたってのをフィッシャー侯爵家が関知していたかどうかはどうでもいいんです。

ただ、それによってこちらに迷惑をかけてきたってのが問題なんですよ。

(それで上手く行けば棚ぼた、上手く行かなくても名前を覚えてもらおうって やりくち(・・・・) が気に入らない)

だから三流だっていうんです!